第53話 クロエの心配
ちゃぽん…
相変わらずお風呂の中でもテンションが高いようだ。
「ねーねー八雲ちゃん!洗いっこしよ!クロエ八雲ちゃんの背中流すよ!」
「ほんとですか?じゃあお願いしちゃいましょうかなあ…」
八雲はお風呂の中に備え付けである椅子に座り、クロエがその後ろにしゃがむ。
「………」
「クロエさん?」
しかし、ボディソープを手に取る音がしても一向に始まらなかったので気になって声をかけた。
「八雲ちゃん…お肌すっごいきれー……」
「ひゃうっ!」
突然人差し指で背中をすいーっとなぞられたため、驚きとくすぐったさで変な声が出てしまった八雲。
それを見てクロエは可愛いと言わんばかりの顔で更に指を増やしてくすぐることに。
「ひゃっ…ううっ…!んんっ…!く、クロエさん…!?洗うんじゃなかったのですか…!?」
「あまりに八雲ちゃんの肌が綺麗だったからねぇ。触らずにはいられなくって!」
「な、なんですかそれ……きゃっ…!」
段々とクロエのくすぐりはエスカレートしていき指が背中のみならず前側へと侵食してくる。お腹の周辺や脇など…流石の八雲も耐えきれなくなりいきなり振り向いて反撃をすることにした。
「や、八雲ちゃん…!?ちょ、ちょ!んあぁ!」
「はぁ…はぁ…仕返しですよ…!クロエさんだってすっごくお肌綺麗じゃないですか…。私にも…触らしてください…!」
「た、タンマ!んんっ…!くすぐった…!」
「どうですか…くすぐったいでしょう…。」
「くすぐったいから…!もう勘弁してぇ…!」
「…!」
その時、八雲の目に入ったのはクロエがくすぐったくて悶えるたびに大きく揺れる二つの山。衣服など縛るものがない今、思う存分その猛威を振るっていた。
「八雲…ちゃん……?もしかして……」
「クロエさんって…胸…大きいですね…。触っても良いですか。」
「え、いや…ちょっとそれは…恥ずかしいかなあ…?」
「わ、私のも…触って良いですから…?」
「え、ま、マジ?」
「クロエさんと比べると全然ないですけど…」
「そんなの気にしないよ…!じゃ、じゃあ…ちょっとだけ…どうぞ…?」
「ではお言葉に甘えて……失礼します。」
そおっと八雲の手がクロエの大きく実った果実へと向かっていく。
八雲は興味深そうに、クロエは少し恥ずかしそうにしながら…………
——————
「…何あんなに騒いでるんだろうな。」
「ごもっとも。くすぐったりでもしてんじゃねえか?」
八雲とクロエが風呂に入っている間、リビングでゲームをして待っていた湊と
風呂場から二人のはしゃいでる声が聞こえてくるので疑問に思った湊が聞いてみる。
紫央はまたクロエが何かしたのか…と思っているが湊もまた八雲が何かしてないかなあ…とお互い心配してるのであった。
「つか。」
「ん?」
「お前相変わらず強すぎるだろ!どうやって勝てば良いんだよ!」
ゲームに全く勝てない紫央が湊に文句を言ってきた。
「これでも手加減してるんだぜ?コントローラー違うのだし。」
「マジかよ…湊、お前プロゲーマーにでもなれるんじゃねえか?」
「いやいや、プロの人たちはこんなもんじゃないだろ。楽しそうではあるけどな。」
果たして、八雲たちが風呂から出るまでに紫央は一勝できるのだろうか…。
——————
「「ふぅぅぅ……」」
二人で湯船に入り、大きく息をする。
八雲もクロエも顔が真っ赤なのは先ほどくすぐりあったりお互いの胸を触り合ったせいだろう。
「なんだか……湊くんと一緒に入った時を思い出しますねぇ…」
「…え?」
八雲の呟きに目を大きく開いて見つめるクロエ。
「しまった」と言わんばかりに八雲も目を見開いた。
「えっとぉ…失言です……」
「八雲ちゃん…湊とお風呂入ったことあるの…!?」
「えぇっと…そのぉ…そうですね…。何度か。」
「うっそぉぉ!!」
急にクロエが大きな声を出すものだから少しビクッとして驚いてしまう八雲。
しかし、いつもべったりくっついているクロエと紫央ならもうそんなことはとっくに済ましていると思っていたのだ。
「…クロエさんは…まだなのですか…?」
「まだもなにも…まだキスすらした事ないよぉ…!」
「き、キスもですか…それはそれは…。」
「ま、まさか…キスもした事あんの!?」
もうここまでバレてしまっては隠すのもクロエに可哀想だし…と思い、話すことにした。
八雲も少々恥ずかしい気持ちになり顔が再び火照る。
「は…はい…。あり…ます。」
「うそでしょおおおおお!?クロエたちなんかとっくに抜き去ってるじゃああん!!」
湯船の中でバシャバシャと暴れだすクロエをなだめるように優しく背中をさする。
しばらく暴れ回っていたがようやく落ち着いたのか体操座りでじっとし始める。
しかしその頃にはもう八雲の顔は水で濡れ濡れになっていた。
「紫央くんはさぁ…クロエなんかに興味ないのかなぁ…。」
「え?」
いじけたクロエが拗ねた顔で湯船でぶくぶくしながら言う。
「だってさぁ…クロエ、あんなに攻めてるのにいっつも軽く流されちゃってさあ…。」
「クロエさん…」
確かに、振り返ってみればクロエは毎回紫央に色々とくっついたりしてるが紫央はそれを上手く流している。
見る人が見れば興味がないだなんて思うかもしれないが、八雲はそうは思わなかった。
「クロエさん、
「なんでそう言えるのぉ…?」
「見ていればわかります。青山くんはクロエさんは大事にしてるんです。大事にしてるがゆえ、ああいった結果になってしまうんです。」
「………」
「あれが青山くんなりの気遣いというものなんじゃないでしょうか。ちょこっと不器用ですけどね。それに……」
「…?」
身を乗り出して八雲はしょげていたクロエの薄いピンクの髪に手を乗せて優しく撫でた。
「クロエさん、あなたもそれを分かっていますよね。」
「…八雲ちゃん…!」
八雲の手から水滴が流れ、クロエの頬に溢れた。
「さあ、そろそろ出ましょうか。あんまり長くいると後がつっかえちゃいますしね!」
「うん!」
二人はばしゃあっと湯船から上がり、一緒にタオルで体を拭いて服を着た。
「なんか…ありがとね。」
「いえ、クロエさんたちにはお世話になっていますし。」
「んふふっ。八雲ちゃん、湊をよろしく!」
「はい!」
満面の笑みで答えた八雲。
二人は風呂場から外へ出てリビングでゲームをする紫央と湊の元へと向かった。
「紫ー央くん!」
座っていた紫央に後ろから抱きつき、顔をすりすりするクロエ。
「わっ!ちょ、俺まだ風呂入ってねえから汚いぞ!」
「紫央くんは汚くないもんねぇっ!んん〜良い匂い。」
「おいおい…」
八雲はそんな二人のやり取りを微笑みながら眺めていた。
「八雲?風呂でまたクロエに変なこと吹き込まれなかったか?」
また何かクロエに言われて八雲が暴走するんじゃないかと思い、心配して湊が声をかけた。
しかしにっこりと笑い、八雲は返した。
「ふふっ秘密ですっ!」
「ええ、なんだよそれ。」
湊は少しもやもやしながらも仲良さそうにする八雲とクロエを見て、「まあ良いか」と思うのであった。
☆☆あとがき☆☆
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