第66話 お土産を買おう

 「お母様とお父様にはえっと…なんでしたっけ…あ!琉球ガラスだ!買って行こうかな…。」

 「みなとくんはもう決めました?お土産。」


 ついに修学旅行も最終日三日目。

 今日は一日国際通りというところで自由行動だから大半の生徒はここでお土産を買う奴が多い。


 「うーん…まだ決まってないなあ。周りながら良いのあったらそれにしようかなって。」


 「それも良いですね!なんだか眺めが別の国みたいで楽しみです!」


 「それ分かる!しかもやっぱチョー人多いな。」


 歩きながら紫央しおが人を眺めながら言った。確かに見渡す限り人でいっぱいだ。外国の人も多い。流石観光地。


 「みんな、最初はどこに行く?ボクは初めて来たし分からないからみんなが行きたいところで良いよ。」


 先生に貰った地図を見ているマツリさん。

 しかし「ボクたちどこにいるんだろ…」と呟いてるのを見たのできっと地図を見てもここがどこかは分かってないのだろう。


 「正直俺も分からんから適当にぶらぶら歩く?」


 「それも良いですね。あ、ほらあの商店街とかすっごく雰囲気あって良さそうですよ!」


 そう言って八雲やくもが指さした先には確かに古そうだけどなんか良い雰囲気な商店街があった。人の通りも多いので良いものがあるかもしれない。


 「よし、ひとまずはあそこを回ってみるか。」


 「おっけー!」

 「sounds good分かった!」


 とりあえず俺たちは八雲の言った商店街を目指してみることにした。


 ——————


 「いらっしゃあい!修学旅行割引あるから寄ってて!」


 「Tシャツ、お菓子にソーキそば!記念に買ってかないかい!」


 おお…すごい活気だな。いろんなお店の店員たちが熱心に宣伝をしている。

 そんな声に惹かれてお店を覗いてみると確かに沖縄ならではのシーサーの置物だったり、ビールの柄が入ったTシャツとか見てるだけで楽しい。


 「すごい活気ですねぇ。」


 八雲もお店を見ては同じようなことを言っている。流石観光地だなやっぱり。


 「あ!お土産どうですか?これ、店内で使えるチケットなので良かったら見てって下さい!」


 歩いてる最中、お店の人から店で使えるチケットとやらを勢いに負けてもらってしまった。


 「どうする?」


 「せっかくなので見ていきましょうか。それにほら、面白そうですよ。」


 「だな。さっすが観光地の店員さんだ。」


 「うん、せっかくなら見てこう。」


 というわけで店にみんなで入ることに。

 というか…流石観光地の〜というフレーズ今日で何回目だよ。


 「おおー。」


 店の中には手にチケットを持つ修学旅行生がけっこういたので俺たちと同じような感じだろう。

 定番のお土産、ちんすこうだったりサーターアンダギー、もずくにソーキそばなど色々と売っていた。シーサーの置物もある。


 「きみきみ!修学旅行?」


 見ていると隣から多分お店の人しき人が突然話しかけてきた。

 メガネをかけた短髪の女性で、押しが強いもんだからちょっと戸惑う。


 「は、はい。修学旅行で来てます。」


 「へー、どこから来たの?」


 「中部地方の方からです。」


 「そっかそっかー!じゃあさ、こういうのとかどう?」


 「え?」


 店員さんが隣にあった棚からちんすこうの箱を一つ手に取って俺に見してきた。

 確かに…確かに沖縄でしか買えない伝統のお菓子だろうけど俺は食べ物はあんまり買わないつもりだし…。どうせなら形に残る物の方を買いたいじゃないか。


 「え、えっと、」


 「ほら、そのチケット使えばなんと一個100円だよー!だからこれを違う味で二個買っても200円しかかかんないの!他のお店だともうちょいすると思うよ〜?」


 「な、なるほど…。」


 「思い出にもなるしお家でお母さんたちと食べれるよ!お二つどう?」


 こ、この勢い…しかも店員さんから感じる圧倒的善人オーラ…!俺は…断れるのか…?この誘いを…!いや、無理だ…。


 「じゃ、じゃあお願いします…。」


 「はーい!毎度ありー!」


 ニコニコな笑顔で商品をレジへと持っていく店員さん。…なんて商売がうめえんだ…。


 「あ、」


 俺もレジについていき、会計をしていると隣から八雲の声が聞こえた。

 彼女が持っていたのは俺とは違うサーターアンダギーの箱だった。


 「それ買うの?」


 「はい。…最初は買う予定なかったんですけどなんだか断れなくって。でも美味しそうなのでみんなで帰ったら食べましょうか。」


 「実は俺も…」


 がさりと持っていた袋を持ち上げた。

 

 「ぷっ…湊くんもだったんですか?」


 「そうそう、俺はちんすこうだけどね。」


 「お菓子、思ったよりも多くなっちゃいましたね。お母様やすいちゃんたちと食べましょっか!」


 「だな。でも翠はお菓子食べ過ぎだろうけど。」


 「ふふ、ちょっとぐらい羽目を外しても大丈夫だと思いますよ。翠ちゃん、普段は気をつけてますし。」


 「まあ…それもそうか。今ぐらいは許しといてやろう。」


 お菓子を買ってったら翠の喜ぶ顔が頭に浮かんだ。

 

 『わあい!ありがとうお兄ちゃん!』


 (…許してやるか。)


 


 ☆☆あとがき☆☆

 本日もありがとうございました!

 僕も店員さんからの押しに弱く、すぐ買っちゃいます。

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汚部屋の園の白華さん〜クラスメイトの才女がなぜか俺ん家に住み着いてる件〜 キノ @kino52816

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