第26話 労働の神(巨乳)



「プリデビ☆トランスフォーム!!」



 キラキラキラキラ♪テッテッテレレレー♪



「ジメジメ人生に一筋の光! 毎日が日曜日! デビル☆サンデー!」



 はい、というわけでね……



「なんで変身したルナ!? なんで変身したルナ!?」



「なんで2回も言うんだよ」



 謎の下着を着けて貧乳になってしまったウェスタさん……と、その他被害者たちを助けるため、下着を売っているランジェリーショップを探しに来た俺とルナ。

しかし、店には周りから見つからないような仕組みがあるのか、発見することが出来ないでいた。



「さっき巨乳の人に心当たりがあるって言ってたじゃないかルナ! サンデーに変身しても貧乳のままルナ!」



「失礼だなお前! 俺だってちょっとは胸あるわ! じゃなくて、巨乳の人ってのは……『サンデーの、のーじょぶ☆制裁ストライク』!」



 パアアアアアアア……



「こんにちは。労働の神、シャーチクです」



「この人です」



「必殺技の人ルナ!!」



 人……人なのかなあ。



「制裁が必要なノージョブの方はアナタですか?」



「ルナは魔族発明家としてがんばってるルナ」



「ではアナタですか?」



「いやだから俺は喫茶店で……じゃなくて! 今回は制裁とかではなくてですね、その……」



「なんですか? 予定外勤務は困るのですが」



「いやその、シャーチクさんって結構スタイル良いじゃないですか……胸もデカいし」



「ちょっとセクハラやめてくださいよ。労基に訴えますよ」



 どこに労基があるんだよ。神の国か?



 パアアアアアアア……



「サンデー、さすがに今の言い方は完全にセクハラルナ」



「はい……すいませんでした……って、あー!!」



「なんですか? 急に大声出して頭がおかしい人のふりをしても罪は軽くなりませんよ」



「そ、そうじゃなくて! ウォールマート! ランジェリーショップ! 現れた!」



「え? ……あっ! 本当ルナ!!」



 さっきまで廃墟の様だった空き家がオシャレなランジェリーショップになっている。やはり巨乳の人に反応して出現する仕組みになっていたみたいだ。



「……私に下着を買わせようと?」



「えっあっいや、ちょっと調査で」



「ちなみに経費は誰持ちですか?」



「えっ? あ、良いっすよ。俺払います」



 喫茶店の仕事で貰った金が結構貯まってんだよね。使い道も思いつかないし。ああ、忙しいサラリーマンってこんな感じで無駄に金が貯まっていくのか……。



「……良いでしょう。さあ、中に入りますよ」



「付き合ってくれるルナ?」



「身だしなみを整えて労働のモチベーションを上げることは大切ですから」



 シャーチクさん、意外と取っ付きやすいな。



 __ __



「イラッシャイマセ」



「……ども」



 店に入ると、なんかペッパーくんみたいなロボットが挨拶をしてくる。



「店員さん見当たらないルナ」



「あのロボットしかいないな」



 シャーチクさんは特に気にせず、商品を物色している。



「これなんかどうでしょう」



「黒かあ……」



「結構すごいの選ぶルナ」



「あ、でもこれなんか変なとこに穴が空いてるな。欠陥品か?」



「…………」



「シャーチクさん?」



「いえなんでも。別のものを探しましょう」



 …………。



「これにします」



 しばらく物色して、最終的にシャーチクさんが選んだのはワインレッドのセクシーな下着だった。なんか、すげえな。圧倒的な大人の女を感じた。

ちなみに俺はスポブラみたいなやつを着けている。これだって最初着けるとき、めっちゃ恥ずかしかったんだよな。



「それじゃあちょっと試着してきますね」



 シャーチクさんはそう言って試着室に入っていった。



「なあルナさんや、あれ着けたらシャーチクさんもウェスタさんみたいに貧乳化すると思うか?」



「いや、おそらく大丈夫ルナ」



 ウェスタさんも店で試着くらいしているだろうし、その時にはなにも問題は無かったのだろう。



「でもそれじゃあ被害受けたときには店の外だしなあ」



「お店も消えちゃうかもしれないルナ」



 シャーッ



「着けてみました」



「うおい!? あっへえーすご!!」



「なにその反応はルナ」



 シャーチクさんのグラマラスボディが凄すぎて男子高校生みたいな反応しちまったぜ。



「着け心地は結構良いですね」



「デザインも似合ってるルナ」



「あ、俺も良いと思います」



「それじゃあこれ、購入しますね」



「あ、ちょっと待っててください」



 近くにいたロボット店員に商品を購入することを伝え、支払いを済ませる。



「そちらは購入済なんで、そのまま戻ってもらって大丈夫ですよ」



「……ありがとうございます」



「珍しく気が利くルナ」



「一言余計なんだよ」



 パアアアアアアア……



 シャーチクさんは新しいブラを着けたまま、元の世界へ帰っていった。



「さて、これでどうなるかだな……ん?」



 パアアアアアアア……



「あ、もどってきたルナ」



「…………」



「シャーチクさん、一体どうし……あっ」



 無言で上着を脱いでブラを晒したシャーチクさんの胸には、先ほどまでのワインレッドの山脈は見当たらず、ただ壁があるだけであった。



「キツネ面付けた貧乳マイクロビキニのお姉さんか……」



「なに『それもまたオツですわ』みたいな顔してるルナ!」



 お面でシャーチクさんの表情は分からないが、これはかなり……



「オキャクサマ、ドウイタシマ」



 バッギイイイイイイ!!



「ヒィッ!?」



「ロボット壊れちゃったルナ」



「……店長を呼んでください」

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