第33話

するといつの間にかに日が暮れていたので野宿の準備を始めることにする。

今日は幸いなことに近くにあった川で水の確保ができたので火を焚いて夜を過ごす準備をしている最中に、俺は寝てしまっていたらしい。

朝起きると俺の体に毛布がかけられてあったので恐らくはユウトの仕業だと思う。

(あいつ結構優しいよな)

などと考えながらも、すぐに朝食を食べて出発することにしたのであった。

それからもしばらく歩くととうとう目的地の洞窟に着くことが出来たのであった。

そこにはやはり巨大な化け物が眠っていた。

俺は即座に剣を取り出し構える。

しかしそれを止めたのは意外な人物であった。

「ここは俺に任せろ。絶対に勝ってみせるから」

と言われたので任せることにする。

俺は理久斗と一緒に応援をすることにし戦いを見守る。

最初は押されていたが徐々に戦況が変わり始め最後には圧勝という形で決着がついた。

その後俺達は洞窟の最深部へと向かっていった。

すると、また同じようなものが待っていた。

俺達3人は一斉に動き出し攻撃をしていく。

今回は、相手の攻撃がそこまで速くないため、何とか対応することができているが、こちらのペースに持っていくことができないので正直きつい。

そんなことを考えていると、ユウトからの提案を受ける。

3人で同時に攻撃を仕掛けて相手を撹乱させるというものだったので実行する。

そこからのユウトは早かった。

今までよりも圧倒的に早く敵を圧倒している。

気がつくとその大きな姿は既に見えなくなっていた。

それどころか、既に周りにも気配が無い。

結局、あれからは何も起こらず平和に終われたので良かった。

そして、また元の道に戻り帰ろうとする。

「あれはなんだ?」

と声を上げ指をさした先には、小さな女の子がいた。

しかもかなりの美少女だ。

そんなことを思っている間に、その子は近づいてきていてこう言い放った。

「私と契約をして頂けませんか?」

と。その言葉にユウトは戸惑いを見せる。

だが俺は即答で答えることを決めた。

なぜなら、こんなチャンスを逃すわけにはいかないからだ。

「ユウトちゃんどうするんだ?」

「そうですね」

少しの間考えるような素振りを見せてから

「良いでしょう契約します」

と言った。

その瞬間辺り一面眩い光に包まれた。

そして目を開けてみるとそこにはユウトの姿は無く代わりに黒い羽と尻尾を持った美しい少女が現れたのだ!

「これが私の本当の姿でございます。では、これからよろしくお願い致しますね理久斗様」

〜〜異世界に来て数日前〜〜

僕たちはあの日からずっと特訓を続けている。

毎日のようにダンジョンに行って魔物を倒しまくったりと忙しい日々を送っている。

そのおかげもあってか今となってはかなりの実力を手にいれたと思っている。

そんな感じで順調に進んでいき、今は王都に向かっているところだ。

何故向かうのかといえば、この世界で生きるための力が欲しいのと単純にお金が必要だという理由である。

だが、ただで行かせてくれはしないらしく門番のような人に声をかけられた。

「この先に御用ですか?ギルド所属者です?」

「はいそうです」

と、俺はいいギルド証明証を提出。

「はいたしかにどうぞお通りください」

あっさりと通してくれて何事もなく通過出来た。

それからも暫く歩いていると今度は貴族と思われる人達に声をかけられる。

「おいそこのお前らちょっと止まれ」

僕は言われた通りに止まる。

その人たちの中には僕の顔見知りもいた。

なんとその中には勇者である真冬もいるではないか。

そこで何やかんやありながらも無事に王城までたどり着いた俺たちは、王に呼び出されたので謁見の間に向かわされた。

「ごめんねユウトちゃん」

と申し訳なさそうな顔をしながら謝ってきたので、大丈夫ですよと答えておく。

そしてついに王様の前に立ったので挨拶をする。

「どうもこんにちは、私は魔王軍討伐隊隊長をやっております佐藤祐希と申しま.す」

と言って名刺を渡したらなぜかとても喜ばれてしまった。

すると突然王様が口を開いた。

「実は君たちにはとある頼みごとがあって来てもらったのだよ。」

といきなり本題に入ろうとしてきたのでこちらも覚悟を決めることにする。

「それでその話とは一体どんなものでしょうか」

と聞いてみると、その返答はすぐに帰ってきた。

「単刀直入に言おう。そなたが倒したとされている魔族の男について詳しく教えて欲しい」

まさか本当に来るなんて思いもしなかった。

確かに予想していた内容ではあったが、もう少し先だと思っていたため心の準備が出来ていなかった。

そのため少し答え方に困ってしまった。

「分かりました」

と言いかけたところで待ったをかけられてしまった。

その理由を問いただすとそれはあまりにも予想外のものだった。

「そなたが戦った相手の名前を教えてもらいたい」

「えっ名前だけですか」

と驚いてしまう。

というのも、もし相手がユウトという名前だった場合こちらの世界にいる可能性が高いからだ。

もちろんそんなはずはないと思いつつも万が一の可能性を捨てきれずにいたので不安になってしまう。

しかしここで引き下がることは出来ないので意を決して口にする。

「名前は結城悠斗といいまして年齢も16歳くらいです。

そして見た目としては黒髪に黒い瞳を持っています。あと、戦闘スタイルは主に近距離戦で得意武器は大剣、そして魔法に関しては闇属性の初級魔法のシャドウバレットのみを使用していました。」

と伝えると

「なるほどありがとう。非常に参考になったよ。それともう下がってもらって構わないよ。」

と言われたのでありがたく退出させてもらうことにした。

しかしこの時俺はまだ知らなかった。

まさかな出来事が起きるということを……

その日は何も無く平穏に終わろうとしていたのだが何故か今日は違った。

いつもは寝るまでには帰ってくるはずのユウトが帰ってこないのだ。

ただでさえ寂しくて悲しい気持ちになっているのにさらに追い討ちをかけるように、いつになっても帰らないユウトに対してだんだん怒りが湧いてきたので遂に我慢出来なくなり探しに行くことに決めるとすぐに部屋を出たのだ。

とは言ってもこの広い王城内を探すとなると流石に無理があるので、まずはメイドにユウトはどこにいるかを聞いてみることにする。

するとちょうど夕食のために調理場に向かったとのことなので早速向かうことにする。

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