第20話 大平原よりの来訪者

 街外れに農園を背負ってその屋敷は建っている。

 クリスティンの生家……ダニエル・アルバ・マギウス男爵邸である。


 屋敷の主人、クリスティンの父ダニエルは娘よりも頭1つ分身長が低い。

 栗色の髪を品よく撫で付けた眼鏡を掛けて穏やかな雰囲気の中年男性である。


「お帰りクリス! 待っていたよ……大変だったね。身体は大丈夫かい?」


 玄関を開けるなり飛び出すように出てきた父はそう言ってクリスティンを抱きしめた。

 自身の帰郷についてクリスは「人死にが出るような落石事故に巻き込まれ、色々考えた結果退団して家に帰る事にした」という説明をしてある。

 事実を話すわけにはいかないが彼女なりにギリギリセーフなラインまで真実に近付けた。

 落石事故は世間に発表されているパウル司祭や他の騎士たちの死因でもある。


 父に続いてその隣の母とも抱擁を交わしたクリスティン。

 母ミシェルは銀色の髪の勝気そうな美人である。

 女性としては長身であり170cm以上ある。

 ちょうど夫と娘の中間の背丈だ。


「お疲れ様。まあうちでゆっくり身体を休めなさいな」

「それで、クリス。こちらのお嬢さんは?」


 両親の視線がカエデに向くと彼女は背筋を伸ばしてぎこちなく頭を下げた。


「はっ、はじめまして! カエデ・ユキノセだ……です……!」

「あ、あのねパパ、ママ……その例の事故の時に私と一緒に巻き込まれた子で。なんだかそれで仕事も無くして行く当てもないっていうからうちにおいでって私が言っちゃって……」


 慌てて用意してあった彼女を連れて来た理由を告げるクリスティン。

 まさかそれが偽りであり彼女が王家に仕えた密偵だったとは夢にも思わない両親は共に相好を崩した。


「そうかあ。それは大変だったね。うちでゆっくりするといい」

「そうね。部屋は沢山空いてるから遠慮しなくていいのよ」


 ダニエルがそう言うとミシェルも相槌を打った。


「それで、何もせずに置いてもらうわけにはいかないから何かお仕事させてほしいんだって」

「がんばる……ります……!!」


 ぴょこんと元気よく頭を下げるカエデに両親が顔を見合わせる。


「そんな事気にしなくていいのになあ。……うーん、それじゃあちょっとばあやのお手伝いでもお願いしようか。おーい! ばあや、いるかい!!」


 屋敷に向かってダニエルが呼びかけるとやがて戸が開いて小柄なエプロン姿の老婆が顔を出した。

 丸顔で笑顔がほわっとして暖かい感じのするお婆さんだ。


「はいはい、聞こえておりますよ。おやまあ、お嬢様のお帰りは本日だったのねえ」


 ひょこひょこと歩いてきてクリスティンにハグする老婆。


「家政婦のキャロル・シェリダンさんだ。もう30年近くうちで住み込みで働いてくれている……もう家族の1人だね。この人の手伝いをしてくれるかな」


 ダニエルはそうばあやを紹介した。


「ばあや、今日からうちに住むカエデさんだ。ばあやのお仕事を手伝ってくれるから、よろしくしてあげてくれ」

「可愛らしいお嬢さんねぇ。よろしくお願いしますよ」


 ……どうやら彼女はすんなり受け入れてもらえそうだ。

 ばあやに向かってぺこぺこと頭を下げているカエデを見ながらほっと胸を撫で下ろすクリスティンであった。


 ────────────────────────


 夕食の時間になり皆でテーブルを囲む。

 全員が同じ時間に同じテーブルで食事を取るのがマギウス家のスタイルである。


「……いえ、私がパパ様やママ様と同じテーブルに着くわけには……」


 遠慮して尻込みしているカエデ。


「いや、いいんだよ。ばあやだっていつも一緒に食べてるんだから」

「そうよ。1人だけ別に食べてるだなんて、逆に私たちの方が落ち着かないわ」


 夫妻に押し切られたカエデがおずおずと席に座る。


「今日はお嬢様の好きなシチューにしましたからねぇ」

「ありがとう! ばあやのシチュー久しぶり~」


 ばあやの作るシチューはクリームチーズを使うものだ。

 なつかしい好物にクリスの顔が綻ばせている。


「さあ我が家の自慢のワインを開けるとしようか。今年はぶどうの出来がよくてね。どこでも好評なんだ。最近は都会からの注文も増えていてね」


 ダニエルが皆にグラスを並べる。

 クリスの家はぶどうの農園を持っていて自家製のワインを製造しているのだ。


「カエデはまだお酒は早いかな? ジュースもあるから大丈夫だよ」

「パパはすっかりはしゃいじゃって……」


 呆れ顔のミシェルにダニエルが照れ笑いしている。


「いやぁ……それにしても、正直クリスが帰ってきてくれてパパは安心したよ」


 食事を取りながらしみじみと語るダニエル。


「パパはクリスが騎士団に入ったって連絡が来た時は取り乱しちゃって大変だったのよ」

「いや、だって……そりゃそうだろう。クリスみたいな優しい子が聖堂騎士だなんて。王都の教会で働くというので送り出したらまさかそんな事になっているとは」


 まったく……と疲弊した感じでダニエルは首を横に振る。


「パパ。辞めて帰ってはきたけど私別に騎士が務まらなかったわけではないですよ」


 そこは主張しておきたいクリスティンである。

 あの夜、もしも大聖堂に忘れ物を取りにいっていなければきっと今も問題なく聖堂騎士としての生活を続けていた事だろう。


「ああ、いや! 勿論わかっているとも!! 務まらないと言いたいんじゃなくてね。虫も殺せないような優しいクリスにはもっと合った仕事がきっとあるはずだろうって……そう言いたいんだよ」


(まあ虫は殺せなくても司祭はブッ殺したわけだけどな……。巨大な石材でぶん殴って)


 慌てるダニエルを無言で食事をしながら見ているカエデはそう思った。

 何しろ自分はあの夜の目撃者である。


「相応しいかどうかはわからないけど、早めに次のお仕事は探すつもりですよ。ぶらぶらしているわけにはいきませんから」


 明日にでも職探しにはいくつもりのクリスティン。


「ええっ!? もうかい!? そんな……数年はのんびりしたらいいじゃないか。大変な目に遭ったんだし。2人くらい増えた所で問題ない蓄えはあるんだからさ」

「パパ、クリスにはクリスの考えがあるのよ。好きにさせてあげなさいよ」


 ミシェルに窘められダニエルがしょんぼりしている。


「おうちにいていいのに……」


 しかし諦めきれないように小声で呟くダニエルであった。


 ────────────────────────


 クリスティンが帰郷し数日が経った。

 この間彼女は郷里の旧友たちに会い旧交を暖めたり次の仕事を探すなどして過ごしていた。


「……お仕事見つかりませんねえ」


 昼下がりの自室でふーっと重たい息を吐くクリスティン。

 手にはコーヒーが湯気を立てているマグカップがあり、傍らにはそれを持ってきたカエデがいる。


「別に無理に働かなくてもいいだろ。金はあるんだから」

「そういうわけにもいきませんよぉ」


 じっとりした目でカエデを見上げるクリス。


「カエデだって、お金をあげるって言ったのに断って働いてるじゃないですか」

「私は謂れの無い金を受け取る気はないと言っただけだ。お前の場合は仕事の対価として得た金なんだからそれを使って生活したっていいだろ」


 カエデの言う事にも一理はあるのだが、この大金を仕事の対価と割り切るのにも抵抗があるクリスティンである。


「大体、今の私が働いているかと言われれば微妙だ。ここの仕事は楽すぎて働いている気がしない……」


 はぁ、とカエデの方もため息をついていた。

 マギウス家には住み込みのばあやの他にも通いの3人の家政婦がいる。

 カエデは彼女たちのサポートをしているのだが……。


「そもそも仕事の時間が短いのにさらに間にお茶休憩とか入るからな」

「それでいいんですよ。やる事はやってくれた上で休んでるんですから」


 仕事は午前3時間午後3時間だがそれぞれに1時間程度のティーブレイクがある。


「皆と上手くやれてますか?」

「ああ、それは大丈夫だ。パパ様もママ様もばあや様も他の使用人も皆優しいからな」


 しかし……と腕を組んでクリスをじっと見るカエデ。


「あんな優しい人たちに囲まれて育って、なんでお前は司祭をブチ殺したり皇太子の所で闇の仕事をして大金を稼ぐような娘になってしまったんだ」

「いや、あの、それは……」


 言い方はともかくとして何一つ間違ってはいないのが辛いところだ。

 クリスティンとしては望んでしてきた事ではないが結果から見るとそうなってしまっている。


「まあ、忘れ物には気を付けましょうという事ですね……」

「……?」


 クリスの言っている事がわからないカエデは首を捻るのみである。


 ふと、クリスティンは窓から外を見た。

 この青い空の下のどこかで、奇妙な縁で数ヶ月を共に過ごした仲間たちもあの日々を思い返す事があるのだろうか……。


 特に仏頂面の赤い髪の男の事が思い出されるクリスティンであった。


 ────────────────────────


「……何を物思いに耽っている?」


 声を掛けられ、クリストファー・リューは顔を上げた。

 視界に入るのは白を基調とした旅装の男。

 ……死霊術師アルゴール・シュレディンガー。

 自らの技を芸術アートと称する男。


 ここは街道沿いの宿屋を兼ねた食堂である。

 2人は食事を終えた所だ。


「何も考えてはいない」


 ぶっきらぼうにそう答えて食後の茶を飲むリュー。

 ふと、クリスティンの事を思い出していた事を悟られた気がして彼の口調は普段の3割り増しにつっけんどんである。

 軽く笑ったアルゴールはその事をそれ以上追及しようとはしなかった。


 2人はダナンを離れた後、共に旅をしていた。

 というよりもアルゴールはリューに一方的に付いて来たのである。


「……どうして俺に付いてくる」

「クリストファー、お前は私が認めた芸術家アーティストだ。その行く先を私は見届けなければならない」


 理由を問うリューにアルゴールはそう答えた。

 相変わらずの唯我独尊っぷり。

 付き合いは短いがリューはこの男に拒否した所で無意味だろうというのはなんとなく理解できている。


「孤独へ向かうな、クリストファー。お前が生み出そうとしている作品は孤独の果てに完成するものではない。人を知り、人と交わるのだ。それが今のお前に欠けているものだ」

「…………………………」


 その言葉にリューは黙考する。

 自分が交流には向かない性格なのはよくわかっている。

 愛想笑いもできなければ楽しい話もできない。

 かつてはそれでいいのだと思っていた。

 客とコミュニケーションを取らない店主などいくらでもいる。

 それがラーメン屋を成立させる妨げになるものではないと。


 ……だが今は少しアルゴールの言いたいことがわかる。


「誰か」を見ていない者は「誰か」が喜ぶものを提供できる作り手にはなれないのだ。


「……道は長いな」


 誰にともなく呟くリュー。


「良いことだ。せいぜい悩むがいい、クリストファー。生きるという事は悩むということだ」


 満足げにそう言ってからアルゴールはふと背後を窺うような仕草をする。


「ところで、だ。はどうする? お前の知己のようだが」

「ああ。問題はない」


 そう言ってリューがアルゴールの肩越しにその女性を見た。

 目が合って慌てて相手は顔を伏せている。

 褐色の肌にブロンドの女……キリエッタだ。

 ばっさり髪を切って今はショートカットの彼女はバルディオンを出てからずっと2人を付けてきているのだ。

 付かず離れずの距離で追跡してきてはいるもののコンタクトを取ろうとはしない。


「助けてもらった事もある。敵ではない」


 そうは言うものの話しかけようとはしないリューであった。

 追跡も何か事情があるのだろうとして気にしていない。

 そういうところなんだけどな、と思うアルゴールである。


(ああもう! 何か言っておくれよ! 声を掛けられずにこんな所まで来ちまったじゃないか!!)


 そして声を掛けるタイミングを掴めないままただの無言の追跡者と化したキリエッタは嘆いていた。


 ────────────────────────


 平和なペルダムの街に突如としてその男たちは現れた。

 武装した異形の戦士たちだ。


「うっ、うわっ……ぁぁ……」


 住人の若い男が尻もちを突いて真っ青になって震えている。

 だがそんな男をは一瞥もする事無く歩いていく。


「本当にこの街で間違いないんだろうな?」

「間違いねえって! 何度も確認したろうがよ……ギギッ」


 ずしんずしんと重たい足音を響かせ歩いていく巨大な3つのシルエットが遠ざかるのを見送って男は呻くように言う。


「か、か、怪物だ……」


 その3つのシルエットの向かう先……。

 それは町外れのマギウス邸であった。


「ひっ、ひえぇぇぇ……」


 応対に出たばあやが腰を抜かしてしまっている。


「バぁっカ野郎! おばあちゃんがビックリしちまってるじゃねえか!! おめえのツラが怖えからだぞ!! トカゲみてえなツラしやがってよ!!」

「いや、みてえっつうかトカゲのツラだけどよ。ツラの怖さを兄者にどうのこうの言われたくねえな……」


 怒声を上げているのは頭に立派な水牛の角を生やした大男だ。

 責められているのはトカゲの獣人である。


「兄ぢゃん、そんな事よりオデ腹減っだよぉ」


 そして2人の背後にさらなる巨躯の黒い熊の獣人が立っていた。


 彼らはかつて大平原でザハ一族を率いて暴れまわっていた獣人の義兄弟……ザハ3兄弟である。


「なんですか! 何事ですか!!」


 騒ぎを聞きつけてドタバタと駆けつけてきたクリスティンとカエデ。

 カエデは玄関前の3人を見るや否や無言で短刀を抜き放つ。


「おおっ! クリスティン様!!」


 クリスを見て目を輝かせた長兄ゴルドがガバッとひれ伏した。


「お久しぶりでございます! クリスティン様!! ゴルドでございます!!」

「うわぁ!? なんでここにいるんですか!!?」


 いきなり跪いて頭を下げているゴルドに慌てるクリス。


「クリスティン様にお仕えするべく大平原より駆けつけて参りましたッ!!」

「ええ……間に合ってます……」


 虚ろな目をするクリスティンであった。


 ────────────────────────


 とりあえず上がれ、と言おうにも末弟のラグなど玄関を通ることもできないので、クリスはザハ3兄弟を庭に案内した。


 普段使用人たちが晴れた日のティーブレイクに使っている庭用のテーブルに着くクリスティン。

 その背後にはカエデが控えている。

 そんな彼女らを前にして3兄弟は芝生に直に座っている。


「それで……あんまり聞きたくないんですけど、なんでうちに……?」


 本当に嫌そうに尋ねるクリスティン。

 屋敷の窓からは使用人たちや両親が不安げにこちらを窺っている。

 心配しなくてもいい、とは言ってきたのだがこの状況で心配するなというのも無茶な話だという自覚はあった。


「いやあ、それがですな! クリスティン様! あの後あっちじゃ色々ありまして……」


 やたらとテンションの高い長兄ゴルドが語るところによれば……。


 クリスたちが去った後、大平原ではザハ族の一件のような事がもう起こらないようにとレン族を中心として有力部族の長たちによる連合が発足した。

 これからは合議制で大平原を治めていこうというのである。

 ザハ族は解体されバラバラに様々な部族に吸収された。


「そこでオレたちは処刑されるはずだったんですが、まあ新しい時代の始まりが流血からっていうのはどうなんだっていう意見が出ましてですね! 追放で許してもらえることになりまして!」

「……………………………」


 言葉もないクリスティン。

 別に処刑しといてほしかったとまで言う気はないのだが……。


「それでオレは思ったんです……これはクリスティン様のお力になれという女神エリス様のお導きに違いないと!! それであちこちで話を聞きながら旅をしてきましてうようやくお顔を拝見できたって次第なんですわ!!」

「いえ、ちょっと……全然わかんないんですけど、なんでそうなるんです? 私皆さんに恨まれる覚えはあっても慕われる覚えがまったくないんですけど……」


 ゴルドの立派な角は左が根元から折れて失われてしまっている。

 それを砕き折ったのは自分だ。

 そして彼の顔面の無数の傷跡。

 それも自分が彼の顔面を膝蹴りで滅茶苦茶にした時の名残であろう。

 これが女神様のお導きならちょっと女神様ドS過ぎませんかねと思うクリスティン。


「いやいやいや! とんでもねえです! オレは……あの時思ったんです。クリスティン様に顔面にガンガン蹴りを入れられてる時に、ああこれだって。オレの求めていたものはこれなんだって」

「ええ……」


 恍惚としているゴルドにドン引きするクリス。

 ついでに隣のギエロもドン引きしていた。

 こんな時だが爬虫類の顔でもあんなドン引きした表情ってできるんだなとクリスは妙な関心をしてしまった。


「顔面に蹴りがほしかったて意味じゃあないですぜ。あのクリスティン様の圧倒的なパワー……暴力を超えた超! 暴力!! この人こそオレが服従するのに相応しい御方だと」


 ……なんだか言葉を交わせば交わすほど理解から遠ざかっていっている気がする。

 それと同時にクリスの胸中には責任感らしきものも芽生えつつあった。

 これは、自分が面倒を見なくてはいけないものだ。

 世に放ってはいけない……と。


「……私の家族や、街の人とは仲良くできますか?」

「もちろんでございます! クリスティン様のおっしゃる通り人の気持ちがわかるヤツになりましたッ!!」


 そこは多分に疑わしいのだが、少なくともそのつもりはあるというのに嘘はないようだ。


「住むところは? うちには皆さんは入らないんですけど……」

「大丈夫です! 街の近くにテントを建てまして……元々オレたちは草原にテントで暮らす部族ですから! 狩りができれば衣食住全てOKでございます!!」


 クリスティンはそこで背後のカエデを振り返った。


「ですって、どうしましょうか……」

「何で私に聞くんだよ」


 嫌そうにそう答えるとカエデはまじまじと3兄弟を凝視した。


「うーん……殺しておいた方がいいと思うんだがなあ」


 カエデの言葉に3兄弟が表情を凍て付かせている。


「まあまあ、待ってくれよ……」


 両手を挙げてそう言ったのは次兄のギエロだった。


「ギギッ、オレたちだってここまできて殺されたくねえ。逆らう気がねえってのも本当だぜ。大体が人間の国でトラブル起こした獣人の末路なんて悲惨なもんだろうが、アンタらが何もしなくたってよ」


 人より体格や身体能力で優れている者が多いのが獣人である。

 その為、何かあった時の罰則は総じて人より重く設定されているのが人間国家だ。


「オレらにゃ他に行き場はねえ。なんとか上手くやっていきてえんだ。頼むぜ。自分でいうのもなんだがよ、使い道はあると思うぜ? ギギッ」

「うーん……」


 腕を組んで何事かを考えているクリスティン。


「わかりました。服従しろとか言う気はないですけど、とりあえず私の言うとおりにしてもらいます。いいですか?」


 同意を示して肯首する3兄弟。


「どうする気だ?」

「この辺で暮らすのに街の人の理解を得ないわけにはいきませんからね」


 不思議そうなカエデにグッと拳を握ったクリスティン。


「3兄弟をペルダムの街に馴染ませよう大作戦ですよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る