第七章 バッドエンドのエピローグには女子会ぐらいが丁度いい その④
レモンちゃんとの最後の別れは、こうして終わった。
未だにあの日の別れが、私の深い部分に棘を刺したまま、中々抜けてくれない。
いや、たぶんこの痛みは永遠に抱えていくものなのでしょう。
けど、それでいいのです。
幸福も、悲劇も、安らぎも、慟哭も、そのどれもが輝かしい生きた思い出。
そして思い出はいつしか
だからたとえあの日の記憶が、いえ、それだけじゃない、他の沢山の大切な記憶たちがいつか忘却の色彩に淡く溶けていったとしても、私の中にはちゃんと沢山の痛みが残り続けてくれる。
痛みを感じる時、私の魂は大切なヒトの側にいる。
ああ、それはなんて素敵で、残酷で、この世界らしいささやかな幸福なのでしょう。
だから私は、今日もなんとか生きていける。
愛しい人達のいないこの世界を。
足搔いていけるのだ。
だからいつかあの夏の事件のような、いやそれ以上の困難が私を襲ったとしても、私は私らしくあれる。
立ち向かえる。
だからこの事件の本当の元凶────異世界の神様。
アナタがなにを企んでいようとも、なにもかも思い通りにさせるつもりはありませんよ。
よくよく思い返してみれば、あらゆる歯車が狂いだしたのは鬼島令という存在を四人に分割したのがはじまりでした。
あの『
狡猾で卑怯な悪意の罠。
そしてそれらを企てたのが、異世界の神とやら。
まったく最小限の労力で最悪の結果を招き寄せるとか、最早プロの仕業です。よほどヒトを貶めるのに手馴れているのでしょう。
マジコエーです。
けれどレモンちゃんの例の忠告が本当なら、邪神の次のターゲットはおそらく私。
まったくやれやれです。
「でもま、なるようになるでしょう」
結局私は何か起きた後の『後始末』をするだけ。
いつものように、いつかのように。
自分にできることを精一杯。普通の人間らしく。
「恵梨香よ! 何をさっきから上の空を決め込んでおるのか! いいからはよぉ秘伝の童貞狩りの術を教えぬか!」
「大丈夫です恵梨香様。その身体から脳を摘出しても死ぬわけではございません。試験管、もとい新しいカラダに入れ替わるだけですので! さぁ、記憶を、記憶をワタクシと同期致しましょう!?」
なんて独り決め顔して
まったく、こんな親友達を持って私は幸せものですね。
「ええい、わかりましたよこのポンコツヒロインズ! 言いますよ。言います。言えばいいんでしょう。…………いいですか、私があのバカを誘惑した時はですね────」
馬鹿騒ぎは姦しくも続いていく。
いつか全てがあっけなく終わると知りながら。
無意味で、無駄で、それでもやっぱり奇跡の時間。
これはアイツの物語で、そのエピローグ。
そして私の思い出の欠片たち。
いつか名残の果てでアイツと共に笑って
四分割の彼氏殺人事件~ハーレムエンドが無理なので主人公分裂エンドにしたら殺されました~ かも @kamo-ken
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