第4話 ようやく主人公の登場だったりする
俺は
土地は平っぺただ。ずっと先の先まで見える。ずっと先までそのままで、地平線という奴がその先に見える。ここに来て、初めて見た。
そして、住民。亀にそっくりだ。俺たちが蛇に近いのと似ている。ただ、彼らと俺らで似たところが全く無い訳ではない。手足が短いところだ。ただ、彼らの場合、そこに車輪がついている。それで亀車族と呼ばれている。
ところで、これはあくまで通称。本当の名があるとのことだが、族外の者には教えられぬとのこと。
その車輪をくるくる回して、彼らはこの平坦な地を駆け抜ける。とてもでないが、追いつけない。まるで彼らのために造られた土地のようだ。
更にびっくりしたことには、彼らは前輪を引っ込めると、俺たちと同じ腕――手がついた腕が出て来る。初めて見た時には、想わず「かっこいい」って口走っちまった。
「
俺は居候しているその
「おい。相棒。何度も言っているだろう。大老というのはじっちゃんの意味なんだよ。だから、じっちゃんはいらねえんだ。で、どこのじっちゃんから手紙が来たって? まったく、じっちゃんばかりだな」
「俺の本物のじっちゃん」
「ってすると、相棒。何かい。わしは
「だって、偽物だろう。俺は亀大老のじっちゃんの孫じゃないよ」
「じゃあ、何でわしをじっちゃんと呼ぶ?」
「だって、大老がじっちゃんの意味と教えてくれたのはじっちゃんだよ」
「ああ。もういい。偽物じっちゃんでいいよ」
「それで、何だって? 帰って来いって?」
「ああ。竜の試練に俺を参加させるんだって」
「竜の試練? 竜族の王を選ぶというあれかい?」
「じっちゃん。良く知ってるね」
「有名なものさね。何せ、その度に珠探しに来ていたらしいからね。それが記されたものもたくさんある。ところで、相棒よ。それなら、あんた竜王になるのかい?」
「いや、俺はならねえよ。
「どんな奴なんだい? 雷って」
「俺の小さいときからの友達さ」
「いい奴なのかい?」
「ああ」
「なら、めでたし、めでたしだ。で? 何だっけ?」
「戻るときには、一緒に行くって言ってたろう。忘れたのかい」
「忘れる訳ない。むしろ、待ってたんだ。しかし、いきなりだね」
「じっちゃんは、いつも、いきなりさ」
「だから、そのじっちゃんは止めろって」
「いや、本物のじっちゃんの方なんだけど」
「まぎらわしいな」
そんなこんなんで、俺たちは出立の準備に入った。
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