第58話 八雲と空港
「おーい!
空港に着き、集合場所へみんなで向かうと、
「送ってくれてありがとな。」
父さんと母さんに一言お礼を言った。
すると八雲も深々と頭を下げた。
「お二人とも、それに
「良いんだよ、楽しんできなよ。」
「うんうん!お土産待ってるよー!」
「おねえちゃん、私にもよろしくねー!楽しみにしてるよ。あ、あとお兄ちゃんもよろしくね。」
「あとってなんだよ。」
八雲の言葉に俺の家族は笑顔で答えた。
「はい!お土産いっぱい買ってきますね!」
元気いっぱいな笑顔を浮かべて八雲がみんなに言う。八雲と父さんたちがこうやって楽しげに話している姿に心が和んで自然と顔がほころんだ。
「お、久しぶりです!湊の父さん、母さん!」
こっちへ来た紫央が親二人を見て挨拶をした。昔からの付き合いなので何回も会ったことがあるので当然、コミュ力の高い紫央は仲良しこよしだ。
「紫央くん!久しぶりだねぇ!いやあ、イケメンになっちゃって、いつ家の子になるの?」
「んー、そろそろですかね!」
「あっはっは。歓迎するよ。」
「いやいや、なるなよ…」
なんだこのノリは…
「青山くん……」
「ん?どうしたんだ八雲さん。」
「私はもう湊くんの家の子になれました!ふっふーん。」
「くそぉ!先越されたかあ!」
「ちょ…八雲まで…」
ついてけてないのは俺だけらしい。
「んじゃあいってらっしゃい!」
「楽しんでおいでよ。」
「いってらっしゃいお兄ちゃん、おねえちゃん!紫央くん!」
「おう。何かあったら連絡するよ。修学旅行中はスマホ使えるし。」
「はい!翠ちゃんたちも帰りお気をつけて。」
「はーい!湊は俺に任せてくださいね!」
こうして俺たちは親と別れを済ませて集合へと向かったが…
「うーん、俺たち結構早く気すぎちまったな。そうだ!空港でも見に行くか?」
時間的にもまだ早いし紫央の提案通りに動くことにした。八雲も初めての空港で喜んでいるようだし。
「し、紫央くぅぅん……」
突然、紫央の体に腕が回され後ろから人影が現れた。
「なっ!?クロエ!?」
その正体はなぜかぐったりして死にそうな顔をしているクロエだった。
疲れ切った様子で紫央にもたれかかっている。
「んなぁ…ここの場所わからなさすぎでしょ…迷路かよ…」
「まあ…迷うよな。」
俺たちも行く途中、多少迷ったので気持ちは分かる。
「おい、とりあえず離れろよ。」
「やぁだぁ!疲れたから紫央くんでパワーチャージ。」
「おい。」
「まあまあ、じゃあ空港まわろうぜ。」
「八雲ちゃんは空港初めてなの?」
マツリさんが問いかけた。
すると八雲は顔を輝かせて答える。
「そうなんです!こんなに広いなんて知らなかったんです…。ですので行く前に見て見たかったんです!」
うきうきと大きな空港を見渡してキラキラ目を光らせてマツリさんの肩を掴んだ。
それに頬をぽっと染めてくらりとしたが無視して進むことにする。
もはやこれが日常だからだ。
「あの店!あの店行ってみませんか?」
「いいよ。みんなも良いか?」
「おうよ!朝早くてあんま食べれなかったしなんか食いたいな。」
「はいはーい!クロエも賛成!」
「ボクも八雲ちゃんの意見ならなんでも聞くよ!」
「それは…ダメなんじゃないか…」
時間が来るまでの間、八雲は初めての空港を楽しんだのだった。
☆☆あとがき☆☆
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