第24話

「実は俺、勇者なんだよね」

と言うと、

「やっぱりそうなのね」

と納得していた。どうやら俺の正体を知っていたらしい。

「じゃあ次からは私のことを守ってくれる?」

と言われ、少し考えてみる。確かに守ってあげた方がいいかもしれないな。それに彼女は可愛い。

「もちろんですよ」

と笑顔で言うと嬉しかったのか

「やったー!!」

と言っていた。

その後二人でお店を回る。

リリカはとても楽しそうだ。

洋服屋に着くと早速試着する。出てきたのは黒を基調としたゴスロリ風の服だった。

似合っていますよという感想を言うとすごく喜んでいた。その後も様々な服を着ていたが全て可愛かった。

その後はアクセサリーショップに行ったりして楽しんでいた。

途中で指輪を買ったりもした

(値段はかなり高かった)。

楽しい時間はあっという間に過ぎていきもう夜になっていた。

「今日はありがとうございました。とても楽しめましたよ」

というと、こちらこそと言われて少し嬉しい気持ちになる。

「明日はどうする?」

と聞かれたけど特に何も考えていなかった。

しばらく考えるとある事を思い出して、すぐに実行することに決めた。

それは機械世界に泊まるということだ。

さすがにこんな状況で外にいるわけにも行かないと思ったからだ。

そして今晩はこのショッピングモールに止まることにした。

お金に関しては問題ないので大丈夫だ。

ご飯を食べ終わった後、ホテルに行って休むことにする。

部屋に入ると、そこは広々としていて快適だ。ベットの上に寝転ぶとリリカは隣に横になった。

「疲れた〜」と言いながらリリカが倒れてくるので優しく抱きしめてあげて頭を撫でてあげる。

すると「ふぁ〜♡」と声を出していたのでそのまま眠らせることにした。

翌朝、起きてからリリカが恥ずかしがっていたが、気にせず一緒に朝食を食べる。そして機械世界観光ツアーに向かう。

その前に俺はリリカにプレゼントを渡した。渡したのはペンダント型の通信機とイヤリング型の録音機の二つ。どちらも超小型マイク付きだが、周りに音を拾わないようになっている。

これさえあればいつでもリリカと会話できるのだ。使い方を教えてあげると喜んでくれていた。

それから機械世界案内ツアーが始まった。最初はこの都市にある遊園地に来た。ここには有名なジェットコースターがあり、人気スポットになっている。

リリカは絶叫マシン系は苦手らしくあまり乗りたがらなかったが、なんとか乗せると「きゃ〜〜〜!!」と叫びながら楽しんでいた。

次は水族館。魚たちが泳いでおり、中には珍しい魚もいた。そして最後は展望台。ここは360度見渡す限りの景色が広がっており、素晴らしい絶景が広がっていた。リリカはそれを見て感動しており、思わず写真を撮りたくなるほどだった。

そんな時だった。

突然警報が鳴り響く。そしてアナウンスが流れる。

「緊急事態発生!!非常事態が発生しました!直ちに避難を開始してください!」

俺は急いで外へ出るがすでに手遅れだった。

「逃げろぉ!!!」

と人々が逃げる中、俺は立ち尽くすしか無かった。

目の前には巨大なロボットがいる。

それも二体だ。

一体は戦闘機のような形をしているがもう一体は戦車のような姿をしている。

そして攻撃を始める。

まずはミサイルを撃ち込む。

そして次にロケットランチャーを撃ってくる。さらにレーザーを撃たれる。

街が燃え上がり破壊されていく。

そして俺は呆然と見ていた。

「リリカ…….リリカ……」

と言っても答えてくれるはずがない。だって死んでいるから……そんな時だった。

「あれ?あなた生きてたんですか?」と声をかけられたのは。

声の主の方を見るとそこにはセフィーナさんがいた。「はい、何とか」

と答えると、

「それならよかったです」

と言ってくる。

「ところで何があったんですか?」

と聞くと、

「ああそれですね」

と言って話し始める。

なんでも昨日、俺らが乗っていた飛空挺を軍が追いかけていてずっと追い続けていたらしいのだが、遂にここまで来たのだという。

それでここで迎え撃つ為に待機していたという訳である。

そこで俺を見つけたから話しかけてきたらしい。

「ガイル!」

「ユウトちゃん大丈夫か」

と聞くと、

「この人を頼む」

と言うと、わかりましたと言って連れていった。

「さあ戦いますよ」

と言って剣を構えると、

「はいっ」

と返事をして杖を構えて詠唱を始めた。

「我、光の加護を受けるものなり、闇を切り払う力を欲す、今ここに顕現せよ!シャインスピア!!」

そう言うと眩しい光を放ちながら無数の槍が飛んでいき、見事命中する。しかし傷一つついてないようだ。

今度は魔法での攻撃に切り替える。

「我が手に宿りし力よ敵を穿つ矢となりて放たれよ」

「マジックアロー」

俺の手に現れた魔方陣は敵に向かって一直線に飛び爆発を起こす。

それでも全く効いてないようにみえる。

「こいつ硬いな」

「なら!次はこれよ『ファイヤーボール』」

「続いて、『アイスランス』『サンダーボルト!』」

と次々と強力な攻撃を繰り出すが全て効果無し。

すると、

「私の全力を受けなさい」

そう言って俺に合図を出す。

「わかった」

「聖なる十字架に裁かれよ」

「ホーリークロス」

十字の形をした白い光がロボを襲う。

流石にこれは耐えられないようでダメージを負っている。これで行けると思ったが次の瞬間、なんと奴らは合体した。そして、片方の腕が外れ、砲台のような形になるとそこからビームを放った。

それにより建物がいくつか崩れ落ちている。

そして、また元の機体に戻る。

どうやら完全に倒さないとダメらしい。

「あの子もやるわね」

「そうだな」

「私達も頑張らないとね」

「そうだな」

と言いつつ俺たちも戦い始める。

とりあえずは遠距離攻撃の対策を取るために近づこうとしたその時だった。

「お兄ちゃーん!」

と叫びながら近づいてきた女の子が、突然大きな炎を出した。その火は見事に敵に直撃する。だが、どう見てもただの火の玉だ。こんなんでどうなるのかと思ったがすぐに分かることになった。なぜなら当たった所を中心に一気に広がったからだ。そして辺り一面を燃やし尽くした。

もちろんこのショッピングモールも例外ではない。

「危なかった〜」

と呑気に言っているその子は、どう考えてもこの子のお母さんだと思われる人と瓜二つだ。

ということはまさか妹なのか?

と疑問に思ったので聞いてみる。

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