第25話

「君は誰なんだ?」

すると

「えっ忘れたの!?」

と驚かれたので覚えていないというと悲しげに俯く。すると

「まあいいわ」

と言われたので安心して質問を再開する。

「君の名前はなんていうんだい」

「私はメイリンっていうの」

やはり妹だったらしい。

でもどうしてここに来たかというと、実は彼女はアンドロイドなのだ。

なのでこの街にある研究所で働いていたのだがある日突然暴走してしまい、それ以来行方不明になっていたらしい。

だから助けてくれた人を探して回っていたところ俺がそれを見つけて助けたということだった。

その後事情を聞いて俺が保護したというわけだ。するといきなり後ろから衝撃が来た。

振り向くとリリカが抱きついていたのだ。

「良かった〜本当に無事でよかった〜心配しました」

と泣きながら言ってきたが、リリカの身体が震えていたのに気づいて優しく抱きしめるのであった。

俺は一旦リリカが落ち着くまで待つことにした。

そして落ち着いたリリカを連れて街を散策することにした。

街の人たちからは感謝の気持ちを伝えられて、握手を求められたりした。

そして俺達はある場所に来ていた。

それはリリカの家だった。

今は誰も住んでいないのだが一応見ておきたいと言ったのだ。

家の中は埃だらけだったが、家具などはそのまま置いてあったため、そのまま使うことにする。

そして次元装置で

王国へと戻る。

「戻ったみたいだな」

レナードがいう。

「リリカちゃん大丈夫だったかな」

とアリスが言った。

「きっと大丈夫だよ、信じようぜ」

とガイルは励ましの言葉をかける。

「それにしても疲れた…….」

と俺はベッドにダイブする。

「今日はもう寝るか……」

と言うとみんなも賛成してくれた。

翌日、いつものように訓練を始める。

ちなみにリリカも参加している。

最初はかなり遠慮していたが、無理やり参加させた。

リリカは最初こそ慣れなかったが次第に馴染んできた。

最近はよく話しかけてくれるようになった。

そんな時だった。

「ユウトさん、今度一緒に出かけませんか?」

と誘ってくれたので勿論了承する。

どこに行くかは内緒ということらしい。

楽しみにしていようと決めた。

そんな感じで時間は過ぎていく…….

「さあ行くぞ!」

そう言いつつ走り出すガイル。

「待ってください!」

と追いかけるセフィーナさん。

「頑張って下さい」

と応援してくれるアリシア。

「行ってきます!」

と言って走っていく。

俺とリリカ。

「行きましょうか」

と微笑みかける。

「うん!」

と元気な返事をする。

その顔はまるで天使のような笑顔だった。

そうして一日が始まった。

それからしばらくして俺らは魔王城に向かっていた。

理由は単純で魔導師を倒す為である。

なぜこうなったかというと、まず俺たちのところに手紙が届いたからだ。

内容はこう書かれていた。

"拝啓、魔族の皆様へ" あなた方にお伝えしたいことがございます。近頃人間達が魔族領に攻め入ろうとしています。

そこで私たちは話し合いの結果魔族との共存を目指していくことになりました。

ですのでどうか人間の国に攻撃するのは止めていただきたく思います。

宜しくお願い致します。

魔導師の長より という内容の手紙だ。そして魔族はというと

「俺らは魔導士と戦う気は無い」

という意見で一致していた。なので俺らが倒すしかないという話になった訳だ。

そして遂に魔城に辿り着き扉を開ける。

中には魔導師の長が立っていた。

「来てくれましたね、ありがとう」

と頭を下げる。

俺らも挨拶をして、本題に入る。

「ところでどうやって攻めてくるんだ?」

と聞くと、

「こちらに向かっている途中に待ち伏せをしかけます。そして全滅させていき、最後には私たちが戦います」

とのこと。

どうやら戦うつもりらしい。

すると「私達も手伝うわ」

と誰かが言う。声の主はなんとアリスだった。

そしてそれに続くように

「僕たちも手伝います」

とレナードとセフィーナが名乗り出た。

すると他の人も続々と集まってきた。

そして全員が戦闘準備を整える。

すると早速奴らが現れたようだ。

しかし、いくらなんでも早すぎる気がする。

もしかすると転移魔法でも使えるのかもしれない。

だが考えている暇はない。

目の前には敵が迫ってきている。

俺は剣を構えて飛び出した。

「皆さんは先に進んでいてください!ここは俺たちが食い止めるので!!」

「わかったわ、頼んだからね!」

とリリカは言ってくれた。

そして全員で先に進む。

「よし、やるぞ」

「おうよ!」

「はい!」

「わかりました」

「了解」

「分かりました」

「任せろ」

「ああ」

こうして俺たちの戦いが始まる。

俺は一人で戦い始めた。

流石に敵の数が多すぎて一人じゃ無理だと悟ったからだ。

幸い相手はまだ雑魚ばかりだ。

一気に片付けるのもありだろうと思い全力を出す。

「神化発動」

すると全身を白いオーラが覆う。

これで更に強くなれるはずだ。

俺が先頭にいる敵に突っ込むと、一瞬で倒せた。

あまりの力の差に自分でも驚いてしまう。

俺はどんどん敵をなぎ倒して行く。

そして遂に最後の一体を倒し終わったその時だった。

「よくここまで来た」

と上から声が聞こえてきた。

見上げるとそこには黒い翼の生えた人型の魔物がいた。

そいつが魔王なのかと思ったが少し違うような感じがした。

俺はその魔物に話しかけた。

「お前が魔導師か」

「そうだ」

「なら悪いことは言わない、すぐに降伏しろ。さもなくば殺すことになるぞ?」

と警告する。

普通はこんなことではビビリもしないのだが、こいつは別格だった。

何故か恐怖心を植え付けられるのだ。

「ラミエルが俺が名前だ」

ラミエルと名乗る魔導師はそう答えた瞬間、俺に向けて闇の弾を撃ち込んできた。

俺はそれを避ける。

すると続けて今度は大量の火の玉を投げつけられた。

それを全て避けながら近づく隙を探る。

しばらく膠着状態が続いた。そして痺れを切らせたのか、次は巨大な炎の塊を作って投げつけようとした時だ。

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