第31話

するとユウトの周りには複数の炎が出現していた。

それを操り次々と倒していっていた。

しかもただ倒すだけではなく相手の動きを封じた上で確実に仕留めるという徹底ぶりだった。

(これが彼女の力か。すげえな。というか、こんなのとやり合ってたんだと思うと改めて思うわ。まじチートキャラ過ぎるな)

と、思いながら見ているとあっと言う間に全ての魔獣達を倒した。

しかも、一匹残らず逃さずだ。

さらに、戦闘中は一切息切れしていなかったのだ。

本当に凄すぎる。

というわけで再びこちらに戻ってきてもらった。

すると、俺が何か言う前にユウトがこう言ったのである。

「これで少しはこの世界の脅威というものを理解してもらえましたでしょうか?」

といったので俺は素直に答えたのであった。

「ああ、十分に理解したよ。ありがとうな。それでなんだけど……」

「はい?どうかしました?」

「頼みがある」

「僕にできることであれば何でもいいですよ」

「じゃあお言葉に甘えて、俺も君みたいに強くしてくれないか?」

「それはもちろん構わないですけど一つ条件があります」

「それは一体なんだ?」

と聞くと、ユウトは笑顔で俺に言ってきた。

「あなたの全てを見せて欲しいんです。ステータスとかそうゆうのではなくて本当の姿を……」

と言われたので俺も快く了承してやることにする。

「分かった」

と言って俺は本来の姿に戻ることにした。

その姿を見た瞬間、彼女は固まったように動かなかった。

それもそのはず、この世界に生きる人族とは根本的に違う存在の姿なのだから。

ユウトはすぐに我に返り俺に声をかけてくれた。

「お、驚かせてすみません。あまりに予想外過ぎて驚いてしまいました。あととても綺麗ですね」

と本心なのか冗談なのか分からない感じだったが褒めてくれたようだったので一応お礼を言う。

(こいつはほんとよくわからんやつだな)

と思いながらもユウトは質問してきた。

「まず最初に聞きたいことがあるんですが良いですか?」

と聞かれたので答えると、ユウトは俺のことを鑑定し始めたようだ。

「へえーなるほど。やっぱり鑑定持ってるんですか。すごいなぁ〜」

と言ってくる。

なので今度は俺から聞いてみることにする。

ちなみにこの世界の鑑定についてだが、実は鑑定持ちの人に見せることも可能だ。

ただし、あまり見せたくない場合は鑑定阻害系の魔法を使うことも出来る。

そのあたりの判断基準などはよく分かっていないのだが、俺は特に抵抗せずにそのままユウトに鑑定させた。

その結果がこれである。

------

名前:結城理久斗(男)

種族:神人

「す、すごい俺と種族同じなんだね」

と、ユウトがいう。

なので続けて、

「いやーまさか神様が俺のことを知ってるなんて思わなかったな」

と返すと、

「いえ、この前会いに行きましてその時にいろいろお話しました」

「え?マジで!?全然気付かなかった」

「はい。多分気付いてないと思います。僕がこの世界に来て初めて出会った人でしたので、つい嬉しくなってしまって話し込んでしまったんですよ」

とのことだった。

その後俺は、元の世界に帰る方法を尋ねたのだがユウトによると、もう戻れないらしい。

理由は俺が死んだ時、本来ならば魂は天界に行くのだが、その際俺の身体に残っていた魔力や生命力が多すぎたため、それが一気に溢れ出した結果があの空間の歪みを生んだとのこと。

そして、あの現象が起こったことによって神人の数が一時的に減ってしまったらしい。

なので、今後また同じようなことが起こる可能性があるとのことだ。

そのことを聞いた上で、ユウトにある提案をしてみた。

「ユウトさっきの魔物達の討伐だけど、今後も俺が協力してもいいかな?」

「僕は別に構いませんけどどうしてですか?」

「いやまあ俺のせいでそんなことになったんだとしたら悪いなと思ってな」

「気にしないでください。元々の原因を作ったのはこちら側なのでむしろ申し訳なく思っています」

「そういう事なら、ありがたく手伝わせてもらうぜ!」

「ありがとうございます。ではよろしくお願いします」

「おう!任せとけって、でもユウトには剣を扱えたり、補助系スキルもあるんだろ?そっちの方は大丈夫か?」

「はい。問題ありません。剣技はともかく他のものに関しては一通り使えるので」

「まじかよ。そんな奴がこっちに来たせいで魔物が増えたのかよ。なんか悪かったな」

「そんなことは無いですよ。だってあなたと会わなければ今の自分はいませんでしたからね。感謝こそすれど恨みは全くありません」

「そう言ってくれるとありがてぇな」

「ところで話は変わりますが僕の呼び方はユウトさんで良いですよね?」

「ああ、構わないぞ」

「なら私のことはユウナって呼んでもらっても良いかしら?」

「もちろんだよ」

と、いったやりとりをした後に俺たちはお互いの呼び名を決めたのであった。

〜〜

修行を始めて3ヶ月後、 遂にその時が来たのだった。

ある日の早朝、 いつものようにユウトのところに行こうとすると、いきなりユウトのいる方角からとんでもない量の魔力を感じたのだ。

そこで、俺は慌ててそこに向かうことにした。

すると、そこに居たのはなんと巨大なドラゴンだった。

「おい、これは一体どういうことだ?何があったんだよユウト!!」

と、問いかけると、

「あれ、理久斗じゃないですか。どうしたんですこんな朝早くに?」

と呑気な返事が返ってきたのでとりあえず殴った。

すると、

「痛っ……酷いなー、急に暴力振るわないで下さいよ」

と言われてしまった。

だが、流石に今回は少しやり過ぎたと思ったのだろう。素直に謝ってくれた。

「いやすまん。あまりにもあんまりなこと言うもんだからついカッとなってな」

と正直に言うと、ユウトは納得したようでそれ以上は何も言わなくなった。

するとユウトは、目の前にいる竜を見ながら俺に説明してくれた。

「この子は僕と契約している龍種のうちの一体です。名前はドラグラと言います」

「え?契約?お前一体いつの間に……」

「実は少し前にですね……」

とその日起こったことを全て話してくれて、俺も全てを聞かせた。

ちなみに今から話す内容はユウトも知らない話だ。

全てを話し終わった後にユウトは、

「え?それ本当なの?嘘でしょう……」

と言っていたので間違いないだろう。

というわけでここからは二人で力を合わせて戦うことにしようと思っているところなのだがその前にまずは自己紹介をしないといけないということに気づいた俺は、すぐにそれをすることにした。

「まあいいや。取り敢えず今はこいつの相手をする方が先決だな」

「そうですね。まずは話し合いですもんね」

(こいつはほんと切り替え早いな。)

と思いながらも俺はユウトと協力してなんとかこの事態を収めることが出来たのである。

------

突然だが、俺達はこれからとある場所に行こうとしている。

その行き先とは・・

「さあ着きました。ここが目的地になります」

その言葉を聞いて俺はこう呟いたのである。

(ついにこの時がやってきたか)

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