第23話
すると、既にガイル達が待っていた。
「おはようございます」
「あ、あ、あ、お、は、よう」
リリカがガチ照れしている。可愛い。
「あ、朝から激しいな」
メルシアは顔が赤い。そして少し目がトロンとしている。こちらも可愛らしい。
レナードは無言。だけど耳まで真っ赤になっている。
そんなこんながありながらも遂に出発の時間になった。皆が乗り込むと
「では行きますよ」
とアナウンスが流れる。
徐々に浮き上がり高度を上げていく。
「うわ!すげぇ!!」
とメルシアが言う。それを聞いて俺は
「確かに高いですね」
と答える。
ある程度の高さに達する。
「では、目的地は何処にしましょうか」
「じゃあ、私の故郷にしてくれないかしら」
「え、そうなの?」
「まあいいわよ」
と俺が聞くと即答された。俺が操縦桿を握る。そのまま旋回していく。やがて目的の場所にたどり着くと着陸をした。
「さてと降りましょう」
と俺が言うと全員が降りる。
そこは海が近く、港がある街だった。
「ここが俺の故郷の島だ」
とガイルが言う。
俺らは早速歩き出す。「久々ね。ここにはよく来たわ」
「そういえばお前はどうしてここにいるんだ?」
「私が10歳の時に親に捨てられたの」
「そうだったのか……」
「別に気にしてないから大丈夫」
しばらく歩くと大きな建物が見えてきた。
「あれが孤児院だ」
中に入るとそこには沢山の子供がいた。
「こんにちはー。誰かいますか?」
「は〜い」
奥の方から元気な女の子の声が聞こえてくる。
「こっちに来ますね」
と、ユウトが言った瞬間 ドスン!!と勢い良く扉が開かれ少女が現れた。
「ふぅ。危なかった。ちょっと目を離した隙に逃げられちゃったのよね」
その子は金髪の髪でツインテールをしており身長は低い。だが胸は大きい。
「貴方達誰?」
「初めまして。僕はユウトと言います」
「私はエリーナよ」
「それでこちらにいるのは僕の仲間の皆です」
と、紹介を終えると次は
「へえ、君強いんだ」
と突然言われる。
「何故そう思いますか?」
と返すと
「魔力の質が違うもの。それと君のオーラは他とは違って禍々しいものがあるのよ」
と言われてしまった。どう答えればいいか分からなかったのでスルーした。「それより何か用事があるんじゃ無いですか?」
「あっ、そうだね。そうそう、お母さんとお父さんに会いに来たんでしょ?」
「ええ、そうです」
「そっか。案内する」
と手を掴まれ連れて行かれた先は地下へと続く階段があった。その先には鉄格子の部屋があって中には女性が1人いた。
「あなたがユウトさんですか?」
「ええ、そういう君は?」
「申し遅れました、私の名前はセフィーナです」
彼女は綺麗な白髪をしていて優しそうな雰囲気を出していた。歳は30代前半といったところだろうか?美人である事は間違い無かった。
「ところで、そちらのお嬢様は?」
と言われ俺は自己紹介する事にした。するとまたもや後ろから抱きつかれた。今度は柔らかい感触と共に背中に2つの突起物を感じてしまう。
「ひゃあん!?」
変な声を出してしまい恥ずかしくなる。
「ごめんなさい。びっくりしましたか?」
「いえ……はい……」
と言う事しか出来なかった。
「ところで、ユウトくんには娘を助けてもらった恩があるので何か困りごとがあればなんでも言ってください」
と言われる。なのでこの先にある機械世界について聞いてみる事にした。
「実はある人の頼みでそこに行かなければ行けなくなったのですが、何か良い方法は無いでしょうか?」
「それは大変ですね。う~ん、転移装置ならありますけど?」
「なんですかそれ?」
「簡単に言えば別の次元の世界に行く為の門みたいなものです」
と説明を受けると俺は閃く。
もしかしたら俺の固有魔法でいけるかもしれない。
「あの、もしお時間があるようでしたら見せてくれませんか」
「わかりました。それではついてきてください」
そしてとある部屋につく。
そこはとても広い場所で色々な実験器具が置かれていた。
「それでは今から出します」
と言って何か呪文のようなものを唱えると部屋の真ん中に光の輪が現れる。「これはゲートといってこれを通れば違う世界に行けるんですよ」
と言われた。試しにやってみる事にした。
俺は入るとそこには広大な大地が広がっていた。まるで地球のような風景だった。
そこで振り返るともう既に光は無くなっていた。
とりあえず外に出ることにする。「あ、おかえり」
と言ってくる。
「ただいま」
と言って地上に戻ると何故かガイル達が居なくなっていた。
「えっ、嘘。もしかして迷子になったのか?」
と焦っていると目の前にリリカが出てきた。
「どうしよう……。」
リリカの目からは涙が溢れ出していた。そんなリリカを見たら自然と抱きしめていた。
「よし、探すぞ」と言って周りを探知しようとすると
「お待ち下さい!」
という大人の女性の声が聞こえる。
振り向くとそこにはリリカにそっくりな女性がいた。
「貴女は?」
「失礼致しました。私はリリカの母であり、ここの院長を務めています。」
なるほど。だから似てるのかと思った。その後事情を説明すると納得してくれたようだ。「お連れの方達は恐らく迷いの森に飛ばされていると思われます」
「森?」
「はい。あそこは入った者全てを飲み込む恐ろしい場所です」
と忠告された。だけど行くしかないので向かうことに。
俺が運転して行こうとしたのだが止められたのでリリカが乗ることになった。最初は少し嫌がっていたが最終的には折れてくれた。
「じゃあ行きますよ」
と言いエンジンを起動させる。ブオン!と音を立てて発進していく。
しばらく走ると木々が生茂っていてとてもじゃないが走れそうになかった。
仕方なく空を飛ぶことにした。空から見ると一面木だらけだった。
「本当にこんな所に人が住めるのか?」
と呟いていると ガサガサ!!という音が聞こえた。急いで降りるとそこにはガイル達がいた。
「みんな無事だったか」
と言いながら近寄ると ガイルはいきなり土下座をして
「すまねぇ!!」と言った。何の事かさっぱり分からなかったが話を聞くと
「実は俺達、転送中に魔物に襲われてお前らの乗ってきた飛空挺を奪われちまったんだ」
と言うのだ。どうやらとんでもない事をしてしまったらしい。
「別にいいよ。でも、どうやって戻るつもりなんだ?」
と聞くと
「まぁ待ってろ。すぐに戻るからさ」
と言われてしまった。仕方ないのでここで待つ事にする。
それから30分後。
「ユウト殿!!助けに来ましたよ!!!」
と聞き覚えのある声と
「ユウト君!!大丈夫!?」
と心配してくれる声を聞いて安心した。
「はい!!問題ありませんよ」
と答えたのであった。
「はい、これ飲んでみてね」
と言われ出されたのはお茶だ。
色は緑で爽やかな香りがした。一口飲むと、味は普通の抹茶と一緒だが効果は抜群で体力が回復した。
「ありがとうございます。助かります」
とお辞儀をする。
すると、
「いえいえ、気にしないでください」
「それより早く帰りましょうよ」
とメルシアとユイから言われたので帰る事にした。「あれ?そういえばセフィーナさんは?」
「お母さんなら、今は街に行ってるわ」
と返される。
「そうなのか。ところでセフィーナさんとはどんな関係なんですか?」
気になって質問してみると、顔を赤らめさせながら
「それは内緒……」
と答える。その様子はどこか恥ずかしそうにも見えた。
「なんだよ〜教えてくれても良くないか?な?な?」
と肘でツンツンしながら言うと、
「う、うるさい!!!!」
と怒られた。
そしてなんとか森を抜けて車に乗る。「それでこれからどこに向かうんですか?」
と聞かれたから正直に答えようと思う。
「まずは機械世界に向かいたいと思います」
「分かりました。それでは出発します」
とエンジンをかけると、リリカは興味深々といった感じに見ていた。俺はなるべくゆっくり走らせる事にした。
そして約1時間で機械世界に到着した。「到着しました」
と言って車を降りて辺りを見回す。そこにあった建物はどれも高層ビルばかりで、まるで東京みたいだと感じる。「それでは皆さん、僕はこの辺で。また会いに行きます」
と言って去ろうとすると、
「私もついて行ってあげる」
と突然言われ、さらに
「ユウト様のお手伝いをさせて頂きます」とまで言われる始末である。
なので一緒に行動する事になった。
「それでは機械世界を見て回りますか」
と言って歩き始める。
「ねえ、どこにいくの?」
とリリカから声をかけられたので
「とりあえずこの都市で一番大きなデパートに行く予定です」
と答えると
「わかった」
と言って着いてきてくれる。
道中色々なお店がある。
コンビニみたいなものもあればゲームセンターもある。
そんな時だった。後ろから銃を突きつけられる。
「おい貴様!そこで止まれ!」
と言われたので足を止める。
「すいません、僕たちは怪しいものでは無いのですが」
と言って振り返るとそこには白衣を着た科学者のような人がいた。
「嘘をつくんじゃない!こっちには証拠があるんだぞ」
と言われる。見せられた写真を見ると俺の顔だった。
しかも、いつの間に撮られていたのか分からないが飛空挺から降りる俺らを写していた。「これは俺ですが何かあったんですかね」
と聞くと
「我々はあの飛空挺を追っている者だ!だからこれ以上動くな!さもなくば撃つ!分かったか」
と凄まれる。だけど俺は怖くなかった。なぜなら……
「そうはいかないんですよね」
と言うとその瞬間、相手の頭が吹き飛ぶ。
「えっ?」
と驚くリリカを無視して次々と殺していく。リリカはその様子を呆然と眺めている。
「さて、行きますよリリカ」
と言うと、リリカがビクッとなりながらも返事をしてくれた。
「うん」
その後俺達はその場を離れた。
「どうしてあんなことをしたの?」
と聞いてきたので理由を話す。
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