第19話 ゴミ屋敷を掃除せよ!

 「あ、みなとくん!今日は何をやりますか?」


 午前9時ごろに八雲やくもさんが俺に尋ねてきた。

 そう、俺たち学生は今日から冬休みに突入したのだ。


 休みと聞けば朝からだらだらとしたり、テレビでアニメや映画を見たりだとか漫画を読んでも良い。一日中ゲームするのもアリだ。


 実際、八雲さんとすいは既にリビングのテーブルにゲームカセットを並べており、見るからに「一緒にゲームしよう!」と誘っている。

 しかしだ、俺たちは肝心な事を忘れている。

 今日こそはそれを消化せねばならない。


 「八雲さん、今日は大掃除をしよう。」


 「え?掃除ですか?」


 予想外の答えに少し驚いた様子。八雲さんは家の周りをくるっと見渡した。


 「でも…家に汚れているところなど…。」


 「そうだね、ウチもいずれ掃除するけど今日はここじゃないよ。」


 「…?それでは一体どこを?」


 「よーし八雲さん。汚れても大丈夫な服を着て俺についてきて。」


 八雲さんは頭にはてなを浮かべつつも頷き、着替えに行った。(ちなみに家にある服は大体着れるようにはなった)

 

 八雲さんが戻ってきたところで翠には部屋の片付けでもしてろと言っておき、俺たち二人は本日掃除する舞台へと向かった。


 ——————


 「み、みみ、みみみみ、湊くん…?まさか掃除って…?」


 「そのまさかだよ八雲さん。もう年末も近いし掃除しよう。良い機会だよ。」


 今俺たちが立っているのは以前まで八雲さんが暮らしていたウチの隣にある部屋。

 そしてこの部屋は俺と八雲さんが出会ったきっかけでもある例の部屋…。


 とんでもないゴミ屋敷だ。


 「だ、だだ、大丈夫れすよぉ!ここは掃除しなくともぉ!!」


 顔を赤くして俺の服を掴み、ぶんぶんと揺らしてきた。


 「いやいや、やっておかないとヤバいって。このまま放置するわけにもいかないだろ?だから完璧には無理かもしれないけど大体は片付けておかないと!」


 「…いざとなったら…お掃除してくれる業者さん達を呼びます…!」


 「お金にモノを言わせたなぁ…。てゆうか前まではそんな恥ずかしがったりしてなかったじゃん。どうしたの?」


 前と言っても一、二週間前だが何度かここに来て少しずつペットボトルなどを捨てに来ていた。

 しかしその時の八雲さんは今のように慌てふためいたり露骨に嫌がったりなどしていなく、もはやこれが普通ですけど?みたいなオーラを出していた。


 「えっと……湊くんたちと暮らしていて…自分がどれだけ怠けていた愚か者であるかが目に見えるように分かったんです…。ですので以前の私を象徴するかのようなここは…湊くんには見られたくないんですぅ…。」


 「なるほどね…。でも八雲さん、それって良い事だよ。変わろうとしてるじゃん。だから昔の悪いところを無くすという意味でもやっぱり掃除って大切だよ。掃除って一種の自分磨きだし。」


 「そう…ですかぁ…?」


 「そうだよ!んじゃあ頑張ろうか!」


 俺の言葉に納得してくれたようで弱々しくもこくりと頷いてくれた。


 「湊くん、良い事言うようになったじゃーん!」


 八雲さんと話していると後ろから声がしてきた。


 「管理人さん?」


 「そう、俺がお手伝い頼んだんだ。まとめたゴミを車で持ってってもらうように。のどかさん、今日はお願いします。」


 「良いってことよ〜!代わりに今日は夜ご飯ご馳走になるもんね〜。」


 「夜ご飯ぐらい全然良いですよ。それじゃあ八雲さん、準備オッケー?」


 「…はい!」


 八雲さんも覚悟を決めたようで、俺の意見に従ってくれた。


 「よし、じゃあ行こう。」


 八雲さんの部屋のドアノブを回して、俺たち二人は部屋へと入った。


 ——————


 「おお…。久々に見たけどやっぱすげー…。」


 「ううう…。」


 部屋に入った途端、視界に映るペットボトルや弁当の容器、カップラーメンの空箱などの山。その数は廊下からリビングまで続いており、目に見える範囲全て埋まっていた。


 しかし以前来た時にあらかた袋に詰めたりしていたのでまだマシになっている。

 ただその袋の数も尋常じゃない事になってるけどな。


 「じゃあまずは…この袋を外に出して行こうか。車に積んで持ってってもらおう。」


 「了解です…!」


 手分けをしてまとめられたゴミ袋をせっせと二人で運んでいく。中身の重さはそこまでないので軽々と持てるが、数が多すぎるため出しても出しても全く減らない。


 「…思ってた倍はあったなあ…。」


 袋を渡している時、ぼそっとのどかさんが言った。


 「…それ、八雲さんに言っちゃダメですよ…。」


 「大丈夫…分かってるよ…。」


 「ふたりともー!」


 中から八雲さんが呼んできたので二人してびっくりしてしまう。


 「どっ、どした?」


 「はぁ…はぁ…袋が…!袋が無くなりましたあ!」


 「おお!」


 「んじゃあ私はこれ持ってくね。」


 のどかさんが袋を持って下に行く。


 「お願いします!」


 俺は八雲さんと一緒に部屋の中へと入り、見てみると、


 「すごい…!一時間ぐらいでこんなにスッキリするじゃん!」


 先ほどまで足の踏む場もないぐらいの部屋もペットボトルなどがなくなればかなりスッキリとして明るい気持ちになれた。


 「はい…!ありがとうございます湊くん!」


 「おう。でも…まだまだこれからだけどね…。」


 「…はい。」


 スッキリしたと言ってもまだ綺麗とは程遠い。

 俺たちは床に散乱する大量の物を片付ける作業へと移行した。


 ——————


 「八雲さん…これは…。」


 「それは…一ヶ月前に食べた冷凍たこ焼きのゴミ…。」


 「えっと…これはぁ…。」


 「食べ終わったお菓子の箱……。」


 すごいな…まるで猫型ロボットのポケットが如くありとあらゆるものがここにはある。

 大半ゴミだけど。


 「…ん?」


 何か白い布のようなものが見える。

 引っ張り出して見る事に。


 「八雲さんこれ………は!?」


 「あー!無くしたと思っていた私の下着ー!こんなところにあったんですか!」


 俺が発掘してしまったのは…白色の…女性が胸に付ける下着……。ゴミではなく宝だっ…いやいや何言ってるんだ俺…。


 「八雲さん…服ぐらいちゃんと持ってなよ…。」


 「うう…返せる言葉がありません…ごめんなさい…。」


 まて、これまた同じように八雲さんの服とかが埋まってる可能性があるのか…!?

 そう思い、服は服で固まってるかもしれないので一度場所を変えるために立ち上がった。


 「あ、私もこっちは大体終わったのでそっち行きま………あわっ…!?」


 八雲さんも俺が立ったと同時に立ち上がったが、足元にあったパンの袋らしきものに滑り、転けそうになっていた。


 「八雲さん!?」


 咄嗟に飛び出し、体を支えると倒れそうになっていた衝撃でドサリと二人して床に倒れてしまった。


 「ってて…。」


 「だ、大丈夫ですか湊くん!?」


 現在、八雲さんが俺の上にまたがっている姿勢になっている。

 上から顔を覗かれると少しドキッとしてしまった。


 「う、うん…。こゆことがあるからちゃんと片付けようね…。」


 「はい…!ごめんなさい…!」


 バタンッ


 「…?」


 何かが落ちる音がして、俺たちは見に行って見た。


 「あ…。」


 八雲さんが声を漏らす。

 落ちていたのは多分、八雲さんの家族写真だ。


 


 




 ☆☆あとがき☆☆

 急いで書いたのでおかしいところあったらごめんなさい!よろしくお願いします!

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