溺愛系お姉ちゃんヒロインは寝かせてくれない! ハズレスキルでS級パーティーを追放された俺、美少女に拾われたらスキル覚醒しました。加護爆盛りで無双しながら甘々で幸せに暮らします。
第6話 問題山積だけどお姉ちゃん呼びは絶対です
第6話 問題山積だけどお姉ちゃん呼びは絶対です
借金返済という難題解決のため、俺たちは討伐クエストに向かった。金が底をつき破綻状態とは聞いたが、まさかこのパーティ借金まで有るとは。
「レイティア」
ツーン!
横を歩くレイティアに声をかけるが返事がない。
「あの、レイティアさん?」
ツーン!
「レイティア殿?」
ツーン!
「……れ、レイティアお姉ちゃん」
「何かなっ、アキ君?」
お姉ちゃん呼びすると、目を輝かせて返事するレイティアだ。そんなにお姉ちゃんが良いのだろうか。
「ほらほら、何だいアキ君。
グイグイグイッ!
「あの、いくら金が無いといっても、いきなりゴブリンロード討伐なんて大丈夫なんですか? あと、顔が近いです」
「はっはっは! 大丈夫大丈夫っ! ちょうど誰かが討伐失敗したみたいでね、残っていたこのクエストの報酬が引き上げられていたんだよ」
「そうなんですか。報酬が高いのは良いけど、ゴブリンロードは強敵ですよ。ちゃんと準備をしないと危険だと思うけど」
ゴブリンと聞くとザコっぽいイメージだが、ゴブリンロードは高い知性と攻撃力と統率力を持つ恐るべきモンスターなのだ。
「うむっ、問題無い。ボクたちに任せたまえ。アキ君はサポートを頼むぞっ!」
そう言ってレイティアが体を寄せてきた。この人の距離感はどうなっているのか。
「むっすぅううっ! レイティアちゃん、ちょっとアキちゃんとくっつき過ぎじゃない?」
反対側からアリアがジト目で覗き込んできた。
「はっはっは、これくらいはパーティーメンバー同士のスキンシップさ」
「ちょっとレイティアちゃん! 何で胸を押し当ててるのよぉ」
「ぐ、偶然だぞっ。決して不純な動機じゃないからな」
「もぉおおおおぉ!」
むぎゅっ! むぎゅっ!
アリアまで胸を押し当ててきて、俺は二人の美女に挟まれてしまう。
「お、おい、今からボス討伐なんだぞ。こんなことやってる場合じゃ……」
「これは重要なコトなのよ、アキちゃん! パーティー内での親睦なのよ」
二人を振り払おうとするが、アリアに止められてしまう。
「ねえっ、アキちゃんってレイティアちゃんと仲良いわよね? どうして? 何かあるの? 付き合ってるの? キスしたの? 寝たの? あやしい……」
ゾワゾワゾワゾワゾワ――
それまで優しそうだったアリアの顔が急に真顔になる。目がマジで怖い。俺の背中に悪寒が走った。
「えっ、あの、アリアさん? 何もないですって。怒ってます?」
「怒ってないわよぉ」
「なら良いのですが……」
「でも、レイティアちゃんだけ『お姉ちゃん』呼びで、私は『アリアさん』なんだぁ」
(ええっ! 呼びかたで怒ってたのか? でも、メンバーには平等に接しないとダメだよな。ここは同じように扱うしかないのか)
「えっと……アリアお姉さん」
「はぁい♡ アキちゃん♡」
お姉さん呼びでアリアの顔がパアッと明るくなる。何となく危機は去った気がする。
「後は――――」
もう一人のメンバーであるシーラの方を向く。
「はあ? アタシは普通に『シーラ』で良いわよ。アタシに変な期待するんじゃないわよ」
シーラが面倒くさそうな顔で言った。
「じゃ、じゃあ、シーラで」
「うん」
「よ、よろしく」
「まっ、アリアに食われないよう気をつけるのね」
「ギクッ!」
シーラの忠告を肝に銘じておこう。レイティアはナチュラルに距離が近いだけに感じるが、アリアの方はガチに襲われそうな気がする。
しかも、たまにヤンデレっぽい気もするのだ。
◆ ◇ ◆
ゴブリンの巣があるとされる
もしかしたら、前に討伐クエストをした冒険者が倒してしまったのかもしれないのだが。
「ここまで敵が出ないということは、群れは縮小し、奥でゴブリンロードとその手下が待ち構えているのかもしれないな」
俺のつぶやきにレイティアは何も問題無いといった顔をする。
「数が少ないのなら簡単だな。ボクの剣で叩き斬ってやるよ。ボクの華麗な剣さばきを見ていてくれよなっ!」
そう言ってレイティアが剣を構える。
「かなりレアな剣みたいだな」
「良いだろうアキ君、家に代々伝わる剣らしいのだよ」
「ほう、それはさぞ業物なんだろうな」
「ふふふぅーん」
レイティアが嬉しそうな顔で歩いて行く。
洞窟の突き当りに大きな扉があった。ここがボスのいる場所だろう。
「扉を開けますが、罠が有るかもしれません。飛び込んだりしないように気を付けましょう」
ギギギギギギギギ――――
「どりゃああああぁ! ボスは何処だぁああ!」
飛び込むなと言った側からレイティアが室内に飛び込んだ。全く話を聞かない女のようだ。
「お、おい、罠に気を付けろって――」
「問題無い! ボクに任せたま――っあ、ああああ! 落とし穴がぁああああ!」
「ええええええ!」
レイティアがゴブリンの作ったであろう落とし穴に落ちた。待ち構えるように扉を抜けた先に掘ってあったものだ。
「おい、レイティア! 大丈夫なのか?」
穴の中に声をかける。
底には斜めに切って尖らせた木を何本も立て、串刺しにする罠が張ってあった。
「ぐあぁああああ! あ、危なかったぁ!」
レイティアは穴の中腹に剣を突き立て落下を免れていた。凄い反射神経だ。
「どっせぇええええぇい!」
スタッ!
そこから腹筋を使った反動で空中一回転して穴から脱出する。変な掛け声なのに惚れ惚れする身のこなしだ。
「おい、レイティア、ボスがいるぞ! 気を付けろ」
「お姉ちゃんだぞっ! アキ君っ」
俺の忠告を聞いているのかいないのか、レイティアは『お姉ちゃん』呼びの部分にだけ反応する。
「グギャアァアアアアアアアアアア!」
薄暗い部屋の奥で咆哮が響いた。ゴブリンロードだ。
「デカい! かなりの強敵だぞ。周囲にもゴブリンがいる! ホブゴブリンが数十体と、ゴブリンシャーマンもいるぞ!」
「任せてくれ! ボクのスキルで一撃さ!」
上段に剣を構えたレイティアが剣技スキルを使った。
「くらえっ!
ズドドドドドドドドドドドドーン!!
レイティアが剣を振り抜くと、凄まじい閃光と共に衝撃波が突き抜けた。
「グギャアアアアァアア! バガァ! アボォ!」
「「「グギャ! グギャ! グギャギャ!」」」
一撃必殺の剣技だった。当たればの話だが。
レイティアの放った技は
無駄に攻撃力がデカく、洞窟崩壊の危機まである。しかも、ゴブリンどもに笑われた。
「お、おい、あの距離で外すのかよ……」
俺のつぶやきにアリアが反応した。
「あらあら、レイティアちゃんって、攻撃力は凄いのに当たらないのよねぇ」
まさかのポンコツだった――――
(マズいぞ! 主戦力のレイティアがあんな調子だと。予想以上にポンコツじゃないか! このままではホブゴブリンに囲まれてしまう。俺が何とかしないと!)
加入したばかりの
俺は自分のもてる全ての知識とスキルを活かそうと決意した。
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