第26話

突然後ろに現れた気配を感じたため慌てて振り返ると、アリスの姿があったのだ。

その後ろには他にもガイルたちもいた。

恐らく助けに来てくれたのだと思う。

(今の状況はかなりマズイな…….. この人数差では確実に勝てる見込みは薄い……..。それに今の一撃でかなりの魔力を使ったしな)

と悩んでいると、

「おい、まだ終わらねえのかい?早く終わらせようぜ?」

とガイルさんの声がかかる。

「ちょっと待ってください、今作戦を考えていますので」

と言うと、

「もう良い、俺が出る」

と言ってガイルさんは前に出てきた。

そして次の刹那、ガイルは消えていた。

そして気づいた時には既にアリスは気絶していてガイルの腕の中に抱かれていた。

「何が起きたんだ?」

と困惑しているとガイルさんが

「ユウトちゃんここはひこうか」と言う。

それに同意する。

正直、ガイルだけで何とかなりそうな感じだった。

とりあえずはここから離れることにした。

魔王城を出て街に戻ると、みんなが心配してくれていたので、問題無い事を伝えると安心してくれた。

そこで一旦解散してそれぞれ休むことになった。

俺もリリカと一緒に家に戻ることにする。

家に帰ってからは、一緒に料理を作ったりして楽しく過ごした。

その日の夜、

「(どきどき)あの、、ガイル」

「ん?どうしたの?ユウトちゃん」

「今日もするの?(どきどき)」

「んー、ユウトちゃんを堪能したい」

ベッドで2人で横になり抱き合う。

「ガイルがいいならそれで」

「可愛いね」

「(どきどき)ガイルったら」

「(いつもこんな感じに可愛かったらいいのに普段は男の子モード全開だからな。)」

そんなことを考えているうちに意識を失った。

「ふぁ〜」

とあくびをしながら起き上がる。

昨日は色々あったが無事終わって良かった。

リリカと朝食を食べるためにリビングに行くと、そこには誰もいなかった。

テーブルの上に手紙があることに気づく。

その内容は

"ごめんなさい、急用ができたので出かけてきます。すぐに戻ります"

と書いてある。

どうやら俺が起きるまで待っていたようだ。

せっかくなので一人で外に出かける事に決めた。

「どこに行こうかな」

と考えると、

「買い物に行きたいな」と思ったので商店街に行ってみることにした。

**

歩いて数分後に着いた。

色々なお店が並んでいる。

その中でも特に気になった場所に入ってみることにしようと思って足を進める。

するとアクセサリーショップを見つけた。入ってみるとそこはとても綺麗だった。

指輪やネックレス、イヤリングなどが置いてありどれも高そうだ。

どれを買うか迷っていると店員が近づいてきて

「何をお探しですか?」

「んー、(ユウトちゃんの結婚の証どうしよう)結婚の証って何がいいと思います?」

「結婚を考えているのです?それでしたら指輪ですかね?最近では指輪ではなくネックレスやイヤリングで誓いを立てる場合もあるようですが。相手の女の子の指輪のサイズが分かるのでしたら指輪がオススメですね」

(そういやユウトちゃんの指のサイズ知らないや)

「そうだな。『ネックレス』をお願いします」

「彫りは入れます?」

「彫りとは?」

「彫刻印で相手の名前やファミリーネームなどを掘っておくのです」

「あー、なるほど……でしたら」

「フルネームで頼むよ!」

「はい、わかりました。では少々こちらへ来てください」

と案内される。

2分程歩くと

彫金屋にたどり着いた。

中に入ると様々な金属が並ばれておりいかにもそれらしい雰囲気が漂っていた。

「いらっしゃいませ〜!本日は何をお求めでしょうか!」

と若い女性の店員が出てきた。歳は20くらいだろうか。

とても元気のある子だった。

「えっと、彼女へのプレゼントを作りたくて……名前はユ、ウ、ト。あとファミリーネームも」

と伝えると、女性はメモ帳を取り出した。

「ユウト様のお名前とファミリーネームを教えていただけませんか?」

と言われたので答えると、女性が少し考えてから口を開いた。

「文字数は大丈夫ですか?」と言われ、多めに伝えておくように言われたのでその通りにした。

すると

「畏まりました。それでは作成しますので受け取りには最短で2週間から3週間ほど頂きますがよろしいです?」

「はい」

俺はユウトちゃんの結婚の証であるネックレスを準備した。

『ユウト視点』

「直ぐに戻るって言って時間が掛かってしまった」

とリリカと共に帰路につく俺だが、実はあの後すぐには戻らなかった。というのも、リリカの家に戻った時、ちょうど親父さんがいたのだ。

挨拶をして世間話を少しした後に、先程の事について聞いてみた。

やはり何かおかしいというのだ。

しかし心当たりは無いとのことだったのでこれ以上は何も分からなかった。

(俺が原因なら謝らないとな)

と思いながらリリカの家に帰宅する俺であった…………。

「おかえりなさいユウトちゃん」

「おかえりユウトちゃん」

リリカとガイルが迎えてくれる。

リリカはエプロン姿だ。きっと夕食を作っていたのだろう。

「ただいま戻りました」

「ご飯出来てるわ」

「ありがとうございます」

と言って席に着く。

今日のメニューはシチューのようだ。パンも焼きたてで良い匂いがする。

早速食べてみると本当に美味しかった。

ガイルさんはビールを飲み始める。

「(ごくっ)ぷはぁ、最高にうまい」

と言っている。

食事が終わり片付けが終わると、みんなが寛ぎ始めたので俺も自分の部屋で休もうと腰を上げると、

「ちょっとユウトちゃんこっち来て」

とガイルに手招きされたので向かう。

リリカもついて来た。

ガイルはリリカがいないことを確認すると真剣な表情になりこう告げる。

「リリカの様子が変なんだ。まるで洗脳されてるような」

「どういうことです?」

「さっきリリカの魔力を感知したんだが、それが以前感じたものよりも遥かに強くなっている」

「え!?」

「恐らくこれは魔王軍の仕業に違いない。あいつらは人間を操り人形にする魔法を持っているはずだ」

と続けて話す。

確かにそんな事を言っていたがまさか現実にあるなんて。

だとするとかなり危険ではないのか?

もし仮にこの村まで襲ってきたら守り切れる自信がない。何とかしないと。と考えているうちに夜が更けていった。

** 1日目が終了した。

「おやすみユウトちゃん♪ちゅ♡」

ガイルはユウトにキスをする。

本当なら、夜の営みとかもしたいだろうが次の日に支障が出るのを避けたいのだろう。

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