第23話 ちょっと寂しい気がするので

 王侯貴族や御大尽が多く利用するというバルディオンでも最高の宿泊施設バルディオングランドホテル。

 更にその最高客室にクリスティンたちは陣取った。


 ……これがこの後王城へ殴り込みをかけようとしている一団なのであろうか?


 とてもそうは見えないと思うクリスティン。

 それほど皆思い思いに寛いでいる。

 優雅にテラスで読書をしているアルゴール。

 振りザルに適度な重りを入れて何度も湯きりの動作を繰り返しているリュー。

 そういえばカエデの姿が見えない。どこへ行ったのだろうか……?


 そしてクリスの視線は鏡の前で唇に紅を引いている褐色の肌の女の横顔に移った。

 20代前半とは思えぬ妖艶さ、そして同姓のクリスティンから見ても見とれてしまうほどの美人である。


「そういえば、どうしてキリエッタさんがリューたちと一緒にいるんです?」

「……どーしてもこーしてもあるかい」


 はん、と呆れた様子で鼻を鳴らしたキリエッタ。

 そして彼女の視線はこの場の男2人の方を向く。


「アタシがメイヤー元侍従長の話をコイツらに教えてやったんだよ。そうでなきゃ今頃まだコイツらは暢気に旅を続けてたさ」


 そのやり取りに湯きりのフォームの確認? をしていたリューが手を止めた。


「興味や関心を無くしていたと言うわけではないが……。正直、今になって女王がこういう行動に出るとは思っていなかった」


 そして赤い髪の男はどこか遠くを見るように視線を斜め上に上げる。


「それから、話を聞いて自分がこの国へ戻るという判断をした事も意外だったな」


 他人事のように言うリューにクリスは微笑んだ。

 気持ちはわかる。最初は面と向かって罪を押し付けて置いていけばいいとまで言っていた相手だ。

 クリスティン自身、メイヤーという男に抱いている感情は正直自分でもよくわからない。

 よくわからないのだが自分はいまここにいる。

 危険を冒して彼を救出するためにここにいる。

 そして、他の皆も自分と同じ気持ちであった事が……とても嬉しいと思う。


「ところで」


 声を掛けられて改めてリューを見るクリス。

 彼の視線を追うとテーブルの下に潜ってリューを睨みつけているカエデを見つけた。


「……フーッ!!!」


 ……唸っている。

 まるで猫だ。


「彼女に俺は随分敵意を持たれているようだが。何故だかわかるか?」

「え、ええと……」


 なんと言ったら良いのか……悩むクリスティンである。

 前に排除した密偵の事を彼は覚えているだろうか?


「以前彼女の大腿骨を蹴りでへし折った事があるのだが、それが原因だろうか?」

「……それが原因ですね」


 乾いた声で答えるクリス。


 良かった記憶していたらしい。……いや、良かったでもないのだが。

 好きな友人同士仲良くはして欲しいのだがその前途は多難らしい。

 クリスは嘆息することしかできなかった。


 ────────────────────────


 監禁されているヴァイスハウプト・メイヤー。

 毎日入浴もできれば着替えもきちんと洗濯されて出てくるので閉じ込められているとは思えないほど彼は小ざっぱりとしたなりをしている。

 自慢の髭のツヤと角度も完璧である。


 殺さない事を信条としているペテン師。

 だがそれは彼の戦闘能力が低いという事ではない。

 優れた身体能力と多彩で不可思議なオリエンタルな魔術を操る手練でもあるのだ。

 だがその事はほとんど知られてはいない。

 クィーンガードは彼の武装を全て奪ったと思い込んでいるが、ここには紙とペンがある。

 これだけでも彼は術の仕込みが可能なのだ。


 既に部屋の中にも、そして身に付けるものにも無数の式神を仕込んである。


 そう遠からず女王とその手下は自分の監禁が無意味である事を悟るだろう。

 その時にどう出るのか……。

 開放される可能性は低いと言わざるを得ない。


 いつ脱出を図るのか。

 ……そのタイミングを慎重に見定める必要がある。


 などとメイヤーが考えていると部屋の外がにわかに騒がしくなる。


(……なんだ? トラブルが発生しているのか?)


 ドアの近くの壁に背を当てて外の様子を窺うメイヤー。

 その時、そのドアがバン!と派手な音を立てて乱暴に開け放たれた。


 そして突き飛ばされでもしたのか、たたらを踏んで部屋の中に入ってくる者がいた。


「あいたたた……いや~、参りましたね」


 その何者かはそう言って頭を掻いている。

 背の高い若い男……だが……。


(!! ……エルフ族か!)


 メイヤーの視線は男の長く尖った耳に向けられている。

 そうなると話は別だ。

 こんな見た目で数百年生きている者がザラなのがエルフである。


「おや、これはお見苦しい所を」


 エルフの男もメイヤーに気が付いたようだ。

 木製の杖を手にしたローブにマント姿。

 学者か術師といった出で立ちである。

 愛嬌のある丸いメガネを掛けていてストレートな黒の長髪に顔立ちは……これはエルフ族としては普通のことなのだがちょっと嫌味なほどに美形である。


 自分の置かれている状況がよく理解できていないのか、エルフは気さくにメイヤーに握手を求めてくる。


「初めまして、私はエルフ族のオカカ・オニギリーといいます」

「おかか!!?」


 警戒していたのだが驚いて思わず握手してしまうメイヤー。


「オニギリーまでお願いしますよ。オカカだけだとオカカの何なのかわからなくなってしまいますからね」

「フルネームで呼んだって何なのか理解できんわ」


 半眼のメイヤーである。

 そんな彼のクレーム? など気にもしていないようにオカカは部屋の椅子を勝手に引いて腰掛けた。


「いやいやいや、参りましたよ。私は大森林からやって来たんですけどね。新しい女王様が即位されたという事で親書を携えて来たんですが「お前のような怪しい使いがいるか!」とか怒られちゃいまして。本物なんですけどねえ」

「大森林……イルファーシアかね」


 大森林とは大陸中央から北西部にかけて広がるその名の通りの広大な森林地帯である。

 そこにはイルファーシアというエルフ族の王国があり、世界中のエルフの頂点に立つ王がいるという噂だ。


「そりゃ1人で来る使節はおらんだろう」

「ものものしいのもどうかと思いまして、フレンドリーさを出してみたんですが……」


 大袈裟に頭を抱える仕草をしてからオカカがメイヤーを見た。


「それで、貴方は何をして怒られたんですか?」

「何もしとらんよ。言い掛かりでここに押し込まれておる。……私はヴァイスハウプト・メイヤーだ」


 色々複雑な事情があるが、そのあたりをこのエルフに説明してもしょうがない。

 ざっと流してメイヤーは名乗った。


「運が無かったな。君も体験した通り今この城は非常にぴりぴりしとる。まあ君の身分に偽りがないなら遠からず開放はされるだろう」

「私、たくわん無いとご飯物足りないんですけど頼めば付けてもらえますかね」


 全然関係ない事を心配しているオカカである。

 肝が太いのかネジがぶっ飛んでいるのか……その辺り判断付きかねるメイヤーであった。


 ────────────────────────


「……さて」


 読み終えたのか、手にしていた本をパタンと閉じたアルゴール。

 それが合図になったかのように部屋の空気が変わる。

 そして白服の紳士は片手を上げた。

 発言を促すように……クリスティンに向けて。


「え? 私?」というように驚いて自分を指差したクリス。

 アルゴールは軽く笑って肯く。

 他の皆も黙って彼女を見ている。


「えー、では僭越ですけど……」


 こほん、と咳払いを1つして。


「女王様の所に行ってメイヤーさんを返してもらいましょう。色々困ったおじさんですけど、でもやっぱり……いなくなってしまうとちょっと寂しい気がするので!」


 ぱちぱちぱち、とアルゴールだけが拍手を送った。


芸術的アーティスティックだぞ、クリスティン」


 アルゴールは満足げである。


「……そうだ、我らはそれでいいのだ。魂の友というわけでもない困った男を、いなくなったら少し寂しいかもしれないという理由で助けに行く。相手は女王、国家への反逆だ。実にいい。実にではないか」

「いえあの、そんな改めて国家への反逆とか言われてしまうと心が折れそうになってしまうので……」


 心なし青くなった顔色で言うクリスティンであった。


 ホテルを出る一行。

 よく晴れた昼下がり。

 街を行く人々の表情は明るい。

 彼らは誰一人として知るまい。

 今自分がすれ違った相手がこれから王城へ突入し大暴れする気であるという事など……。


 王城に近付くにつれ人影はなくなっていく。

 小高い丘の上に建つ王城へ向けて緩やかな坂を上っていくクリスティンたち。

 通常であればこの時点で衛兵が駆けつけてきて止められるはずなのだが。


「誰も……来ませんね」

「ここで止めたってしょうがないさ。ここだとまだ街の連中に見られるしね」


 そう言ってキリエッタが不敵に笑う。


「異様だよ。衛兵も皆下げちまってる。本当に城にはクィーンガードしかいないんだ。なんでそんな事する必要があるんだい? 向こうにしてみりゃ今のアタシらなんてゴロツキに毛が生えたようなもんだよ。それを何で背水の陣みたいな覚悟でわざわざ王城で迎え撃たなきゃいけないんだ?」

「聖堂騎士団はどうしてるんでしょうかね?」


 クリスの問いにキリエッタはヒラヒラと手を振った。

 ないない、というように。


「いないよ。それは聞いてないのかい。聖堂騎士団は今ほぼ全軍でカーライルとの国境線に集結してる。名目は大規模演習って事になってるけど、実戦装備だって噂だよ」


 カーライル王国はバルディオンと隣接する同規模の大国である。

 クリスの脳裏に先日のカエデの言葉が蘇る。

 女王は戦争の支度をしている……という。


「戦争の……」

「さぁてね、それはアタシにはわからない。けど今この国は色々と……何もかもがおかしな方向に向かっていっちまってる気がするよ。もしも、もあるかもしれないねえ」


 クリスは俯いた。

 カーライルとバルディオンは関係良好であり双方の国にはほぼフリーパスで人が行き来できるほどだ。

 今も相手の国にいる者が大勢いる事だろう。

 その事に思いを馳せるクリスティン。

 だが、彼女はすぐに顔を上げる。

 決意を宿した瞳が眼前高く聳える王城を映している。


 ……今は、国の行く先まで憂いている余裕は無いのだ。

 まずは目の前のことに集中しなくては。


 クィーンガードは200名程であるらしい。

 彼らを撃退し……メイヤーを助け出す。


 城門までやってきたクリスティンたち。


 その門の向こうに黒い鎧の騎士たちが待ち構えている。

 全員殺気を漲らせて……。


 その門を潜った時がお前たちの最後だと、視線で語って待ち構えている。


「あわわわわ、本当にいますよ……」


 今更ながらに足が竦むクリスティンである。

 リューやアルゴールが平気で進むのでここまで来てしまったが、どこかから忍び込むとかそういう手もあったのではなかろうか……と、そう考えてしまう。


 ……たった5人で、今から200の精鋭騎士の守る王城を攻めるのだ。

 しかしクリスティン以外の4人は気負う様子も不安な様子もなく静かに闘志を燃やしている。


「では、始めるとしようか……我らの舞台を」


 宣言してアルゴールがステッキの先で地面を軽く突く。

 すると周囲の地面が鳴動しながら不気味にうねった。


「……!!? 何だ!!??」


 動揺するクィーンガードの騎士たち。

 船の上にいるように揺らいでいる大地。

 彼らの前で地面からわらわらと沸いて出てくるのは白骨化した戦士たちだ。


「いずれも名のある猛者の骸だ! お前たちを退屈させることはあるまい!!」


 襲い掛かる骸骨戦士たちを迎え撃つ黒騎士たち。

 周囲は戦場と化した。


 その中をクリスたちは突き進んでいく。

 骸を蹴散らし彼らへ向かってくる敵騎士はまだいない。


「さて……私はこの場に留まらねばならん。奥へ行け、お前たち」


 大地の露出している場でなければ骸骨戦士の生産速度が落ちる。

 クィーンガードの数に対抗できるだけの兵力を呼び出し続ける為にアルゴールはここに残る必要があるのだ。

 更なる黄泉よりの戦士たちの召喚へ魔術に集中する彼に向けて風を切って1本の矢が飛来する。


「……!!」


 リューが持っていた投擲用の礫で矢を弾いた。

 見上げると3階から張り出したバルコニーに大弓を構えた銀の髪の騎士がいる。


「ボルツの時の……」


 クリスティンはその男に見覚えがあった。

 聖堂騎士フェルディナント……自分が木箱で殴りつけてのした相手だ。

 あの時も彼は聖域の中で頭上から弓でこちらを狙ってきた。


「私が行く!! 援護しろ!!!」


 カエデが木の幹に取り付き枝の上に駆け上がった。

 そしてフェルディナントが立っているバルコニーの隣のバルコニー目指して壁を這い上る。


「……小癪な!!」


 銀髪の騎士は彼女を射落とそうと試みるが出鱈目に武器を投げつけてくる骸骨戦士や飛礫で牽制するリューの前に阻まれる。

 その間にカエデはバルコニーに辿り着き城内へと消えた。

 屋内からフェルディナントのいるバルコニーを目指す為だ。


「距離を詰めれば私に勝てるとでも? 舐めてくれますね」


 弓を置いて剣を抜いたフェルディナントも迎撃の為に城内に消えた。


 もう2人の姿は外からは確認できない。

 ……後はカエデに任せるしかない。


(カエデちゃん……気を付けて……)


 唇を噛んでクリスティンも城へと駆け込む。


 城内に突入したクリスたちを先ずは広いロビーが出迎えた。


「おいおい……冗談だろ」


 ガシャガシャと鎧を鳴らして出てくる数名の騎士。

 その戦闘には見覚えのある頬に刀傷のある男がいる。


「……あんたがそっちにいるのかよ。キリエッタさん」

「久しぶりだね、オーギュスト。アタシの後はアンタがいいと思ってたが、やっぱりそうなったみたいだねえ」


 傷顔の男の表情には失望と苦悩から来る苦味があった。

 彼の脳裏をほんの数日前の出来事がよぎる。


 ……………。


聖遺物アーティファクトを返してきたって……本気か、お前」


 乾いた声で言うオーギュストに肩を竦めた大柄な男。

 ベガ・アルバレス。

 彼はもう鎧も着ていない、私服姿である。


「あぁ、そういう事だ。悪いなぁ~、オレはここまでにさせてもらうぜ」


 そう言ってベガはフッと皮肉気に口元を歪めて笑った。


「別に引き留められもしなかったぜ~。『ハイそうですか』ってなモンよ」

「ここまで一緒にやってきたじゃねえか。なんでだよ……」


 そうするべきではない、と自分でもわかっていながらも口調が感情的になるのをオーギュストは抑えきれずにいる。

 ……オーギュスト・ユーグとベガ・アルバレス。

 2人の騎士は傭兵の出と国内の訓練校からの叩き上げという違いこそあるものの、同い年であり同期入団の親友同士であった。

 口元の笑みを消したベガがオーギュストを見る。


「あのオッサン……住民焼いてまで捕まえてきたって言うじゃねえかよ~」

「……………………」


 肯定も否定もなく、ただ目を細めたオーギュスト。

 そんな彼にベガは肩をすくめて見せる。


「お前の事はよぉ~く知ってる。そういう事を平気でやれる奴じゃねえって事もよ。……だが、例え命令だったとしても、オレにゃ無理だ。やれねぇよ、そりゃ」


 オーギュストは立ち尽くす。

 ベガは自分を責めているわけではない……それはわかっている。

 だが、責められるよりも憐れまれることの方がずっとこたえるのだ。


「ヒーローになりたくて騎士になったわけじゃあねえがよ~、それにしたって超えられねえ一線はあるわな」


 そう言って……友は自分に背を向けた。


「お前、似合ってねえよ~、その黒い鎧もいかめしいツラもよ。早いとこお前も身の振り方考えた方がいいぜぇ~」


 立ち去るベガを黙ったまま見送るオーギュスト。


「……それができりゃ、世話ねえよ」


 その呟きは口の中で消えて声になる事はなかった。


 ……………。


「オレたちにあんたと殺し合えってのか。あんたが手塩にかけて育ててきた騎士たちをあんたが殺しに来たのかよ!」


 叫ぶオーギュスト。

 だがサソリの名で呼ばれた女傑はそんな彼を冷たい目で見ている。


「別にアンタたちの命なんかどうでもいいね。死にたくないなら退いてな。それに……アタシに育てられたのなんのって、そんな自負があるんならまずは迷わずこの首を獲りにきなよ。この場で泣き言言い出す奴なんかアタシは育てた覚えはないね」

「………………………………」


 キリエッタの言葉にオーギュストの瞳から苦悩の光が消えた。

 覚悟を決めた表情でスカーフェイスは愛用の大剣を抜く。


「そうそう、それでいいのさ。……ってワケで、ごめんよ皆。アタシはこいつらの相手してから行くから先に行ってておくれ」


 リューも、クリスティンも……皆無言で彼女の脇を走っていく。

 口を出してはいけないと、それを察して。

 オーギュストも、その背後の数名の騎士たちも自らの脇を抜けて奥へ向かうクリスたちを制止しようとはしなかった。


 走り去る仲間たちの中の小柄な男の背を一瞬だけちらりとキリエッタが見る。

 自らの胸の奥の淡い想いが……それがきっと届くことはないのだろうと悟って口の端にほろ苦い笑みを浮べたキリエッタ。

 だがその苦笑もすぐに消える。

 再び顔を上げた時、彼女はもう戦士の表情に戻っていた。


(この場はアタシのケジメだ。他の奴には任せらんないね)


 鞭を取るキリエッタ。

 虚空を裂いて床を激しく打ち鳴らす。


「アタシがいなくなって腑抜けていないか……そいつをじっくり確かめさせてもらおうじゃないか!!」


 鋭く光る彼女の瞳に武器を振り上げて迫る黒騎士たちの姿が映った。


 ────────────────────────


 俄かに騒がしくなった城内。

 遠く剣戟と怒号が聞こえてくる。

 メイヤーたちの監禁されている部屋の前も慌ただしく騎士が行き来しているようだ。


「……おや? なんでしょう、お食事の時間ですかね」


 オカカ・オニギリーが暢気な事を言っているがそんなはずはない。

 相変わらずボケているのか本気なのかよくわからないエルフだ。


「いや、まさか……」


 呟いて椅子から立ち上がったメイヤー。

 彼はドアに近付き外の声に注意を向ける。


「来たぞ!! 奴らだ!! クリストファー・緑もいる!!!」

「迎撃しろ!! 正門前がアンデッドだらけだ!! 応援に向かえ!!!」


 騎士たちはそう叫んでいた。

 それに続いて走り去っていく数名の足音が響く。


「……………………」


 立ち尽くしているメイヤー。

 気が付けば彼は白手袋をした手をぎゅっと握りしめている。


「あいつら、本当に来たのか……私を助けに? 女王に歯向かって? 王宮に突っ込んできたのか……?」


 俯いて苦笑するメイヤー。


「……バカタレどもが」







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