12/21 激しい雪嵐




 景色が前後左右に揺れ動くのは、なぜだろう。

 激しい雪嵐の音が耳にへばりついて離れないのは、なぜだろう。

 焼け切れそうな熱さと、凍え切れそうな寒さが、瞬く間に入れ替わり襲いかかってくるのは、なぜだろう。

 眼球だけが、溶け落ちそうなほどの熱を保ったままなのは、なぜだろう。


 なぜ。

 なぜ。

 なぜ。


 なぜ。


 なぜ。


 自分は微動だにできないのだろう。

 銀狼は蒼を喰っているのだろう。

 蒼は無残に喰い千切られているはずなのに、血が一切噴き出さないのだろう。

 蒼は笑顔のまま自分をじっと見ているのだろう。




 なぜ。


 なぜ、




 なぜこんな時に自分は、にんじんすーぷを作る光景を、幾度も幾度も、頭の中でゆっくりと巡らせているのだろう。




 充満していたチョコレートの匂いが、

 どんどんどんどん、

 減っていく、のは。












(2023.12.21)



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