第二章 もうこのヒトが犯人では? その②

 さてここでライラさんについて軽くおさらいをしておきますか。


 ライラさんはご存知吸血鬼の真祖でお姫様。

 すっごくお強くてお綺麗な方です。同性の私が見ても見惚れてしまうほどに。

 地面につくほども長い銀の髪は夜空に浮かぶ天の川の如く輝いておられ、その身に纏う神秘的な美はまるで彫刻のように繊細。かと思えば、火山の噴火の如く大胆。


 具体的に言えばおっぱいがめっちゃ大きい。


 恐らくでぃーカップはあるかと。

 出ることは出て、引っ込む所はちゃっかり引っ込んでいるという物理法則に反した黄金ぼでぇの持ち主。

 最早ここまで来ると嫉妬も湧きません。

 寧ろそのおっぱい一回揉ませてくださいと言いたくなるレベルです。


 そんな凄いお方がどうして平凡で『普通』な男子高校生でしかなかった鬼島令と婚約するに至ったか。


 それは今年の春に、大体ラノベ一冊分のドラマエンタメがあったのです。

 先ほども言った通りライラさんはお姫様。だからまぁなんというか、ありがちなお家問題に巻き込まれてしまったそうです。

 ライラさんのご家族は、王の座を狙った側近の卑怯な手によってライラさんを残して皆惨殺。

 残るライラさんも政略結婚の道具にされそうになりました。


 なんという下剋上。吸血鬼界は乱世ですね。


 そうして隙を見て何とか元側近の魔の手から逃れたライラさんは日本に逃亡。

 ですがその後も追手の執拗な追撃に遭い、とうとう瀕死の重症を負う羽目に。

 そんな折、たまたま夜道を歩いていた令は瀕死のライラさんを発見し、いつもの如く偽善を発揮してライラさんを助けようとしました。

 しかしライラさんを助けるには令の生き血が必要でした。

 ここで普通の人間は逃げます。

 けど令は逃げるどころか「はいどうぞ」とばかりに首を差し出しライラさんを救助。ついでに令は吸血鬼に生まれ変わりました。

 するとそこへナイスタイミングとばかりに追手が現れ二人を始末しようとしました。令とライラさん絶体絶命……でしたが令が吸血鬼としての異様な才能を開花させ追手を撃退。

 そこから大逆転劇のはじまりです。

 黒幕の元側近をぶち倒し、裏切った諸侯諸共まとめて全員即処刑。

 からの困難を乗り越える内に建てまくったフラグの末、ライラさんと婚約。

 友情・努力・勝利ならぬ、愛情・才能・処刑を見事成し遂げました。わーぱちぱち。


 ……ま、そんな過去があったわけですよ。


 おさらい終了。次回は『美少女ロボットの転職活動』です。ご期待ください。


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