第3話 二人の関係

 息子の隆行は三年生の女の子と心中した。


 隆行の父親である横内学は、隆行の勉強机の上にあった隆行の日記を読んでいた。


 生前なら許されない行為だろう。しかし隆行が死んだ以上、なぜ隆行は自殺しなければならなかったのか、父親として知る必要がある。


 12/1

 期末テスト二日目。国語と数学と美術のテストがあった。出来はまあまあ。期末テストは明日で終わり。

 

 12/2

 期末テストが終わった後、吉岡先輩とデートをした。吉岡先輩とは保健室の前で待ち合わせをして、駅前の喫茶店に入った。吉岡先輩は快くデートに応じてくれた。嬉しかった。


 12/3以降、日記は書かれていなかった。


 隆行がデートをした吉岡先輩とは、隆行が一緒に心中した吉岡雪穂さんのことだろう。


 隆行にとって吉岡雪穂はかけがえのない人であったに違いない。


 学は息子の無念に涙した。


 しかし雪穂を巻き込んで自殺したのは解せない。

 学は雪穂の両親に何と謝ればいいのかわからなかった。


 いや、死んで償おうと思ったが、その考えはあまりにも稚拙で、首を振り取り払った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る