第50話 神々のボーリング 開幕
放課後、
「なあ
「良いけどどこに?」
「そろそろ修学旅行もあるしさ。俺たちマツリサンの歓迎会的なのやってなかったじゃん。だから俺たちだけだけど遊びに行こうぜ。」
「なるほど…」
それは良い案だと思い隣で話を聞いていた八雲に目配せする。どうやら彼女も賛成のようで顔を輝かせていた。
「良いですねっ。青山くん、良いアイディアです!」
「だろ?どこに行くかは後で決めるとして…とりあえずマツリサンを呼ぶか!」
「おう!」
「はい!」
——————
「ボクの
マツリさんに連絡をし、校門で合流する。
いつのまにかクロエも混ざっていた。
毎度連絡する手間が省けて助かる…と言って良いのかは分からんが間違いなく紫央は大変だろうな…。
紫央は今回のマツリさんのことだったり、相手を思いやる普段の行動だったりメチャクチャ優しいヤツだ。
友達として誇らしい。
「そうそう、どっか良いとこねえかな?」
紫央が全員に尋ねる。
「うー…ん。無難にゲーセンか?」
思いついたのが近所で遊べるゲーセンだったので提案してみる。この前母さんたちとも行ったから印象深かったのだ。
「ゲーセン…あ!ボーリングはどうだ!」
俺の提案からボーリングを思いついた紫央が閃いたと言わんばかりに全員に聞く。
「良いですね!みんなでやるの楽しそうです!」
「い、良いの?ボクのためにみんなしてこんな…」
遠慮がちに口を開くマツリさんをクロエが口を塞いだ。
「いーの!したくてやってるんだし!紫央くんがせっかく言ってくれてんだから楽しめよ!」
「クロちゃん……」
「まて、クロちゃんっていつの間にそんな仲良くなったんだ?」
あまり接点のないクロエとマツリさんの仲がいつのまにか深まっていたのに驚く紫央。
確かに考えてみればクラスも違うクロエといつの間に?
「女の子の友情ははかりしれないものだよ紫央くん!さっ、行こう!」
「お、おう…。」
こうして行く先をゲーセン、目的をボーリングに設定してしゃべりながらみんなで向かうのだった。
——————
ガラガラーン!!
到着し、中に入ると他のお客さんのプレー音でにぎわっていた。
「俺、受付してくるからその辺で待っててくれ。」
「はーい。」
おそらく初めてやるだろうボーリングにテンションが高まっている八雲とマツリさん。
他の人のゲームを楽しそうに眺めていた。
しかし…俺とクロエは対照的に死んだような顔をしている。
「俺…運動できないの忘れてたわ…」
「奇遇だね…クロエも全くやれないよ…。オワタ…」
そう、俺たち二人は全く運動が出来ないクソコンビ。ボーリングなどもってのほかだ。
「おまたせ……ってなんだお前ら!まだやってもねえのに死にそうじゃねえかよ!」
戻ってきた紫央が俺たちを見るなり驚いて言った。
「まあ…気にするな…。」
「うん…気にしないで…。」
「そ、そうか?なら早速やろうぜ!」
「はい!行きましょ、マツリさん!」
「うん!」
相変わらず二人は楽しそうだが俺とクロエは重い足取りでシューズなどを購入しに行く。
「あ、そーだ!チームに分かれてバトルしねえか?罰ゲームアリで!」
((終わったー……))
「おもしろそうですね。」
「チーム…八雲ちゃんと一緒に……!」
完全にチームを作る流れになってしまった。
「湊…。」
クロエが呼んだので振り向く。
もはや言葉を交わさなくても分かる。お互い拳を出してコンと合わせた。
((グッドラック……!!))
「でも俺ら五人しかいないよな。あと一人誰か誘えそうな人いるか?」
そういえば俺たちは合わせて五人だけ。
二チーム作るには一人足りない。
「んー……あ、
「いいじゃねえか!呼べるなら呼んどいてもらえるか?」
「今メールしたらもう返ってきた。」
「はやっ、なんて?」
「''すぐ行く''だってさ。」
「よし!じゃあ翠ちゃん来たら始めるぞ!」
「はーい!」
——————
「わああ!すっごいキレーな金髪っ!ずっとマツリ先輩見てみたかったんだぁ!」
数分後、着くや否や俺に目もくれずにまっすぐにマツリさんの元へと駆け寄る翠。
今まで見れなかった分、堪能しているようだ。
「おい、そんなジロジロ見ると迷惑だ……ってなんか満更でもなさそうな顔………!」
翠の勢いに困っているかと思ったが、マツリさんの顔は八雲を愛でる時のモードになっていた。
「湊くんの
そんなマツリさんを見た翠が少し離れて俺に囁いた。
「なんか…」
「?」
「思ってたのと違う……」
「コラ。」
「お前らー!チーム分けも出来たしやるぞー!」
スマホでチーム分けしてくれていた紫央が呼んだので行くことに。
チームA 湊 紫央 翠
チームB 八雲 マツリ クロエ
「湊くんとは別のチームですか…。ちょっと残念です…。」
「マジかよ…」
「お兄ちゃん!私と紫央くんいるから頑張ろ?」
「そうだぜ!手加減すんなよ!」
(やったあああああああああ!!!八雲ちゃんと一緒だーーーーーー!!!)
「あの…二人とも足引っ張ったらごめん…。」
俺のチームには紫央と翠。
あっちのチームには八雲とマツリさんとクロエ。
うまいことスポーツできる勢が分かれてくれたようだ。そしてハンデは俺とクロエということか……。
中々分かってるチーム作成サイトだな…。
ピピン!
机の上に置いてあるタブレットから音が鳴り、順番が発表された。
「お、最初は俺と八雲さんか!」
「負けませんよ青山くん!」
一番が紫央と八雲。
二番が翠とマツリさん。
ということは……?
「やったぞおおおお!クロエ、順番俺と一緒だ!!」
「みなとぉぉぉ!!」
二人で感動を共有し合う。
上手いやつらと一緒にやるなど公開処刑そのもの。順番を作成したこのタブレットはマジで分かってる。
「んじゃまずは俺たちからだな。」
「見ててくださいね、湊くんっ!」
「おう!頑張れ!」
「紫央くーん!負けないでねぇ!」
二人がボールを持ち、構え、投げた。
「よしょっ。」
「おらっ!」
スパコーーーーン!!!
天井についているモニターに映し出され、けたたましく点滅する画面。
八雲と紫央、どちらも蝶ネクタイのようなマーク、つまり「ストライク」が写っている。
俺とクロエは目を合わせて震えた。
「いかん…これ神々の戦いだ……」
☆☆あとがき☆☆
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