第22話

「ふぅ〜ん」

「というわけでだ俺のスリーサイズは言えないのだ」

「なんで?」

ガイルは溜息をつくと、ユウトを見て言った。

「ユウトがあまりにも可愛いからだ。これ以上は俺の口からは言わせないでくれ」

「分かったよ。じゃあお前らに1つ提案がある。ユウトの身を守る為にも協力してくれ。ユウトは今狙われている可能性がある。ユウトを狙ってきた奴らは恐らくだが、俺達よりも遥かに強い。俺達が束になっても勝てるかどうかも分からない程だ」

ガイルの言葉を聞いた皆は一斉に黙り込んだ。

「それってマジかよ……」

「ユウトちゃん……」

「嘘ではないな」

「ああ」

「ユウト……」

それぞれがそれぞれの感情を抱いていた。

ガイルの一言により、場の空気が変わる。

「とりあえずユウトちゃん。今は安全な場所に移動させた方が良いな。さすがにあの人数で来られたらユウトちゃんを守り切れないかもしれない」

「ああ。それにユウトがどこに居るかも特定されているはずだからな。このままこの場に留まる方が危険かもしれねぇ」

2人の話を聞いて納得したように僕は話す。

「そう、です、ね。僕もそれは思ってました。なので、まずは拠点に帰りましょう。それで、その後は皆さんにも着いてきて欲しい所があります」

「ああ、構わないぜ」

と、僕は答えた。

「ありがとうございます。それと、ここからは僕の考えなんですけど、多分だけど敵は王城まで来ると思います。なので、それまでは絶対に警戒は解かないようにしてください」

「何故、そこまで分かるんだ?」

「簡単なことですよ。だって、そこはもう僕の領域だから、そして、僕のテリトリー内であいつらが好き勝手に動くことは出来ない。仮に動いたとしても、その瞬間に感知出来る。後は簡単、あいつらを捕らえて尋問すれば良いだけですから」

「なるほどな。そういうことなら俺はお前に従うぞ」

ガイルは納得したようだった。

「私も同じかな」

「ユウトちゃんが言うなら間違いないわよね」

「それと俺は天空にも応援を要請しました」

「天空って天空界!?」

「はい」

「機械天使ってのがいるあの天空界?」

「はい。機械天使は『エフェメロード』の事ですね」

「あれってそんな名前なんだ」

「別名『執行者』とも言われています」

それからも話し合いを続けていく。

すると、あることに気づいた。

「そういえば、皆様のお名前は聞いてませんでした。よろしければ教えて貰えませんか?」

と聞くとメルシアが代表で教えてくれた。

「私はメルシア・フォーネストよろしく」

次にリリカ。

「リリカだよ。よろしくお願いします」

最後にレナード。

「私はレナード・フォースターだ。普段は王国騎士に所属している」

と3人が挨拶してくれたのでユウトは頭を下げて返事をする。

「ユウトと言います。年齢は18歳です」

自己紹介が終わった所でメルシアは疑問をぶつける。

「でもユウト、本当にどうしてあんなところにいたの?」

「え?あぁ、実はですね。最初は冒険者として依頼を受けて魔物討伐をしていたんですよ。そしたら急に襲撃に遭ってしまって、そのまま森の中を逃げ回ってました。何とか撃退出来たと思ったら崖下に落ちててそこから動けずにいました。助けて頂いた事に感謝しています」

と、話をしたが、ユウトは内心焦っていた。

(やばいやばいやばい!!めっちゃテンパってるんだけど。どうしよう!適当すぎるだろ!)

と、そんな事を考えていると2人から話しかけられる。

「そんな事があったんだな。でも無事で良かったよ」

「ユウトちゃん……怖かったでしょ?」

と、心配そうな表情でこちらを見てくる。

「はい。死ぬんじゃないかと思いました」

「よし!ユウトこれからは俺らが守るから安心しろよな!」

「うん!任せておいて!必ず守ってあげるから」

「あ、ありがとうございます!!」

ユウトは嬉しくて泣いてしまった。泣き止むまでの間、みんなはずっと待ってくれていたようだ。

しばらく経ってユウトが落ち着いた頃合いで

「それじゃ!早速行くか!」

というガイルの号令と共に、僕達はユウトの拠点に向かって歩き出した。

ユウトたちは森を出て街へ戻ってきた。

「うっわ!相変わらず人多いね〜」

「そりゃあそうだろうな。ここは大陸一の都市だしな」

と、ガイルが言うと、メルシアは不思議そうに首を傾げる。

「ガイルはここ出身じゃないのか?」

「まあな」

「そうか。それで、ユウト何処に行くつもりだ」

「あ、ここです」

と言って立ち止まった場所は街の外れにある小さな小屋だ。

「こんな所に家があるの?」

「はい。元々両親が建てた家でした」「なるほどな。じゃ、入ろうぜ」

扉を開けるとそこには綺麗な庭と一軒家が建っていてとても大きいわけではないが小さすぎもしない。丁度いいサイズだと思う。

「おぉ〜意外に広いわね」

「そうですね。少し寂しい感じもありますけど、住んでみると悪くないかもしれません」

「そうだな。ユウトが良いと言うなら俺も構わない」

「ガイルとの愛の巣にもしたいから」

と俺はもじもじしながら言う。

他の人は奥へと行く。

(((2人だけにしておきましょう)))

ガイルはユウトの頭にポンッっと手を乗せると優しく語りかける。

「ありがとよ」

「ふぇ?」

ガイルはそのまま玄関まで歩いていく。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ」

「早く来ないと置いてくぞ」

「分かったから」

その後を追って皆がついてくる。

家の中に入るとユウトが皆に言った。

「では、僕の部屋に行ってください。今から大事な話があるので」

そうして僕は自分の部屋に皆を連れていき、リビングに全員を集める。

「それでは話を始めさせていただきます。まず最初に、僕は皆さんに謝らなければなりません。すみませんでした」

「それはどういうことだ?」

ガイルが尋ねると僕は答えた。

「皆さんは僕が何者か分かっていますよね?」

「ああ、それはな」

「勇者?」

「いえ」

「魔王」

「なわけない」

「人間」

「人間じゃないよ」

「え!?人間じゃないの?」

「そうなのか」

「種族は神人(コミュート)だよ」

「「「「神人(コミュート)!?」」」」

神人は天空界からやってきたとされる者である。

天空界は機械世界と言われ数々の便利な機械を発明したり

機械天使を作り地上と魔界のパトロールに回すなど行う。

「そうだったんだ」

「勇者じゃないとしたら学生?」

「エフェリール冒険者大学の学生ではあるよ」

「それが答えでは無いわけね」

「そうだね」

「なるほど、とりあえず理解はした。それともう一つ聞きたいことがあるんだがいいか?」

「はい。なんですか?」

「その、なんだ、俺らはユウトの仲間って事で良いんだよな?」

「もちろんです」

「ありがとう」

「改めてよろしくな」

「ええ、よろしく」

「よろしくお願いします」

「よろしく」

皆が歓迎してくれた事が嬉しかった。

「ところで、何故このタイミングで俺らをここに呼んだんだ?」

「敵が襲ってくるからですよ」

「だからこの場所なんだな」

「はい。ここは領域が張られているので、誰も入ってこれません。それに感知出来るので守りやすいんです」

「なるほど」

「後、ユウトはこれからどうする気なの?」

「王都へ向かいます」

「何のために?」

「目的は二つ。一つは両親に会うこと。それと、敵の殲滅。これが僕に課せられた使命なので」

「了解した。だが、どうやって行く?」

「飛空艇に乗ります」

「あの空飛ぶ船か」

「はい」

「いつ出発するの?」

「明日ですね」

「随分早いな」

「え?何か問題でもありましたか?」

「いや、ただ驚いただけだ」

「分かりました。準備をしておいてください」

「おう」

「私達はどうすればいい?」

「一緒に来て貰っても良いですか?」

「うん!」

こうして話し合いを終えるとユウトは寝ることにした。

(まさかこんなことになるとはなぁ)

(でも、これはこれで良かったかもな)

(だって仲間が出来たし)

(しかも凄い人達だ)

(よし、今日はもう遅いから休むことにしようかな)

ユウトはベッドで横になると

ガイルが

「ユウトちゃん」

俺の頭を撫でてくれる。

「キスしよっか」

「うん」

少しだけ舌を絡めるキスをする。

その後

ガイルと身体を重ねた。

俺もどきどきしていてガイルにならって思うようになっていたから。

翌朝

服を着替え

互いに昨日のベッドでの事を思い出し互いに顔を赤くする。

「今日から王都めざして頑張ろ」

と言って俺たちは飛空挺の発着場所まで行く。

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