第64話 八雲とお土産コーナー

 「見てみてみなとくーん!」


 展示を見終わり、今俺たちはお土産コーナーを覗いている。展示のところほどではないがここもやっぱりすごい人だ。

 人混みを掻き分けて呼ばれた方に向かう。


 「おお、でっけえぬいぐるみ。」


 八雲やくもが抱き抱えていたのはジンベエザメのでっけえぬいぐるみ。

 奥を見ると棚にいっぱい置いてあり、その周りでは他の人たちも八雲のように抱き抱えてレジへと行くので人気なのが分かる。


 「かわいくないですか!?これ、すいちゃんにどうかなって!」


 一度、ぬいぐるみを持ってはしゃぐ八雲をじっと見てみる。自分と同じぐらいの背丈ほどあるジンベイを持って目を輝かせていた。

 うーん…俺からすればぬいぐるみを抱いてはしゃぐ八雲が可愛いというか…


 「うん…可愛いな。」


 「ですよねぇ!翠ちゃんってぬいぐるみ好きだったのでどうですか?」


 そういえばそうだった。

 翠のベッドには所狭しとぬいぐるみが置いてあって毎晩抱きしめて寝ている。

 普段は生意気だがそういうところはまだ女の子らしくて憎めないというか可愛いところ。


 「確かに…良いかもしれんな。でもそれ結構いや、デカいけど持って帰れる?」


 聞いてみると少し考え込むように目を開いた。飛行機の規定で何キロか超えたらダメとか荷物入れるところの上に入らないと貨物のところに入れられるとかで色々と考えることがある。


 「…気合いと根性でなんとか…!」


 「いけないやつじゃん。」


 「でもこれ!見てください、ああやってちっちゃく出来るんですよ!」


 そう言って指をさしたので見てみる。

 そこにはデカいぬいぐるみが畳まれて小さくまとまっている。確かにこれならなんとかすれば持って帰れそうだ。


 「ほんとだ。これならいけるかもな。」


 「ですよね!私、これにします!湊くんは決めました?」


 「うん。俺はこれにしようかなと。」


 手に持っていた籠から翠に選んだ品を出して八雲に見せる。すると彼女は物珍しそうにそれを見つめた。


 「しゃべったことを真似するやつ!翠喜びそうじゃない?」


 「なるほど…こういう面白いものも好きな翠ちゃんなら喜びそうですね…。流石ですね湊くん…!」


 「はは、ありがとう。でも八雲のやつも良いと思うよ。つかそっちのが喜ぶと思うし。」


 「いえいえ、どっちも喜んでくれますよ!じゃあ他のみんなのも考えましょ!」


 「おう。」


 翠のはこれで良いとして…他のみんなのも考えないとな。別にここで全部揃えなくても良いけど良いのがあれば……


 「あ。」


 歩いている先に見つけたのは八雲が持っていたよりもちっちゃめなジンベイのぬいぐるみ。


 (ぬいぐるみ抱いてた八雲…可愛かったな…。)


 以前、クレーンゲームで取ったくまのぬいぐるみはいまだに、っていうかもはや彼女は俺のベッドで寝ているので俺んとこにあるが存命している。たまにぎゅーっと抱いてるところを見かけるがそれが死ぬほど可愛いのだ。

 うーん…もっと見たいな。


 スッ…


 流れるように置いてあったぬいぐるみを自分のカゴに入れた。


 「それ、買うんですか?」


 気づいた八雲が俺の方を向いて言った。


 「ベッドで留守番してるくまの友達にどうかなって。」


 「おおー!良いですね!可愛いですし!…あ、ですけどくまさんってお魚食べますよね…。」


 「ぷっ…あはは!デカくて食べれないでしょ。」


 「ふふふ…。それもそうですね!」


 ——————


 この後、トートバッグなど含めたお値段が一万を超えたことに驚愕した俺であった…。

 ぬいぐるみ…お前結構お高いんだな…。


 





 ☆☆あとがき☆☆

 本日もありがとうございました!

 こういうお土産コーナーのものってけっこうお高………ってのは野暮なのでやめておきましょう…。僕も以前、気づいたら一万円近くいってて驚愕したことがあります。

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