第23話 新たなプリデビ戦士



 前回までのあらすじ☆



 ボウギャークと化したビネーガを倒すため、後先考えず必殺技をぶっ放したサンデーとサタデー。

しかし必殺技が不発に終わってしまい、決定打に欠ける戦いを強いられていた。

そこへフレイムがやってきてしまい……!?



「フレイム! とりあえずルナのそばを離れるでないぞ!」



「パンは後で買いに行くからよ!」



「でももうすぐお店の開店時間だよ?」



「顧客ファーストルナ」



 いやあなたボウギャークにやられそうになっとるやろがい! ちょっとはトラウマになっとけよ!



「す、すまんね……ちょっと今回の相手が手ごわくってさ。ちょっと開店時間には間に合わないかも」



「うーん、そっかー。じゃあフレイムもたたかうよ!」



「えっ、いやそれはさ……」



「ありがたいのじゃけど、フレイムがもう少し大きくなってからの……」



 ピコン! ピコン!



「あっ予備のプリデビ☆チョーカーが反応してるルナ! 新しいプリデビ戦士を見つけたルナ!」



「なにっ!?」



 ピコン! ピコン!



『フレイムちゃん! フレイムちゃん!』



「あっ! フレイムちゃんって言ってるルナ!」



「なにーっ!?」



 いや急展開来たなこれ。



「ボウギャーク!!」



 バゴンッ!!



「ちぃっ! おいサンデー! フレイムは本当に強いのじゃな!?」



「えっ!? ああ、明らかに人間の腕力ではなかったが……」



「ふむ……フレイム! おぬしは本気でプリデビになる気はあるか!?」



「ある!! フレイム、プリデビ戦士になって、はやくボウギャークを倒して、みんなでパン屋さんに行く!!」



「よし!!」



 いや良くねえよ。高級食パンくらいふわっふわの理由だったぞ。



「ルナ、フレイムにチョーカーを付けるのじゃ」



「サタデー様! 本当に良いルナか!?」



「いざとなったら拙者がフォローするでの」



「分かりましたルナ!」



 ルナがフレイムに予備のプリデビ☆チョーカーを装着する。



「フレイム、準備が出来たらこう唱えるルナ。ごにょごにょ……」



「わかった! それじゃあいっくよ~! 『プリデビ☆トランスフォーム』!!」



 キラキラキラキラ♪テッテッテレレレー♪



「ボ、ボウギャーク!?」



 パアアアアア……



「子供はもふもふ、大人は火の海! 灼熱の火曜日! デビル☆チューズデー!!」



 こうしてこの世に新たなプリデビ戦士が誕生した。フレイム、もといデビル☆チューズデーである。

チューズデーは、フレイムの時と比べ、ある特徴が更にパワーアップしていた。



「ケモ度が進行してやがる……!!」



「もふもふマシマシじゃの」



 元々フサフサの耳ともふもふのしっぽが生えていたフレイムだが、チューズデーになった今は全身がもふもふになり、手足も大きくなっている。

顔もマズルが出てきて、よりオオカミというか、犬みたいになっていた。



「今の姿を王様に見られたら……」



 どうだろうな、好みの範囲外になってるか、むしろどストライクにハマってるか。



「おおー! フレイム、じゃなかった……チューズデー、ワンちゃんになっちゃった!」



「これでボウギャークを倒せる可能性がワンチャン出てきたぜ!」



「は?」



「えっ?」



「ちょっとよく分からないルナ」



 ……先にパン買いに行ってこようかな。



「ボウギャーーーク!!!!」



「ほれサンデーよ、しょうもないこと言ってないでボウギャークを抑えるのじゃ」



「はい」



 __ __



「それで、チューズデーはどうしたらいーい?」



「そうじゃな、拙者とサンデーでボウギャークにダメージを与えるから、弱ったところで必殺技を使うのじゃ」



「俺らは使い時をミスッちまったけど、普通ならタイミング的にそろそろ使えそうな感じだからな。頼んだぜチューズデー!」



「わかった!」



 作戦が全体的にフワッとしてるんだよな。まあいいや。



「ボウギャーーーク!!」



「ビネーガ、あんな姿になっちまって……今とどめを刺してやるぜ! チューズデーが!」



「あやつは巨乳好きだから、チューズデーの必殺技は効果バツグンじゃろうな」



「いや別に貧乳で攻撃するわけじゃねえだろ」



 今のところプリティ☆デビルには貧乳しかいねえけどな。ビネーガ相性悪すぎやんけ。



「よしっ! で、どうやってアイツ抑える?」



「同時にヒザを蹴り飛ばして転ばすのじゃ」



 いやえぐいなオイ。



「よっしゃそれ採用」



「拙者がせーのって言うから合わせるんじゃぞ! 良いな!」



「運動会の出し物かよ」



 ドシン……ドシン……



「おっ歩き出したぞ……」



「ボウギャーーーク!!」



「3、2、1……今じゃ! せーのっ!」



「おらっ!!」



 ゲシッ! ゲシッ! と、ボウギャーク、もとい巨大ビネーガのすねを蹴り飛ばす。うわ、めっちゃ痛そう。



「ボ、ボウギャークゥ……!!」



 ドシーン!!



「今じゃチューズデー!!」



「ぶちかましてやれーっ!!」



「よしっ今だルナッ!!」



「あいあいさー!」



 チューズデーが倒れかけたビネーガの顔面に走り寄る。



「ひっさーつ!!『チューズデーの、モフっと☆社会的炎上パンチ』!!」



 バッギイィィィィィ!!!!



「ボ、ボウギャアアアアアア!!??」



 チューズデーの燃える拳から繰り出される強烈な右ストレートを食らったビネーガの全身が炎に包まれる。



「ウェスタお姉ちゃんのお風呂覗いた反省しなさい! プリデビ☆はっぴねす!」



 パアアアアアアア……



「コウフーク……」



 こうしてビネーガは元に戻り、管理局の警備隊に引き取られていった。さすがにここまでやったからには、ヤツはもう戦うことは出来ないだろう。



 パアアアアアアア……



「あ、戻っちゃった」



「敵を倒してみんなのはぴねすエナジーが増加したルナ。フレイム、お手柄ルナ!」



「よくやったぞフレイム!」



「かっこよかったのじゃ!」



「わーい!」



 こうして俺たちは大きな達成感を胸に、みんなで喫茶ペチカに帰るのであった。めでたしめでたし。



 カランコロン。



「あ、みんなおかえり~。バゲットと食パン買ってきてくれた?」



 …………。



「「「あ゛っ!!」」」

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