第29話 新しい『フラグ』

 強くなればなるほど相手の強さがわかる、生前好きだった創作物のキャラクターの言葉だ。

 身にしみてわかる。

 これほど的確な言葉はないだろう。


「デルクス様、いつから様子見する気弱な人になったんですか? 学園で臆病を学んでいるのでしょうか」


 ビルス家の屋敷、中庭。

 リミット先生が、いつもの細い剣を鋭く構えている。

 煽り文句だが、ものの見事に図星だった。


 俺は強くなった。ドラゴンも倒したし、オリヴィアにも勝利した。

 攻撃は仕掛けたい。

 だがリミット先生の隙がまったく存在しないのだ。


 とはいえ今までもそうだった。どこを攻撃しても返される。

 以前は無我夢中で攻撃を放ち、ラッキーパンチならぬラッキー斬りを狙っていた。


 しかし当たるわけがないのだ。

 ここまで隙がないのだから。


「来ないのなら、こちらから行きましょうか」

「いえ――わかりましたよッ!」


 だが実力差があればあるほど動かなきゃ始まらない。

 実力差があるってことは、攻撃を仕掛けられた時にカウンターはできないってことだ。


 攻撃は最大の防御でもある。

 例え弱くても手数を繰り返していれば、相手は回避化防御せざるを得ない。


 それをわかっているからこそ俺の攻撃を待っていれてくたのだ。


「いいですねえ。いいですよ。デルクス様、随分と速くなりましたね」

「よくッ! いいますねッ!」


 魔剣のレベルは今までで一番高い。

 兎も角、攻撃、攻撃、攻撃、攻撃。

 

 だが一つも当たらない。


 リミット先生は最小限でしか回避しない。

 だが俺たちは真剣でやっている。

 にもかかわらず、恐怖心が一切感じられないのだ。


「隙あり」

「――あぁっ」


 結局俺は、返しざまのカウンターで魔剣をはじかれてしまう。

 だがふっと魔力を解く。空中で魔剣が消えた。


 ふたたび力を入れると手に出現する。


 構築術式が一番良いのはこれだ。

 武器破壊ができないのと、手元から飛ばされたとしても、ふたたび出現させることができる。


 ――そうか。


「――なら、これでどうだッ!」

「ほう」


 刺殺、ではなく剣を槍のように突き刺しながら投げつけた。

 もちろん回避されるが、俺は既に距離を詰め、腕を振りかぶっていた。


 魔剣はどこにいったのかわからないまま解除、すぐに元に戻す。


 空だった手に魔剣が出現、これにはリミット先生も驚いていた。


「ふふふ、やっぱりデルクス様は最高ですね」


 だが――。


「……クソ」


 最後は届かなかった。

 相打ち、と言いたいところだが、俺の剣よりリミット先生の切っ先のほうが早い。


「やれやれもうすぐ追い抜かされそうですよ」

「よく言うよ。まだ魔法も使ってないのに」

「使おうが使わないが、剣技で負けたらそれは剣士の負けです」

「やっぱり能力ありなら余裕だと思ってるじゃん……」

「それは年の功がありますから」

「はいはい」


 とはいえ明確な壁になってくれているのありがたい。

 学園で同級生から刺激を受け、休暇でもこうやって手合わせしてくれる師匠がいるなんてつくづくいい環境だと思う。


「そういえば王都で賞金首が逃げ込んでるって噂なので気を付けてください。真偽はわかりませんが、小耳にはさんだので、一応」

「賞金首? ――もしかして、ブリジット・・・・・ですか?」

「――なぜ知っているのですか? これはまだ秘匿のはずですが」


 ……やっぱりだ。

 うすうす気づいていたが、俺が知っている原作よりも展開が半年も早い。


 ……何が起きている。


 だが――やるべきことは変わらねえ。


 新しい『フラグ』が立った。


 それをぶち折りに行くか。


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