第12話:え?ごくうって・・・誰?
「あのね、その
もし下界にやって来たら辰也君、勝てないよ」
「きっとみじん切りにされて豚の餌か鍋の具にされちゃうね」
「きっとみじん切りにされてね、豚の餌だね」
「二度も言うな・・・」
「そんな強いやつなのか?・・・なんか西遊記にでも出てきそうな奴だな」
「ほんとは西遊記のドラマに出る予定だったみたいよ・・・でも牛魔王に
取られちゃったんだって・・・自分のパート」
「だからね、アンテナ張り巡らして伯翔李天が下界に降りてきたって分かったら、
私また天界に逃げるから・・・」
「え?帰っちゃうの?」
「うん、ってことは辰也君とは離婚ってことになるのかな?」
「まてまて、せめて別居って形にしろよ」
「せっかく俺の嫁さんなったってのにエッチだってしたってのに・・・
離婚ってなんだよそれ・・・それはないんじゃないか?」
「分かった・・・明日香ちゃんが天界へ帰るって言うなら俺も一緒に行く」
「行くたって辰也くん、飛べないでしょ」
「そうか・・・なんとかならないかな?」
「明日香ちゃんが俺をハグして一緒に天界に帰るとか・・・」
「そんなの重くて無理だよ・・・天界に着くまでに途中で辰也くん落っことし
ちゃうよ」
「海にでも落ちたら助かる見込みあるけど、岩山に落ちたらぐちゃぐちゃだね」
「ぐちゃぐちゃって言い方、よせよ・・・」
「でもさ・・・俺だけひとりここに残るの、嫌だな・・・」
「写真集だってまだ出せてないのに・・・」
「そうだ〜分かった・・・いい方法がある」
「え?なにかいい方法思いついた?」
「悟空ちゃんに頼んでキン斗雲借りてあげる」
「ごくうちゃん?・・・ごくうちゃんって?」
「孫悟空だよ、知らないの?」
「ああ・・・孫悟空ね・・・はあ?・・・孫悟空だって?」
「孫悟空なんて、この時代にいるわけないだろ?」
「ってかあれって中国の小説の中の架空のキャラだろ?」
「中国のキャラがなんで日本の話に出て来るんだよ」
「あのね、どこの国から見ても天界はひとつしかないの」
「中国から見れば、中国ふう、日本から見れば日本ふう・・・そう言うものなの」
「次元も世界観も同じ・・・宇宙はどことだって繋がってるんだよ」
「西遊記は中国の話だって思ってるのは人間だけだよ・・・」
「それに今もいるよ悟空ちゃん・・・昔天界で大暴れしてお釈迦様にとっ捕まっちゃったけどね・・・」
「でも三ちゃんのお供でバケモン倒しながらとうとう天竺まで行っちゃって・・・」
「まてまて・・・三ちゃんって?」
「三蔵法師・・・」
「ああ、その話は俺でも知ってる」
「でね、悟空ちゃんは頑張って天竺まで行って役目終えてね、今は花華山で
他のお猿さんたちとのんびり暮らしてるの・・・めちゃ偉い神仙になっちゃってね」
「悟空ちゃんのキン斗雲なら辰也くん乗せて天界へ行けるから大丈夫」
「ナイスアイデアだよね・・・私、頭いいわ」
「嘘〜、全部まじな話?」
「まじまじ〜・・・八戒ちゃんも悟浄ちゃんも功績挙げたから元の姿に戻って
天界で元気にやってるよ」
「だから〜もしかしたら辰也くん天界で私と暮らすことになるかもね」
「伯翔李天のエロ親父が、あいつが地上に降りてきたらだけどね」
「私が住んでた
「そこで朝は雲海見ながら昼はお花に囲まれて夜は綺麗な月明かりの下で
ラブラブして過ごそう・・・」
「いや、待て待て・・・俺、カメラマンって仕事あるわ・・・」
「それなら天界の写真撮ったらいいじゃん」
「地上じゃ絶対取れない綺麗で幻想的な場所たくさんあるよ」
「いっぱい撮りまくって、ほとぼりが覚めたらまた下界に戻ればいいことだし」
「ああ、だけど伯翔李天がまた天界まで追いかけてきたらやっかいね」
「下界より天界のほうが伯翔李天には有利だし」
「そうだ悟空ちゃんからキン斗雲借りたら、そのまま花華山へ行っちゃう?」
「そのほうが天界へ逃げるより安心だし・・・」
「引退したとは言え悟空ちゃんがいたら伯翔李天だって、おいそれとは
手が出せないでしょ、もし追いかけてきても悟空ちゃんがエロ親父から私たち
を守ってくれるよ?」
「まじで?スケールでかくなってないか?」
「悟空ちゃんにはテレパシー送っとくから・・・伯翔李天が下界に来たら
助けてねって」
「うまくいったら辰也君、エロ親父に千切りにされて豚の餌にされなくて
済むし・・・」
「え?千切り?・・みじん切りじゃ?」
「人の揚げ足取らないっ!!」
「そんな細かいことどうでもいいの・・・みじん切りも千切りも結果、豚の餌に
なるんだから同じことなの」
とぅ〜び〜こんて乳。
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