12/15 クリスマスキャンドル




 金、銀、白、三色それぞれの、スパイラルキャンドル(螺旋状の蠟燭)と、テーパーキャンドル(円錐状の蠟燭)が空に浮かび、暗い空間を幻想的に淡く照らす中。

 蒼は暖と澪と過ごすクリスマスについて、嬉々として話していた。


 すでに住居に置いている拾った松ぼっくりのほかに、クリスマスツリーのオーナメントがこのアドベントカレンダーで集められればいい。

 クリスマスリースや、クリスマスキャンドルはここにあるのを、スノードーム、ガーランドも、シクラメンもポインセチアも、アドベントカレンダーにあればいいけど、なかったら買いに行けばいい。

 ローストチキン、ホワイトシチュー、サンドイッチ、ピザ、ポテトサラダ、フライドポテト、は、兄貴がこしらえてくれるから。あ、もちろん手伝うよ。

 クリスマスプレゼントはそれぞれ用意しよう。


「あ~楽しみだなあ。ね。兄貴。澪」

「ケーキもな」

「うわ!本当だ!いけないいけない。ケーキを忘れるなんて」

「全部作るの手伝えよ。蒼も。澪もな」

「うん!」

「え。あ。はい!」


 蒼と暖は互いに顔を見合わせた。

 何やら、澪が元気がないような気がしたからだ。


「身体の調子が悪いのか?」

「いいえ!すっごく!元気ですよ!」


 暖の問いかけに、澪は影から死神の鎌を取り出しては大きく振り回しては、満面の笑みを向けた。

 それでも、蒼と暖の心配が消えるわけではなくて。蒼は澪に近づいて言葉を紡いだ。


「澪」

「はい!」

「もしかして、ぼくの魂回収につきっきりで、ほかの仕事ができなくなって、先輩に怒られた?」

「そんな事ないですよ。私のせいなんですから、責任をもってつきっきりで魂を回収しなさいって叱られました」

「そっか。じゃあ、早く見つけないとね」

「はい!」

「終わったら、クリスマスパーティーだ!」

「おう!」

「はい!」


 高く腕を突き上げた蒼に続いて、暖も澪もまた、腕を高く突き上げたのであった。











(2023.12.15)



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