第33話 お母さん襲来!
パシャパシャパシャパシャ………
「むう………」
カメラのシャッター音のような音が鳴り響き目が覚めた。
こんな朝っぱらからなんだよ…つか誰だよ写真撮ってるヤツは……。
「おっはよー
この一言で完全に頭が覚醒した。
「か、母さん…!?なんで写真撮ってんだよ…!」
「むふふー。息子が女の子と一緒に寝てるとこなんて特大スクープじゃん?だから撮ってんのー。」
母さんに言われて俺は隣を見た。
「あ…。」
スヤスヤと規則正しい寝息を立てて気持ちよさそうに眠る
しかも俺の右腕を抱いて。
うん、終わった…
そもそもなぜ八雲さんが俺のベッドにいるんだろ…まあ別に今までもあったから普通の事なんだけど…。
思い出せ…昨日の夜何があったか…。
「ちょっと、自分の中で話さないでよ。」
母さんが何か言ってるが俺は昨夜の事を必死で思い出すことにした。
——————
『おねえちゃーん、甘酒持ってきたよー!』
『
そうだ、あの後翠が甘酒を俺たちに持ってきてくれて…
『あったまるぅ…。ありがとな翠。』
『でしょー。私たちもさっき飲んだみたら美味しかったからさ。二人にも持ってってあげよって。どう?おねえちゃん。』
『ふぁい…。おいしいれす…。』
甘酒を飲んだ辺りから八雲さんの様子が変になり始めて……
『湊くんのベッドらあー!』
家に帰るなり俺のベッドにだいぶしてそのまま事切れた。なるほどね。
だけどそれにしたらなんで俺一緒に寝てるんだ…?別のところで寝るという選択肢が昨日の俺にはなかったのか?
まあ…見えない力が動いたと言うことにしとこう。
——————
「さて、回想は終わった?」
一通り思い出すと母さんが聞いてきた。
この人は毎度ながらエスパーか何かか…。
「まあ…大体は。」
すると隣でもぞもぞと八雲さんが動き始め、閉じていた瞼が開く。
「あっと…おはよう八雲さん…。」
「おっはー!八雲ちゃん!」
ぼんやりとした目を手で擦り、俺と母さんを交互に見た。
そして自分が寝ている場所を見ると顔がみるみる蒸気して真っ赤っかになり大きく目が開く。
「あ…え…えっと…その…昨晩は…ごめんなさい…。私…雰囲気に酔っちゃってて…湊くんに変なこと…してませんか…?」
「い、いやいや!…大丈夫…!なんもなかったから。」
お互い恥ずかしくてベッドの上でもじもじしてしまう。
「うっわー!すげえ事後みたいな雰囲気だあ。」
「か、母さん!何言ってんの!」
ニヤニヤしながら俺たちを見る母さんに叫ぶ。まったくこの親は…。
「え…?湊くんのお母様…?」
八雲さんが母さんに気づいたらしい。
先日八雲さんのお父さんと対面した時にも母さんはいたので顔に覚えはあっただろう。
「うわあ…八雲ちゃんめっちゃ可愛いじゃん…。こりゃ会いにきて良かったあ…。」
母さんが八雲さんのほっぺたをぷにぷにと揉んだり頭を撫でたりし始めた。
「きゃっ…。」
「か、母さん!」
「えー。まだ触りたいー。」
八雲さんが顔を真っ赤にさせながら母さんに愛でられていたので止めに入る。
「だ、大丈夫です…。湊くん。湊くんのお母様にはこの前お世話になりましたから。」
「わー!優しい子!お母さんも八雲ちゃん好きになっちゃった!」
「母さん…。つかもってなんだよ。まあいいや。ご飯作るからリビング行こうか。」
「あ、分かりました!お手伝いしますね。」
「お母さんも久々に息子の手料理が食べたーい!」
「なら早く行くぞ。」
三人で部屋から出て俺と八雲さんは朝ごはんの準備を始めた。
——————
「にしても…。そうやって一緒に料理してると君たち夫婦みたいだねぇ。」
ちゃちゃっと二人で四人分の朝ごはんを作り、机に皿を並べていると母さんが唐突に呟く。
「ふっ…飛躍しすぎだろー!」
「ふ…夫婦……。」
「お、八雲ちゃんまんざらでもない感じぃ?」
「ぅぅ……。」
もはや赤くなりすぎて熱でもあるかってレベルになってしまっている八雲さん。
言葉に困ってしまっているっぽい。
「母さん…。あんまり八雲さんを困らすなよ。」
「はーい。可愛いのになあ。」
バタン
料理を並べ終えると翠の部屋の扉が開く。
「ママ!」
髪をボサボサにしたままの翠が母さんめがけて飛び込んでいく。
「翠!」
二人は立ち上がり抱きしめあった。
昔から翠は父さんと母さんにベタベタに懐いてたからなあ。久々に会えて嬉しいんだろう。
母さんは背が低めで既に翠と同じぐらい。
髪も赤色のツインテールにしてるからとても大人には見えないよなあ…。
「ママ帰ってきてたの?」
「う〜ん!お正月だし顔見せようかなってね〜。また可愛くなっちゃってこのこの〜!」
「やぁっ、くすぐったいよママぁ。」
「あのー…お二人とも水を刺すようですがもうご飯出来てるから食べたら?」
長くなりそうなのでここらで終わらせておく。八雲さんは隣で微笑みながら二人を見ていた。
「「「「いただきまーす!」」」」
「湊のご飯久しぶりぃ!美味しいね相変わらず!」
「ありがとう。で今日はどうしたの急に。」
「顔見せに来ただけだってば。んでも…」
八雲さんの顔をチラッと見た。
「この前会ったじゃん?だから様子を見に来たってのもあるかなあ。でも大丈夫そうでなによりだよ。」
そういえば母さんとは前に八雲さんを連れ戻しに行った時になぜか会ったんだった。
「そうだ母さん、あん時はありがとな。おかげですぐ帰れたし。でもなんであそこにいたんだ?」
「なにって仕事だよ?ちょうど取材の仕事があったから早めに侵入したら湊たちがいたの。」
「し、侵入って…。」
「あの…お母様。」
俺と母さんの会話に八雲さんが入ってきた。
「あらあら…お義母さんだなんて…。」
「あ、いや…えっとぉ…。」
「母さん。」
「んふふ。いいよ、そのまんまで。」
まったく…隙あらばからかうなこの人…。
「私は…湊くんにすごくお世話になってしまっています…。その…私が居ても良いのでしょうか…?迷惑になっていないかなあって…。」
俯きながらそう答える。
そんなこと考えなくても良いのになあ…。
「八雲ちゃん?」
「…はい。」
「私はねー、なあんにも気にしてないよ?見てる感じ八雲ちゃん良い子だし。細かくは聞かないけど湊もそれを分かって一緒にいるんだろうしさ。だから気にしないでね。」
立ち上がり八雲さんの頭をぽんっと撫でる。
「お母様…。ありがとうございます…!」
「それにね?」
「?」
突然座っていた八雲さんに後ろから母さんが抱きついた。
「可愛い子なら大歓迎だしねー!!ん〜…可愛いなあ八雲ちゃん。」
「それがなければ良い話だったのに…。」
「あら湊。君だけ一緒に寝てたなんてずるいじゃないか?」
「うぐ…。それは仕方なく…。ってまあこんなことは良いや。その…今回に関しては俺も感謝してるよ、ありがとう。」
「珍しいじゃん。」
「珍しい言うな。まあ、なんだ。暇ならいつでも家に遊びに来て良いからさ。今度父さんと一緒にまた来てよ。」
「ふふっ。ありがとね!」
その後、母さんはご飯を食べて帰って行った。仕事があるそうだ。
たまには…親孝行するのも良いことだよな。
——————
「やっほー!湊!遊びに来たよー!」
翌日、朝から元気よく家にやってきた。
まさかこの後しばらく家に入り浸るなんて思いもしなかった…。
☆☆あとがき☆☆
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