第2話 クリスマス

 クリスマスイブに終業式があり、クリスマスから冬休みが始まる予定だった。


 しかしクリスマスである今日、臨時登校がひらかれた。


 本校の二人の在校生が飛び込み自殺をしたからだ。


 朝から職員室は大変な騒ぎだった。


 自殺したのは、二年の横内隆行と三年の吉岡雪穂だった。


 私は養護教諭をしていた。


 二人は何の問題も起こさない普通の生徒だった。


 でも私は吉岡雪穂とは少し接点があった。


 12月初旬のすべての教科の期末テストが終わった日だった。


 12時前に私はなぜか保健室の前にいた雪穂に声をかけたのだ。


 「あら、吉岡さん、どうしたの?」


 「後輩を待っているのです」


 雪穂をやや照れながら甘い声で言った。


 男の子を待っているのだと私は直感的に思った。


 私はいじわるで聞いた。


 「男の子を待っているの?」


 雪穂は一瞬目を大きくさせ驚いたが、あごを引き、「ええ、そうです」と言った。


 素直で良い子だと思った。


 今、思うと、雪穂が待っていた後輩とは、横内隆行のことだったのではないか。


 


 

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