第5話
数日後のこと。相も変わらず、この亀車国は雲一つ無いピーカン照り続きであった。
待っておる円。何に反応しておるのか、ヒゲがヒリツいて、痛いくらいだった。そして、とんでもなく暗い。
案内された先は、乗り物の中のはずだったが。これに乗って帰る予定だった。ただ、乗ってしまえば、帰れるという訳ではないとのこと。どうやら、今からやろうとすることを成功させなければならないらしい。
ただ、亀大老のじっちゃん。あんまり親切には教えてくれない。いや、それどころか、『やってみるしかないんだ。これは。後は相棒が、アレの魂に気に入られるかどうかだから」と、まさにこれだけである。
帰るには、航路を進む必要がある。とすると、これは竜泉郷の『
俺は虹船に一度だけ乗ったことがある。ただ、それは追放の際、まさにこの亀車国まで送られたのだが。ほぼほぼ
冬とはいえ、
生まれる前の
入り口から入って、階段を数段降りただけだ。入る前に見たところでは、ほぼ球体であり、下部は乗り物本体に接合されている。そして、乗り物のほぼ最後部に設けてあった。これの前にあるこんもり盛り上がったところ――旅の間はあそこで過ごすんだと教えられた――とは別の独立した造りとなっていた。
不意に出た。
ビックリだ。
不思議だ。
でも、目は釘付けだ。
なんで、光もないのにくっきりと見えるんだ?
次から次へと現れては消える。
亀車族がほとんど。亀大老のじっちゃんに似ているのもいた。やはり鼻の頭に傷があったのだ。ただ、ずいぶんと若かったけど。中には、竜族と亀車族を乱暴にくっつけたようなものまでおった。何だろう、あれは。
そしてやがて。何か黄金色にピカピカした奴、来たぞ。長すぎる胴体と短い手足。そして頭上の角はもとより、ひょろヒゲまで。これって、竜族じゃあねえか。それに、色は俺と同じ。そればかりか、ピクピクとひりついてはおらぬとはいえ、一方が極端に短いのまで、己と同じ。ようは俺じゃあねえか。
ただ、いつも鏡で見ているのとは、逆側だ? とすると、俺じゃあねえのか。いや、単にこれが鏡ではないというだけか?
そうだ。そもそも亀車族などの姿が見えてたんだから、鏡のはずがねえ。
俺は、似姿が消えた後、手探りで外に出た。そして、亀大老のじっちゃんに、じっちゃんそっくりの奴もいたぞ、最後に俺の姿が見えたと報告すると、
「ふむふむ。これでどうやらそなたの故郷へ旅立つことができそうじゃ」
とのことであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます