第18話 終業式!しかしハプニング!?
「よし、熱も下がった事だし今日は学校行くかあ。」
昨晩、37.5度あった熱も一晩寝れば36.3度まで下がっており、すっかりと体調は元通り元気になっていたので学校に行くことに。
ちゃちゃっと朝ごはんを作り洗濯を済ませて学校のカバンの支度をする。
「今日は行けそうですか?」
同じく学校の準備をしていた
「八雲さんのおかげでね。それに今日終業式だし。昨日はほんとにありがとう。」
「いえいえ、いつも
「確かに桜ちゃんには昨日お世話になったなあ…。今度どこか久々にみんなで遊びにでも行くか…。でも、良いんだよ?今から覚えていけばさ。」
俺が元気になって嬉しそうな反面、自分が何も出来なかったと思っているらしく少し俯いていた。
「…はい!頑張ります…!」
「おう。そんじゃあ学校行こうか。」
「はいっ!明日から冬休みですし本日は頑張りましょっ!」
準備が済んだので家の扉を開き、二人で学校へと向かった。
今日は3時間だけ…!それだけでテンションが上がる。
ちなみに
——————
「よっ、元気になったかあ湊!」
到着し、席に着くと聞き慣れた声が俺を呼んだ。
「ん、
声の主は俺の親友、青山紫央。
一応昨日の朝に熱が出たから休む旨を伝えたが、わざわざ翠に教えてくれていたらしい。
「昨日はありがとな。翠に教えてくれて。おかげで色々助かったよ。」
「そんぐらい良いってことよ。つーかお前!八雲さんも一緒に休んでたじゃん。二人で何してたんだぁ?」
ニヤリとした顔を浮かべて俺を見る。
聞かれる…とは思っていたがいざこうして聞かれるとなんというか…うぜぇ…。
「別に…なんも。普通に看病してもらっただけだ。お前が期待するような事はしてないぞ。」
「んだよー、まあ良いけどさ。そういやお前らが休んでる時になんか噂みたいなのがたってたぞ。」
「噂?」
紫央が俺の机にもたれかかりながら話した。
「俺もあんま詳しくねえけど、まあ最近お前と八雲さん、割と一緒にいる事が多いだろ?それについてはまだ眉唾ぐらいだったんだけど昨日一緒に休んだので結構それが本格味増したとかで一部男子と女子が勘ぐってた。」
「なるほど…そんな事になっていたとは…。確かに最近は気が緩んでたかもしれん…俺も八雲さんも気をつけねえとな…。」
そう言っていると八雲さんが友達と歩きながら俺たちの横をすれ違った。何か話しているようだ。
「ねね、白華さん。白華さんって内藤くんとどういう関係なの?みんなそこ気になっててさあ?」
その女子の言葉と共に教室が静かになったように感じた。周りで話していた奴らもなにやら耳を傾けているように見えるが…。
「湊くんとですか?どういうって、一緒に住んでますよ?」
さらりと言ってのけた八雲さん。
さも当然かのように言い放った。
「ってうおおおおおおおい!!!八雲さああああああああああん!!!」
「み、湊くん!?」
俺は急いで立ち上がり八雲さんをこっちに連れてくる。
「ぶっ…ふっふふ…流石と言うか八雲さんクオリティだなあ…。」
隣で紫央が笑いを堪えて震えていた。
「おいおいおい…お前…!笑ってる場合じゃねえだろ…!見ろよ…!この状況を…!」
俺は教室中を指差して言った。
先ほどの言葉でクラスは騒然、俺たちの話題で持ちきりになってしまっている。
「や、八雲さん…?あんまりこゆこと言うのは控えないとダメだって…?」
「そういえば…前に湊くんに注意されていました…。ごめんなさい…。」
流石の八雲さんも教室の現状を見たら自分が一体何をしでかしてしまったか分かったらしい。
そう、八雲さんには''学校一のアイドル''というそれはそれは素晴らしい肩書きがあるのだ。
そんな人が俺のような全くもって普通の、「誰だお前?」ぐらいの奴と暮らしてるなんて知れたら八雲さんにどんな被害があるか分からない。
「まあでもさ?湊、見てみろよ。みんなあんまりお前らのこと悪い目で見てないんじゃないか?」
紫央が周りを見渡して言った。
「え?」
いやいや、な訳ないだろ…。
自分たちのアイドルがどこの馬の骨かも知らん奴と一緒に住んでるだなんて…死刑ものだろ…。せいぜい知ってる情報なんてクラスメイトぐらいだ。
半信半疑で教室を飛び交う声を聞いてみた。
『おい…白華さん、湊のやつと一緒に住んでるってよ…!』
『ああ…聞いたぜ…あのヤロウ…羨ましい限りだ…!』
これは男子グループの意見。
そりゃあそうなるだろうな…。
『白華さんと内藤くん…一緒に住んでるんだ…。でもさ…?なんか安心じゃない?』
『私、それちょっと分かるかも。白華さんってさ…危なっかしいって言うか目を離せないって言うか…。』
『ねー。その点、湊くんはしっかりしてて優しいしこの前の家庭科の調理実習の時作ってくれたのもすっごく美味しかったし。家庭的だよねぇ…。』
こちらは女子三人組の話。
あれ…?なんか思ってたのと違うんだが…。
『まあ、驚きはしたが…。心配する事はなさそうだな。』
『だな。これがもしお前だったら速攻で殺してるところだった。』
『うおい!ひどくね?でも言えてる。だって湊は………』
『『『白華さんに手を出す勇気なさそうだしな!』』』
「ってお前らー!失礼だろぉ!」
聞いてりゃこいつら…言いたい放題しやがって…!
俺の言葉を聞き男子達が集まってきた。
「湊…。お前に託したぜ…!俺たちの白華さんを…!」
「…は?どう言う…?」
「つまりこう言う事だろ。お前は白華さんの執事!これで解決だ!」
「しっ…執事…?」
「その通り。だが…万が一白華さんに手を出そうとしたら……。」
「俺たち全員でお前をぶっ殺すからな☆」
「んなめちゃくちゃなぁ…!」
なぜかクラスの中で俺は八雲さんの執事という立場が確立されてしまい、なんとか一命を取り留めたのだが、なんか納得いかねえな…。
ガララララ
「ほらほら騒ぐのやめてー。今日は新しく新任の先生が来たからなー!それもウチのクラスの副担任!お前ら驚くなよ〜?」
扉が開き担任の水野先生が入ってきた事でこの騒ぎは一旦終了し、話題は新任の先生へと向いた。ありがとう…!良いタイミング…!
「よし、じゃあ今から来てもらうけど俺も見捨てないでくれよ?」
「せんせーい!そゆの良いから早く!」
「くっ…早くも政権交代の危機か…!って冗談はこのぐらいにして新美先生!どうぞー!」
水野先生が廊下の方に声をかけるとガラリと扉を開けて新任の新美先生?が入ってきた。
「うおお…!」
クラス全員が先生に釘付け。
その理由とはまさに彼女の容姿だ。
黒のスーツと対照的にきらりと光る金髪のウルフカットは全員の目を惹きつける。
スラリとした体型にスカートから伸びる黒タイツを履いた綺麗な足。
顔にはメガネをかけており、いわゆる漫画やドラマに出るエリートな出来る先生、カリスマって感じがする。
「今日からみなさんのクラスの副担任を務めます
ぺこりとお辞儀をした新美先生。
男子のみならず女子もその美貌にうっとりとしていた。
「…?どこかで見たような…。」
八雲さんがじーっと先生を見ながら呟く。
だけど明日から冬休みなのに今のタイミングでなんてかわいそうだな…。
でも俺にとっては明日から休みなのが救いだ…。この休みでみんなが今日あった話を忘れてくれていることを祈ろう。
先生の紹介も済み、学校は行事諸々を終え、ついに冬休みへと突入したのだった。
☆☆あとがき☆☆
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