第60話 沖縄に到着!
『当機はまもなく那覇空港に着陸いたします』
俺たちは無事に目的地である那覇空港へと到着した。しかし…
「完全に曇ってんなあ…。」
飛行機から降り、空港から覗く沖縄の空は想像していた晴天の青空ではなく、分厚い雲がもくもくとかかった曇り空であった。
おまけに風も強いから普通に肌寒い。
「わあ…でもすごいですよ。なんだか別の国に来たみたい。」
空港を見渡して
「空港の中はあっちいな…。上着脱いどこ。」
「それにしても…この人混み、やっぱり人多いんだな。はぐれないように気をつけないと。」
「ですね。」
すると突然、八雲が俺の手を握ってきた。
何の脈路もなしに握られたので少しドキッとしてしまった。
それに気づかれてしまい、久々に自分が優位に立てているのでニヤッと俺を見つめてくる。
「こうすればはぐれないなあって思っただけです。それと、ただ繋ぎたいだけ!」
「そ、そうか…。」
「ふふーん。最近はずっと
「う、うるさいなあ。」
「
「わっ!マツリサン、静かだったのに急に言うなよ。」
さっきまで静かだったマツリさんが隣でボソリと言ったので紫央が驚いて言った。
マツリさんのショートブロンドの髪はたとえ曇っていようと南の島のようにあたたかい輝きを放っている。
いやしかし、八雲の髪だって曇りの空に零れ落ちる一粒の雫のようで綺麗だ、と勝手に心の中で張り合っておく。
今からはバス移動なのでクラスで固まって空港の外にあるらしい駐車場へ向かう。
だが、外に出た瞬間めちゃくちゃ強い強風が俺たちを待ち構えていた。
「うわ、風つっよ…!」
「ですね…中が暑かった分、余計に寒く感じるし風で…」
八雲が言葉を止めたのは理由があった。
風でスカートがバタバタとめくれるからだ。ただでさえ多い荷物の中、片手でスカートを抑えるのを見ていると大変そうに思えてしまうし心配でもあった。
「ほらこれ。」
上着を脱いで八雲に被せる。
そして手をぐっと寄せて体を近づけさせた。
「ど、どうしたんですか?」
「いやほら。寒いだろ?」
「い、いえ、そうですけど…その…」
肌と肌がくっつく距離まで近づけたことに驚いたようだ。顔も赤くしている。
「だって。」
視線を少し下げ、スカートをチラと見た。
「死んでも見せたくないから。」
「…っ!」
目を開き、顔を逸らされた。
紫央も隣でニヤニヤしてるし、マツリさんはまたも倒れそうになって紫央にもたれかかっていた。
まあ…今回に関してはちょっと自覚はあったけどな…。
「せっかく…」
「?」
「せっかくさっき仕返しできたと思ったのに…倍でやりかえされちゃったじゃないですかぁ…」
不服そうに俺を見つめる八雲は今日も可愛い。
☆☆あとがき☆☆
本日もありがとうございました!
気づけば今日で60話…早いです。
良ければフォローや☆評価ぜひよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます