第十二話 『厨二病は入学する』
「いやさぁ、、、突然すぎないか?」
「しょうがないだろう、お前が暴れ回るから伝える機会が無かったのだ。」
「俺のせいなのか、、、、、」
いつものように討伐任務に赴き、サクッと終わらせて家に帰って父さんに渡されたのはある一つの紙だった。
「世界異能力者育成学園日本支部に合格おめでとうございますだぁ、、、??」
「お前も完了した任務が50に到達するからな、充分暴食で異能を喰らっただろう?だからこそこの学園で異能ではなく戦闘技術を鍛えてほしいのだ。」
「へぇ、、、」
俺の手に持つのは一番上に入学おめでとうございますと書かれた合格通知書である。俺はそれと父さんの言葉を聞いて少しだけ興味が出てきた。
(確かに、俺の保有する異能も30を超えたし霊力量もまだ全力の父さんには及ばないが大分増えた。ここらで少し違うベクトルの強化をしてもいいかもね。)
「ちなみにだけど父さん、そこでは何が手に入る?」
「主に3つだな、1つ目は戦闘技術の向上と様々な敵と戦う訓練をするため得られる経験。2つ目は強力な異能力者との関係を作れること。そして3つ目は《1級異能力者》という称号を卒業時にもらえることだ。父さんも学園を卒業していてな、これでも1級なんだぞ。」
「ほーん、、、」
凄い長々と説明してくれたからか、大体の中身を掴むことは出来た。しかし、父さんで1級なら特級異能力者ってどんだけ強いのよ。特級妖怪の鹿紫羅喪は大して強くなかったのに。
「ちなみにだが神楽、この1級異能力者というのは、特級妖怪を単独討伐出来ることが条件となっている。そして特級異能力者と認められるには、、、まぁこれは良いだろう。」
「分かったよ父さん、ちなみに入学式とかはいつ?」
「《明日》だ。」
「、、、??」
「明日だ。」
父さんの口から告げられる意味わからない言葉に、俺はフリーズしてしまう。え?今日伝えられて明日入学?
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?????」
今日一番の絶叫が繰り広がったことは、言うまでもないことだろう。
―――――――――――――――――――――
「よし、何とか間に合ったな。」
俺はいつもの陰陽師服ではなく、学生らしいプレザーを着て鏡を見つめる。昨日伝えられてから学園の基礎情報などを調べていたら睡眠時間が2時間とかになってしまったが、何とか間に合ったので一安心だ。
「さて、そろそろ行くか。」
この世界に転生してから約11年、初めて学校というものに通うため、少しの不安があるけれど、確かに、その一歩を踏み出した。
―――――――――――――――――――――
「ここが、、、」
天下の街東京に似つかわない、圧倒的芸術らしさ溢れる木造建築の山が俺を出迎えてくれた。目の前にそびえ立つのは巨大な門、如月家の階段に比べればまだ小規模だが、その奥に見えるアホみたいなデカさの城が恐らく校舎だろう。
(主、緊張しているのか?)
(まあな、そりゃ少しぐらいするさ。)
(主らしくないな、いつもの堂々とした態度で行かないと舐められるぞ?)
(ういうい、わかったよ。)
俺は胸を張り、背筋を伸ばして自信に溢れた様子を醸し出す。そうそう、これが戦闘中の俺だよな。
(しっかし、あんまり生徒はいないんだな。)
辺りを見回しても、そんなに人は居ない。俺と同じブレザーを着ているがモニョモニョとしている奴が十数人居るのと、俺と同じくめっちゃ自信満々そうに突っ立っている奴が5人、そのくらいだ。
「ハハハ、この門が開くのは20分後。なら少しぐらいチャレンジしてみるか。」
俺はそんな事をつぶやいて、自信満々そうにしている奴の内の一人、背中に禍々しい槍を担いだ身長150センチメートルほどの男に歩み寄る。11歳にしてはデケェな、俺は140ほどなんだが。
「ねぇ、名前なんて言うの?」
「なんだテメェ?」
コミュ障丸出しを隠さず披露したところで、男からはめちゃくちゃ不信感を抱かれてしまった。これでは神無月麗華のことをとやかくいえんな。
(いやいやしょうがないやん、こちとら11年も生きてるくせにまともに会話したことあるの家族と霜神と妖怪だけなんだからな。)
「いやぁ、、、同期だし名前は知っておきたいなと思って。俺は霜月神楽、よろしく。」
「麻生漣(あそうれん)、等級は4級。よろしく。」
そっぽを向いたまま言いづらそうに答える漣。特に等級を答えるときはいかりの感情が見て取れる声音だった。
だが、俺はその4級という等級に違和感を感じだと。いや、霊力を視認できるものなら誰しもが抱く疑問だろう。
(この霊力の圧で4級なわけ無くね、、、普通に半年前に戦った神無月麗華より霊視だけで強いと分かるんだけど。)
そう、漣の体からはとてと威圧的で、濃密で大量の霊力が視える。それは4級なんて等級を当てはめることがもはや不敬罪で殺されても文句はないほどだった。
「っち、、、テメェの等級は?」
イラつきをあらわにして、俺の等級を尋ねてくる漣。あの怒りを見た後に俺の等級を告げるのは気が引けるのだが、聞かれたのならしょうがないか。
「準一級、それが今与えられている等級だ。」
「ッッッ!?テメェがあの、、、」
俺があえて自信満々に答えると、返ってきた反応は予想外の反応だった。
それは驚き、憎悪でも、嫌悪でもない感情が向けられたことに俺は少し吃驚する。
「まぁ等級なんてどうでもいいでしょ、少し話そうよ。どうせまだ15分くらいはあるし。」
「、、、ッチ、勝手にしやがれ。」
「ふふ、やっぱ付き合ってくれるんだな?」
「るっせぇ!!!」
「ハハハハ!!!!!」
最初は気難しそうだと思ったけど、案外仲良くなれそうで安全だ。取り敢えずこれで入学ボッチは回避!!!!
だが、このときの俺は20分後に行われる最悪の試験のことなど、知る由もなかった。
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