第21話
「どうしたいのです?」
「謝らせてほしいのよ!」
「はい?」
「私はあなたの事を男だと思い込んでいましたが、本当は女の子で、しかも私より年下なんて……。本当にごめんなさい」
「え、そうなんですか?」
「ええ、だからお願いします。なんでも言うこと聞きますから許してくれませんか?」
頭を下げ懇願する。
「ん〜困りましたねぇ。ユウトちゃんはどうして欲しいですか?」
「えっと……ゆ、許します」
「ありがとうユウトちゃん!本当にごめんなさいね」
そういって僕の頭を優しく撫でる。「それでは皆さんこちらへ」
3人で村の外へと向かう。
途中後ろを振り向くと、彼女が手を振っていたので振り返すと顔を赤くしていた。
(なんかかわいいな)
外に出るとガイルたちがいた。
「おー、ユウトちゃんよかった無事で帰るよ」
「は、はーい」
どうやら依頼は完了していたみたい。
(俺はなんもしてないぞ)
そんなことを考えていると突然目の前に魔法陣が展開される。
「な、なんだこれ!!」
慌てて離れようとするも遅かった。
吸い込まれるようにして僕らはその場を去った。
ーーーーーー
「ふぅ、ここまで来れば安心でしょう」
「なにが起こったの?」
「転移術です。俺たちのパーティは基本これを使えます」
レナードは口が開いたままぼけーとしてる。
「だ、大丈夫?レナード」
「は!?、、す、凄すぎんか!君たちのパーティ」
「そうかな?」
「普通だろ?」
「ユウトの3種類同時魔術発動よりは普通だよね」
「は、はい!?3種類同時魔術発動ってなに!!?」
今度はレナードが爆音で声を出す。
それに驚いてしまい、またもや叫んでしまう。
「うるせーーー!!!」
「あ、すみませんでした。でも、まさか複数属性持ちとは、やはり天才ですね」
「違うってば。俺は全種類の魔術適正あるの」
「「「「「「は?」」」」」」
全員が同時に声を上げた。
そしてレナードが俺のことをまじまじと見つめてくる。
「なんてやつなんだよ君は!最高じゃないか」
レナードは絶賛し
他メンバーは全魔術適正があることは知らなかったようで
「「「「「なんで言ってくれないんだよそれ!」」」」」
全員で一斉に言われたので、思わず苦笑いをしてしまう。
「まあ、とりあえず一旦休憩にしましょう」
「賛成です」
それから、しばらく休むことに。
するとガイルさんが話し始めた。
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はガイルよろしく頼むぜ」
「僕はレナード・フォースターといいます。王国騎士で一応SSSランクの冒険者です」
「あ、はい知ってます」
「あちゃ〜」
ガイルとレナードと軽く挨拶をする。
続いてメルシアとリリカという女性の番になるのだが……
何故か2人ともモジモジしている。
(うわぁ……気まず)
だが勇気を出したのかメルシアが話し出す。
「わわわ、私はメルシアっていうの!歳は23歳で、職業は狩人よ!」
明らかに動揺しながら話す。すると、次にリリカが恥ずかしそうにして言った。
「えと、私のことは、もう知っていると思いますが、改めて、わ、私の名前は、リ、リィカと言います。そ、その、年齢、24で、職業は……魔術師で……しゅ。あとその、さっきは助けてくれてありがと……」
最後の方になると、さらに声が小さくなっていた。
その姿を見ていて少しだけ心が痛む。(こんな可愛い子が、あんな風に襲われるとか辛すぎるよ。よく考えたら僕だって同じ立場なのに)
2人のことをじっと見る。
「どうかしたのか?」
「いえ、なんでもありません」
「変な奴だなお前」
「ほっときなさいよ。いつものことじゃない」
そうして、次は僕の番だ。
「えっと、僕の名前はユウトっていいます。年齢は18でそこに居るガイルと実は最近結婚しました。普段は男の子モード全開で本当の性別は女の子でハーレム好きで女の子が大好きです」
ガイルの方を見ると、
「しまった!やりすぎた」
みたいな顔をしながら冷や汗を流していた。
レナードは固まっており、目を見開いて口を開けていた。
「え?18?それに結婚?ガイルは君を俺の嫁って言ってたけど冗談だと思ってましたよ」
「いえ冗談ではありません」
「マジか……」
「はい、僕はまだ学生なので、卒業したら式を挙げようという話になっています。それと書類の受理も卒業後です」
「なんじゃそりゃ!学生?」
「はい。エフェリール冒険者大学の学生なのです。なので卒業はあと5年は後になりますけど」
「そう形上だけで書類もいまは保留で卒業と同時に受理してれくれるようにしてある」
「なるほど一応は形上夫婦なんだな」
どうやら納得してくれたようだ。
「それとギルド登録は別なので」
「あ、たしかにあれは誰でも登録は出来るからな。王国騎士でも登録出来るし」
そこでリリカが疑問を投げかけてきた。
「ねえ、あなた本当に男の娘なの?」
「え?」
「いや、あまりにも可愛すぎて、女なのかなって思ったんだけど……」
「うん。そうだね、女の子だよ。男の娘って僕はれっきとした女の子!」
そういうと、皆が黙り込む。
(あれ?みんなどうして?)
「どうしたんですか?」
「お前……自覚なかったんだな」
「え?」
「ユウト、貴方男装するならもっと男らしくならないと」
「どういうこと?」
「はい、ユウトちゃんこっちに来て下さい」
「はい」
そう言うと、僕の手を引き女性陣が集まる場所へと連れていく。
「きゃー!?ちょ!?なにするの!胸揉まないで」
等が聞こえてきていて
レナードとガイルは顔を真っ赤にして汗ダラダラである。
「ユウトちゃんいつも女の子とああいう」
「今日はいつも以上に凄い」
「え!?いつもは」
「さっきのは悲鳴とかは特になかったと思う」
「うわあ何されてるか気になる」
少しして
ユウトちゃんが来るが
「えと?ユウトちゃんだよね」
「そうだ」
明らかに男の子モード全開。
しかも身体付きもさきほどとは違い本当に男の子にしか見えない。
「胸がほぼ全く無い」
さっきまでは少し膨らんでいたがいまはそれ自体が無い。
「リリカが革ベストで思い切り胸絞めてそれをする前に厚手のさらし布をメルシアがキツめに巻いた」
それだけでこんなに変わるのか。
「苦しくない?」
「苦しい!胸かなり潰してるから!!いつもは厚手のさらし布だけなの!メルシアがかなりキツめに巻いたの」
不満爆発のユウトちゃんの頭を撫でて慰める2人。
元々身長では男なので
「可哀想になってきた」
「でも、これは仕方ない事だから我慢はしてる」
と、俺は言っておく。
「ユウトちゃんって芯が強いんだな」
「そんなことない」
「それよりレナードさんに聞きたいことがあるのですが良いですか?」
レナードがビクッとする。
「ど、どんな質問でしょうか?」
「レナードさんのスリーサイズ教えて下さい」
今度は全員が驚く。
特にレナードが一番驚いている。
するとメルシアが自分の胸に両手を当てながら喋った。
「お、おい!あんまり大きな声でそういうことを言うのはよくないだろう!!」
レナードの顔には怒りマークが出てきている。
「レナードは男だろ?」
と俺は言う。
「まあそうだが男でもスリーサイズはあまり聞かれたくないものだから」
「確かにな。男なのに尻がデカイとか言われたくないよな」
「そうだ」
「男の方も大変なのですね」
「プロフィールとかで載せないといけないってのが辛いんだよ」
「あ、騎士はそういやプロフィールに載せてましたね。スリーサイズ」
「と、言うことは公式サイト見れば」
メルシアがスマホで調べ始める。
「ばっか!ユウトちゃんなんてこと言うんだメルシアが調べ始めただろか!」
俺はレナードに怒られてしまった。
「あ、ごめんなさい。レナード」
「まあ、過ぎたことは仕方ないさ」
と、言ってレナードは遠い空を眺める。
「そういやガイルも普段は騎士団にいるから載ってたり」
「まあ載ってはいるだろうなメルシアは一応はそっちも確認はしてるだろうな」
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