第27話
「また明日ね」
と言い残してリリカと一緒に自室へと戻っていった。
俺が寝ようとしたその時だった。
家の扉が激しく叩かれる音が聞こえてきた。
急いで駆け付けるとそこには血塗れで倒れている村人の姿があった。
慌てて回復をかけると、意識を取り戻した。
「お、お前たち魔族の手下どもはどこへ行った!!早くここから出ていけ!!」
「ま、魔物の群れに襲われたんだよ……」
「なに?それは本当なのか?」
「あぁ、間違いないよ……俺たちはこの村の警備隊だったんだが、急に仲間割れが始まって殺し合いが始まったんだ。そして生き残ったのは俺たちだけになった……。今、他の奴らが必死になって止めてくれているがそれも時間の問題かもしれない」
「分かった。とりあえず怪我を治しておく」
俺は回復を使ったが、傷跡が残ったままで完治させることはできなかった。どうやら致命傷を負った状態で気を失ったせいで治癒しきれなかったようだ。
(どうすればいい?このまま放っておいたら間違いなく死ぬ)
考え込んでいると、
「ユウトちゃん!一体どうしたの?」
「おい、何が起こってやがる」
とガイルやリリカ達がやって来た。
俺は状況を説明する。
「そういう事か。じゃあ俺が行ってくるぜ」
(ガイルは強いから大丈夫か?)
と安心している場合ではなかった。なんせ相手は100を超える数の魔物なのだから。
いくらガイルでも1人で相手にするのは厳しいはずなので加勢しに行くことに。
俺はリリカ達を連れて現場に向かうことにした。
**
その場所に到着するとそこは地獄絵図のような光景が広がっていた。
至る所に死体があり肉塊や臓器などが落ちていた。
吐き気がするがなんとか耐えた。
奥に進むと、 そこにいたのは、人型の悪魔だった。
見た目は黒髪のショートヘアで顔立ちは中性的だ。
身長は180cmくらいあるように見える。
体格は細身だが筋肉質だった。
「君たちがここに来たということは僕の計画がバレたということかな?」
声音はとても冷たかった。
「あなたは誰?」
と尋ねると、
「僕はサタナキア。魔王軍の将軍の一人だよ」と言った。
その口調からはかなり余裕があるように見えた。
しかしこちらとしてはそれどころではなく、一刻も早くこの状況を止めなければならない。
そう思い戦闘体勢に入ると、ガイルが現れた。
「こいつは任せて先に行け!」
と言うので俺はその場を離れる事にした。
しばらくすると剣戟の音は収まりつつあった。
すると今度は悲鳴が上がったのでそちらへ向かうと、大量のゴブリンが襲いかかってきているのを発見した。
俺は咄嵯の判断で雷属性を付与した聖槍を放ち、一掃した。
「ありがとうユウトちゃん」
とリリカに感謝される。
しかしまだ終わりではないようであった。
なぜなら新たな気配を感じたからだ。
**
2日目は終了した。
(ちなみに2日目の朝にガイルさんに会ったが無傷だったので安心した)
3日目以降も同じような日々が続いた……。
4日目……5日目……6日目……。
**
7日目にようやく事態は収束したようであった。
既に村は元通りになっている。
ただひとつ変わったことがあるとすればそれはリリカとガイルの関係だ。リリカはガイルを信頼するようになったらしく毎日一緒に出かけるようになっていた。
俺がそれを見ていることに気づいたのかガイルが話しかけてくる。
「俺も歳だからな。いつまでも若いままじゃない。そろそろリリカにも子供を作ってもらわねぇとな」と言われて少し羨ましく思った俺であった…….. ** 8日目〜12日目 9日目以降も同じようなものが続き14日目となった頃だろうか?変化が訪れた。
14日目になると流石に疲労が見えてきた。
肉体的なものではなく精神的なものだ。
13日目辺りからは日にちを数えることを止めた。
そして今日は15日目である。
昨日までと違う点がいくつかあったのだ。
まず最初に村人同士で殺し合っていた人たちがほとんどいなくなったことだ。
更にはガイルに対して感謝の言葉を述べている場面を何度も目撃していたので、きっと和解出来たのだろうと予想できる。
それからもう一つ大きな変化として、リリカとガイルの仲が良くなっていたことだった。
今では恋人同士に見えるほど距離感が縮まっていたので俺も嬉しく思う反面寂しさも感じている自分がいることに驚いていたりする(笑)。
「ユウトちゃんただいま〜」
「おう帰ったぞ」
と言って出迎えてくれる二人。
「おかえりなさい。夕食が出来てるので食べましょう」
と言い食卓を囲む。
今日のメニューは何やら珍しい食材を使った料理らしい。
とても美味しかった。
** 15日目が終わった。
16日目以降は特に何も起こらず平穏無事に過ぎた。
そして17日目を迎えた時だった。ついにその時は訪れた。
** 1日目 ガイルの家を出て広場へと向かう。
村人が忙しなく行き来していてまるで祭りの準備をしているような賑やかさだった。
「何かが始まるのか?」
と思いつつも歩いていると村長と目が合った。
「おぉこれはユウト殿ではありませんか」
「こんにちは、皆さんが騒いでいる様子ですが何を始めるんですか?」
「あぁこれですか。実は明日から1週間の間、村の外で大規模な狩りが行われるんですよ。そのための用意をしてるのです。なにせ今までは小規模でしか狩を行うことができなかったので今回の大規模遠征によって一気に稼ぐという算段なのですよ。おかげさまでこの村の経済状態は以前よりかなり良くなりましたよ」
「そうなのですね」
「えぇなので今回は皆張り切っていますよ」
「分かります。ところでその……狩りというのはどんな事をやるのでしょうか?差し支えなければ教えていただけませんか?」
「ふむ……まぁ別にいいでしょう。といっても大したことではないですよ。要は魔物を倒せばいいだけです。ただし……危険な場所へ行ってもらうので命の保証はできないと思いますがね」
(やっぱりそうなのか)
「あ、そうだユウトさん。今度良かったら食事でもどうだい?奢るよ」
「すみません遠慮しておきます……」
(悪いけどそんな気分にはなれないので)
というやり取りの後別れた後家に帰りベッドの上で横になる。
(いよいよ明日だな)
〜翌日〜
目を覚まし朝食を食べた後出発の時間まで部屋で過ごした。
やがて時間がやってきたため準備をし外へ出ると、大勢の人が集まっていた。
その中にはガイルの姿もあった。
「お前ならやれると思うぜ。頑張れよ!」
と応援してくれた。
リリカと話そうとしたが他の人達に囲まれていたので断念し、一人で行くことにした。
目的地までは馬車で移動することになったのだが、途中魔物に襲われることがあった。しかしこちらの護衛の方が人数が多かったためなんとか撃退することができた。
数時間経つと森へと辿り着いた。
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