第14話
「「はい!」」
それから10分後、遂に発見した。
「あれだね」
「確かに数は多そうね」
「じゃあ作戦通りにいくか」
「わかったわ」
「了解しました」
まず最初にユリナとセリナが飛び出していく。
その後ろでサーニャとアリエスが待機している。
そしてユウトとリンカは後方で隠れている。
「お前も戦闘に参加してくれても良かったんじゃないか?」
「一応僕の力は秘密にしてあるからね」
「それもそうか」
「さ、雑談はここまでだね」
「わかっている」
二人は会話をやめ、前方を見据えた。
その先には、大量の魔物がいた。
「ユリナさん!そちらの処理お願いします!私もすぐに向かいますので」
「わかりました」
すると、ユリナは敵集団に向かっていき、敵の注意を引く為にわざと大声で叫ぶ。
「私、ここにいます!」
すると、全ての目がユリナに向く。
「おい!今のうちに他の奴らを片付けるわよ!」
「「おっしゃ!」」
そして、サーニャとアリエスの二人が飛びかかる。
だが、相手はDクラスのゴブリン。
しかし、数が数だ。
一体だけでも厄介なのが複数体もいるのでは苦戦は免れないだろう。
「クソッ数が多い」
「全くです」
「二人共大丈夫ですか!」
「こっちはなんとか」
「こちらも平気です」
すると、後方から声が上がる。
「こっちは終わったよ〜後は任せた〜」
どうやらアイシャとリンカの方が終わったようだ。
(なら私の方もこれで終わりですね)
(リンカも強いんだな)
(私は接近戦はあまり得意ではありませんから)
そんなことを考えながら敵を切り裂いて行く。
数分後には全てが終わっていた。
「ふう……疲れました〜」
「おつかれさまです。アイシャ」
アイシャとリンカは息一つ乱さず笑顔で言葉を交わしていた。
「私達はここで休憩していていいんですかね?」
「いいんじゃないでしょうか。私達が休めば、ユウトちゃんが無双してくれますので」
と、リンカは遠くの方へ視線を向ける。
そこには先程とは比にならない程の量の魔物が押し寄せてきていた。
「ははっ流石にあんなの相手にしたら死んじまうぜ?」
「いえ、ユウト様ならあの程度一瞬ですよ」
「ユウト様が負けるところなんて想像できません」
「……まあ、あいつの化け物っぷりは認めるけどな」
ガイル達はユウトの戦闘を一度も見たことがない為、信じてはいなかった。
それはユウト自身も同じであった。
「まあ見ててみな!俺の戦いを」
「おう!期待してるぜ」
「頑張りなさい」
「はい」
ユウトは三人の元へ向かい、話を切り出す。
「俺が戦うから見ててくれる?」
「ああ、別にいいぜ」
「ええ、構いません」
「ユウトさんの本気が見れるのであれば是非」
「わかった。少し離れていてくれ」
「ああ、わかったぜ」
ユウト以外の四人は、森の奥へと移動した。
「んじゃ始めるか」
と言って、地面を蹴る。
すると次の瞬間には既に、先頭にいたオークの首が落ちていた。
その後も次々と首を落としていき、あっという間に殲滅してしまった。
その様子を見ていた五人は何も言わずに固まっている。
「ユウトくん」
「ユウト」
「ユウちゃん」
「ユウ殿」
「ユウトさん」
皆が一斉にユウトの元へやってきた。「どうかした?」
と、ユウトはキョトンとしていると全員が同時に言った。
「「凄すぎ(だよ/です)」」
は? 僕は首を傾げた。
え?何で驚いているのだろう。
だって僕にとってはこの程度のこと普通だし。
それよりも早くギルドに戻って報告しないとね。
報酬金楽しみだなぁ。
Aランク試験受けられるかなー と、その時だった。ユウトはある異変に気付いた。
何故か体が動かないのだ。
それに、何かが僕の中に入ってくる感覚があった。
「なんだこれ!?」
その光景を見たユリナが口を開く。
「あれは、『神域の加護』」
その発言を聞いた途端、ユウトは意識を失った。
ユウトはゆっくりと目を開いた。
すると目の前には見知らぬ天井が広がっていた。
「ここは……」
「起きたかい?」
「ん?」
突然聞こえてきた聞き覚えのない声に反応し、そちらに顔を向けた。
「おはようございます」
「誰?」
「おっとこれは失礼しました。初めまして、私はこの国、ガルス王国で国王を務めている、グラン・ドルードと言います。以後よろしくお願いしますね」
その人物は金髪碧眼の美男子だった。歳は20代前半といったところだろうか。身長は高く180センチ後半くらいあるように見える。服装は金色の鎧を身につけている。
そして、腰には豪華な剣を下げている。
(なんでこんなところに王様がいるんだ?)
ユウトはその疑問をそのまま口にする。
「どうしてあなたのような人が僕の前にいるんですか?」
(しまった!つい敬語を使わなかった)
慌てて謝ろうとするが。
(いや、今の言い方だと逆に馴れなれしいのか……)
「いえいえ!構わないのですよ!むしろ、そのような口調で話しかけてください!そっちの方が楽なので」
「わかりまし……じゃなくて、分かったよ!これでいいんだろ!」
「はい!それで大丈夫です!ところで貴方のお名前を伺ってもよろしいかしら?」
「あ、そういえばまだ名乗ってないね!ごめん!僕の名は『ユウト・サトウ』です!」
「なるほど。貴女様があの勇者様なのですね!」
「は?」
いきなり突拍子もないことを言われ、戸惑ってしまう。
すると、王様は続けて話す。
「実は今日から三日後に行われる予定になっていましたがAクラス昇格テストを行うことになりました!それに伴い、私が直々にお迎えに上がった次第です」
「ちょっと待ってくれ。話が見えないんだけど」
「すいません。説明不足ですよね。まずは、今回の件は私達が悪いのです」
「どういうことだ」
「簡潔に言うと、魔王軍の幹部、通称、六覇将の一人、ヘルグリードが復活し、今現在進行形でこちらに向かってきています。その為、少しでも戦力を増強したいと思いこのような手段を取らせていただきました」
「……なんだよそれ……」
(訳がわからない……)
「それと、もう一つ理由があるんですよ」
「……どんな?」
「単純に興味がありましたから」
「は?」
「私は、今まで様々な冒険者を見てきました。ですが、ここまで強い人物は初めてでしたから、どうしても会いたくなってしまったんです」
「……そうなんだ……でも、そういうの迷惑だからやめて欲しいな」
「……申しわけありません」
「まあいいけどさ……それより他の皆はどうなったの?」
「はい。サーニャ様とアリエス様はユウト様についていきたいと申しており、ユウト様が起きるまでここで待っているとのことでしたのでそのまま待機してもらっています」
「うん。それはいい判断だと思うよ」
ユウトが起き上がると同時に扉が開く音がした。
そこにいたのは、アイシャとリンカ、ガイルとセイラ、ユリナ、セリナの姿があった。
「ユウトさん起きてたんですか!?」
「ああ」
「よかったですぅ」
「心配したぞ」
「ほんとよ全く」
「無事だったようで何よりです」
「もう平気なのか?」
「問題はない。少し怠いだけだ」
ユウトは体に異常がないことを伝えると、
「では行きましょうか」
と、言って、皆を先導していく。
ユウト達は城を出て馬車に乗り込んだ。
中はとても広く全員が入っていても狭さをあまり感じられない。
向かい合うように座ると、隣にユリナ、前にリンカ、ユウト、右にガイル左にサニャ、ユウトの隣にユリナ、前がアイシャと席順が決まった。
しばらく進むと、
「着きました。ここになります」
と、御者が言い降りていった。
ユウトは辺りを見渡した。
そこには綺麗な湖が広がっており、とても神秘的だった。
「うわぁ〜凄く綺麗ですねぇ〜」
「そうだね」
「こんな景色初めて見たぜ」
「ふむ。なかなかの絶景だ」
「美しい場所ですね。心が落ち着く気がします」
全員思いは同じようであった。
すると、ユウト達の元にやってきたのは。
「皆さん。改めまして、私はこの国の王女を務めさせて頂いております、ミーア・ドルードと申します。本日は遠路遥々お越しくださいありがとうございます」
と、深々と頭を下げる。
「丁寧なお辞儀なんてしなくても大丈夫だよ。僕は堅苦しいの嫌いだし。それにここには身分の差とか存在しないと思うし」
(それに、僕一応この国を救った恩人だし)
という想いを込めて言ったのだが、それが通じたのか、
「分かりました。これからは敬語はなしでお願いしますね。ユウトくん」
と言ってきたのでこちらもタメ口で返すことにした。
「わかったよ。じゃあ僕からも一つ質問良いかな?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます