第55話 八雲と幸せ
翌日、
「ふう…」
「三人がいないと一気に静かになりますね。」
文字通りお祭りのように騒いでいたので、途端に家がしんとなる。
ただ、騒いでいたのはホラゲーにぎゃあぎゃあビビりまくっていた
マツリさんは…ホラゲーとは別にいつものように俺たちを見て興奮し、気絶していたらしい。倒れる前にマツリさんが自分で敷いたであろうハンカチに付いた血痕が全てを物語っている。
「本当な。楽しかった?」
「はい!とっても。」
「なら良かった。」
土曜日なので二人で掃除をし、ひと息つくためどさっとソファへと倒れ込んだ。
「
お茶を持ってきてくれた八雲が聞いてきた。
「ん?そうだなあ、紫央とは長い付き合いだからしょっちゅうとまではいかないけど何回かはあるよ。」
「そうなんですね。私、初めてだったんです、お泊まり。」
「そういえば…そっか、そうだよな。」
「はい。ああやって夜までお友達とお話したり遊んだり、一緒にお風呂に入って一緒にご飯を食べて寝る…。すっごく楽しかったです。」
昨日までの事を振り返っているのか、顔に自然と笑みが溢れるのを見れば良い思い出になったのは明白だ。
八雲は総理大臣の娘、という立場ゆえにこういった経験が少ない。これからはもっと色んなことをして楽しんでもらいたいな。
「それは良かったよ。あいつらなら喜んで来るから。また好きな時に呼ぼうか。多分、紫央たちも喜ぶと思うぞ。」
「ふふ、楽しみですね。」
二人で持ってきてくれたお茶をズズッと一口すする。
みんなでわいわいするのも楽しいけど…俺はこうやって二人だけで静かに過ごすのも好きだな…。なんというか…すごい安心するというか、落ち着くというか。
ただ一緒にいるだけで幸せを感じれるのは…やっぱり俺は八雲が好きなんだということだろう。
「みんなでわいわいするのも良いですけど」
すると、隣に座っていた八雲が頭をこてんと俺の肩に倒した。
「湊くんと二人きりの時が一番…とっても幸せです…」
膝に乗せていた俺の手を握り、そう呟く。
「ああ…幸せだな…」この一言に尽きるというか、幸せが胸いっぱいに広がる。
彼女の一挙手一投足がまるで天使のように羽を広げて俺を包み込み、じんわりと体全体へ幸せを広げていくのだ。
もう…彼女なしでは生きてはいけないのかもしれないと思うほどに。
「…俺も…同じこと考えてた。」
「んふふ…」
嬉しそうにはにかんで笑う姿が一層愛おしくなり、肩に手を置いて抱き寄せた。
彼女の体温が服越しに伝わってくる。
あったかいけど…ちょっぴりぬるくてずっと浸かっていたい心地よさ。
「これからもいっぱい思い出つくろうな。」
「はい…!いっぱい、いーっぱい作りましょう!」
ただ一緒にいるだけ。これだけで幸せだと思えることって本当に幸せなのかもしれない。
☆☆あとがき☆☆
なんだか最終回っぽくなってしまいましたが、もうちっと続くんじゃ…ということで本日もありがとうございました!
ここまで読んで下さりありがとうございます!これからもぜひ「白華さん」をよろしくお願いします!
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