おまけ 〜教師はきっと、人気者〜
警察は流澄と桜の活躍を伏せ、それは新聞に載ることもなかった。
流澄の体調不良も、二週間ほどで治った。怪我はまだ完治ではないが、仕事は再開している。
「いやあ、楽しかったねえ、久しぶりの事件」
「楽しかったのは流澄さんだけですよ。全く、はらはらしっぱなしで、大変だったんですからね!」
「君の寿命が縮むわけじゃないんだから、いいじゃないか」
新聞を閉じて、流澄はカップに口をつけた。桜は皿を洗っている。
「それにしても、君は特異魔法はもちろんのこと、体術も見事だね」
「お褒めに預かり光栄です。習ってた時期があるので」
不服そうではあったが、どこか嬉しそうな桜であった。
「ところで桜くん、あの後警察からは何もないかい?」
「何もないですよ。非常勤の教師ですって、学校にも確認取りましたし」
流澄はふーん、と言うと、桜の顔をまじまじと見つめた。
「でも、君のあの特異魔法があれば、もっと稼げる仕事があると思うけど」
「あのですね、なんだかんだ言って僕はこの仕事が好きなんです。大変なこともありますけど、周りの人は親切で、生徒たちも素直で。人に感謝されるのって悪くないですよ」
ふにゃりと、桜の頬が緩んだ。
「桜くん、モテるでしょ。絶対生徒の間でファンクラブできてるよ」
「大袈裟です!」
桜が顔を赤くしてわっと言う。
チリンチリン、と呼び鈴が鳴り、流澄はおもむろに立ち上がった。
「まだ開店の時間じゃないんだけど・・・・・・」
「応接室はもう掃除終わってますよ」
「ううむ、どうせまた浮気調査だろうな」
流澄はぶつぶつ呟きながら、玄関に向かった。
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