第19話 わん太郎と壁尻さんの戯れ
「ほら、着いたよ、出ておいで」
アパートに帰り着いたので二人に声をかける。
にゅにゅにゅ~っとなんだかもったいぶった様に徐々に地面から浮上してくる二人。
悪魔召喚で呼び出される悪魔みたいだ。
完全に姿を現した二人に同時にドヤ尻、ドヤ顔を決められて、僕は噴き出してしまった。
「二人ともかわいいなぁ、もう」
壁尻さんをなでなで、もみもみ、わん太郎をわしゃわしゃ、もふもふ。
しばらく二人とのスキンシップを楽しんだ。
わん太郎はちょっと毛が硬いね。
シャンプーしてたっぷりブラッシングしてふわふわもふもふにしてやろう。
そういえば、シャンプーって人間用でいいのかな?
それに犬とか狼って食べちゃダメなものとかあったよね?
ちょっと調べてみよう。
こういう時は掲示板だ。
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≪テイマー総合 part.714≫
538:名無しのテイマー
>>537
だから初心者ならアリ一択だって言ってんだろうが
539:名無しのテイマー
>>538
は? アリとか雑魚じゃん
使い捨てるならパペットなりゴーレムなりスケルトンなり他にいくらでもいるだろ
540:名無しのテイマー
もうお前だまれ
ソサもパペもネクロも中級ジョブだろうが
エアプかよ
541:名無しのテイマー
お前が黙れks
わざわざ使い捨て前提でアリとかいってんのがエアプだろうが
542:名無しのテイマー
>>540 >>541
お前ら別スレ立てろ
過疎ってるからって喧嘩すんな
543:名無しのテイマー ID******
ちょっと質問いいですか?
544:名無しのテイマー
いいで
545:名無しのテイマー
どうぞー
546:名無しのテイマー
エアプおるから参考にならんぞ
547:543 ID******
今日初めてウルフをテイムしたんですけど、飼う時の注意点とかってあります?
あと、シャンプーって人間用でいいんですかね? それとも犬用?
548:名無しのテイマー
めっちゃほのぼの
さっきまでのレスバとの落差に草
>>547
ダンジョンの魔物は基本繊細とはかけ離れた存在だから適当で問題ない
排泄もないからそもそも世話の必要がないな
こちらの言葉も理解してるはずだしルールをしっかり決めて守らせれば躾の必要もない
シャンプーは知らん
549:名無しのテイマー
>>547
ウルフは生肉を好むけど基本なんでも食べる
イヌ科がダメな玉ねぎとかも平気でたべるから気にすんな
シャンプーはこだわるなら犬用がいいんじゃないかな
おススメはこのへん
[リンク][リンク][リンク][リンク]
>>546は氏ね
550:543 ID******
>>548
なるほど
教えてくれてありがとうございます
>>549
あ、玉ねぎ大丈夫なんですね
リンク助かります
551:名無しのテイマー
>>543ってもしかして骨ガムの人?
552:名無しのテイマー
なに骨ガムって
553:名無しのテイマー
なんかあったっけ?
554:543 ID******
あー、もしかして昨日前歩いてた人ですかね?
笑いこらえてた?
555:名無しのテイマー
そうそう
骨ガムどうだったか気になってたのよ
よかったら教えてくんない?
556:名無しのテイマー
だからなんだよ骨ガムって
557:名無しのテイマー
ムダに気になるやり取りしやがって
558:543 ID******
えっと、僕が鈍くさくてウルフのテイム失敗してたんですよ
なのでちょっと工夫しようと思いまして
骨ガム与えて夢中になってるところを高級ブラシでモフって好感度を稼いで特殊テイムできないかなって
うまくいきました
559:名無しのテイマー
天才かな?笑
560:543 ID******
では落ちます
答えてくれてありがとうございました
561:名無しのテイマー
草
562:名無しのテイマー
マジかよ……
563:名無しのテイマー
俺も試してみようかな……
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ふむふむ。
食べ物とかはあまり気を使う必要はないみたいだ。
あ、シャンプーは買っておこうっと。
教えてもらったリンク先でそのまま注文できるみたいだからポチっとく。
「二人とも、お風呂行くよ」
ぷりん! わふっ!
お風呂場でまずは自分の体をさっさと洗う。
そしたら次は壁尻さん。
いつも通りアワアワのスポンジで磨き上げる。
うん。つるんともち肌のつややか美尻だ。
最後にわん太郎。
シャンプーを多めにとって強めの力で掻いてやる。
「そりゃそりゃそりゃ~、どーだー気持ちいいかー?」
はふはふ、わふん。
とろけるチーズみたいにぐでーっと弛緩するわん太郎。
「よーし、じゃあ流すぞ~。あ、ぶるぶるして水滴飛ばしちゃ、ダメだからね」
わふん?
「フリじゃないよ? 分かってる?」
わふわふ。
「やったら怒るからね。いくよっ」
ざばーっとシャワーで洗い流していく。
流し終わったわん太郎はナチュラルに水滴を飛ばそうと体をよじった。
ジト目で睨む僕。
固まるわん太郎。
わふん。
そ~っと体を元に戻して知らん顔するわん太郎。
そのしれっとした顔が面白くって僕と壁尻さんは声を上げて笑った。
壁尻さんはいつもの洗面器湯船に、僕とわん太郎は普通の湯船に並んで浸かる。
わん太郎は前足をだらんとさせて完全に弛緩しきっている。
「わん太郎、ちょっとおっさんみたい」
僕の指摘に壁尻さんがしりしり笑う。
わん太郎はこちらをちらっと見た後、気にした様子もなくそのままぐでっとしている。
わふん。
「のんびりくつろげるならおっさんでいいって?」
わふわふわふん。
「人間、オンオフの切り替えが肝心?」
わふん、わふわふ。
「静と動を高度に組み合わせるのが達人? わん太郎はだらけたいだけでしょ?」
わふん。
「そりゃバレるよ。ああ! 壁尻さん、洗面器ひっくり返しちゃダメじゃないか!」
ぷりぷりぷりぷり。
僕らの気の抜けたやり取りに笑い転げた壁尻さんが湯船にしていた洗面器をひっくり返してしまった。
そろそろ出よっか、と脱衣所にバスタオルを取りに行って戻ってきたらなんか壁尻さんが怒っていた。
ぷりぷり怒る壁尻さんとおすわりの姿勢で知らん顔するわん太郎。
よく見るとわん太郎から滴る水滴がやたら少ない。
こりゃやっちまいましたな。
わん太郎が僕の見てないスキを狙ってぶるぶるやって、壁尻さんが被害を受けたと。
「わん太郎?」
わふん。
「ちゃんと壁尻さんに謝りなさい」
わふん。
ぷりぷり、ぷり! ぷりりん!
お尻を震わせて偉そうに説教する壁尻さんと神妙な様子でそれを聞くわん太郎。
変な光景だなぁ。
そんな二人を見て僕はこっそりと笑うのであった。
お風呂上りにちょっと勉強してから寝ようかと机に勉強道具を広げたけど、ちっとも捗らない。
なぜなら、視界の端にチラチラ映る二人がとても気になるからだ。
壁尻さんとわん太郎は真剣な様子でにらみ合っている。
緊張感。
サッと前足を差し出して壁尻さんに乗せようとするわん太郎。
ズッポンと地面に潜って回避する壁尻さん。
にゅ~っと地面から再びお尻を表した。
再び二人向かい合ってゲラゲラ笑っている。
何の遊びだよ?
何度か繰り返して飽きたのか、今度はわん太郎が影に飛び込んだ。
にゅ、にゅ~っと影から出てくるわん太郎のお尻。
壁尻さんが尻を振る。
わん太郎も尻を振る。
それに合わせて尻尾が揺れる。
ぷりぷり、ふりふり、ふぁっさふぁっさ。
「くふふふふ。や、やめてよ二人とも。勉強に集中できないよ」
苦情を送るとわん太郎は尻をひっこめて今度は首だけ影から出した。
壁尻さんとわん太郎がこちらをじっと見つめている。
壁尻さんが動き出した。
僕が勉強している机を中心に円を描くようにぐるぐる回る。
わん太郎も参加した。
丁度円周の反対になるように二人で息を合わせて、無音のままぬるぬると回る。
「アハッ、アハハハハハハ。もう駄目だぁ」
シュールな光景に僕は耐え切れなかった。
おバカな二人の遊びに邪魔されて、結局勉強はちっとも捗らなかった。
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