第8話 第1回☆プリデビ戦略会議
「いやまずはヒーローネームだろ!」
「カッコいい名乗り口上が先決じゃ!」
というわけで、第1回、プリティ☆デビル戦略会議が始まった。お題は「変身したときのなんやかんやを決めよう」である。
「あ、そのことなんですけどルナ」
「ルナも名乗り口上が重要じゃと思うよな!? 拙者の部腹心じゃもんな!?」
「オイ卑怯だぞ魔王! おいルナ、まさかサタンの意見に加担するつもりじゃないだろうな。自分の意志を貫け自分の意志を」
サタンに加担、オレ落胆。よし、韻を踏めたな。
「いや、そうじゃなくてルナ……プリデビ☆チョーカーには自己アップデート機能が付いてるから、次に変身するときには二人に最適なヒーローネームと名乗り口上が設定されますルナ」
「「え……」」
「あ、ちょっとそんな二人とも『自分で決めたかった……』みたいな顔をされても、そういうふうに作ってあるからしょうがないルナ。きっと良い感じになると思うルナ」
「うん……」
「承知したのじゃ……」
「じゃあ、どうする……? 今日の晩ごはん何になるか予想バトルでもする……?」
「そうじゃな……拙者はなんか、骨付きのデカい肉をこんがり焼いたやつが出ると思うのじゃ……」
「もう! いい大人が小っちゃいことでグチグチと落ち込んで! ちゃんと戦略会議をするルナ!」
「うるせえ! 心はキラキラ夢想女児なんだよ俺は!」
「拙者だってそうじゃ! キルキル無双女児じゃ!」
いやそれはなんか違……いや合ってるか。魔王だし。
「とりあえず変身のことは、次にボウギャークが襲ってくるまで考えなくて良いルナ。それ以外ではぴねすエナジーを貯めていく方法を考えていくルナ」
「はぴねすエナジーを貯める方法ねえ……」
「民の悩みを解決したり、喜んでもらえるような事をしたりすれば良いのじゃな?」
「そうですルナ。ボウギャークから救い出す以外でも出来ることは沢山ありますルナ。小さいことからコツコツと。ルナ!」
なるほど。国民を幸せに……そして王国をハッピーで埋め尽くして、レストインピース、じゃなかった、デビルアイランドまで行こうぜってことね。
「幸せになりたい……楽して生きていたい……」
「おぬしは今までの人生ずっと楽して生きてきたんじゃから、これからは気張っていくのじゃぞ」
「うっせーわ。てか今更だけど、なんで俺なんかを召還したんだ? 自慢じゃないが、一般的な労働もできないアニオタヒキニートだぜ」
「本当に自慢じゃないルナ」
うっせ。他人に言われると腹が立つなおい。これも全部、なんもかんも政治が悪い。
「異世界召還するときに、いくつか条件を設定したんじゃがの」
「条件?」
「1つ、元の世界からいなくなってもそんなに周りが困らない人物、2つ……」
「ちょいちょいちょい! えっ、すでに1個目の条件で俺の心に大ダメージなんですけど!?」
いや困る人いるだろ! 母さんとか……母さんとか。
「あ、ちなみに元の世界ではマシュマロ林の存在は最初からなかったことに修正したので大丈夫ルナ。仕事もしてないから特に重大な歴史改変もなくて良かったルナ」
「よくねえよ」
「まあよいから2つ目の条件を聞かんか。2つ目はな、“ダークヒーローの才能がある人間”じゃ」
「ダークヒーローの、才能?」
普通のヒーローじゃなくて?
「なあ、それって……」
「ホワイトさーん、サタンさーん、ごはんが出来ましたよー」
「「はーい!」」
まあいいや、とりあえず飯だ飯。
__ __
「ふぃ~食った食った。ごちそうさま!」
「美味かったのじゃ!」
「うふふ、お口に合ったようでなによりです」
「フレイムもおてつだいした!」
「そうかそうか、フレイムは偉いのう。ヨシヨシじゃ」
「えへへ」
ウェスタさんの料理はどれも絶品だった。特にデザートのパンプキンパイ。あれがくっそ美味かった。さすが飲食店をやっているだけのことはある。
「……てかお前、魔族なのに普通に食事すんのな。はぴねすエナジーがあればいいんじゃねえのか?」
「うむ、そうだったんじゃが、この姿になってからどうにも腹が減っての。人間族と同じ食事が必要みたいじゃ」
じゃあ今の魔王サタンは依然とは違って、マジでただの幼女ってわけか。いやただ者ではないんだけど。
「お二人は、今日はもうお休みになりますか?」
「そうですね、王国に来たばかりで疲れも溜まってるんで、今日は早めに寝ようかな」
今日一日でヒキニート生活数年分のエネルギーを消費した気がする。明日辺り筋肉痛になってそうだな……
「それでは、お休みになられる前に一緒に行きましょうか」
「む? これからどこか出かけるのか?」
「おふろだよ!」
「……風呂?」
「ええ。ウチには入浴設備がないので、近所の湯浴み屋さんを利用してるんです」
「サタンちゃん! 一緒におふろ入ろ~!」
「うむ! フレイムと一緒に……うむ?」
「うふふ、それじゃあちょっと準備してきますね」
そう言うとウェスタさんは奥の部屋へ行き、湯浴み屋とやらに出かける用意を始めた。
「風呂……みんなで……?」
「拙者たちは……今は女の姿……」
……マジ?
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