第129話 理解してしまった
取り敢えず、この魔剣は無料ガチャで配布される武器の中でもゴミの部類であるという事は間違いないので俺は要らないし、そもそも残して置いたら同じように誰かを操って不幸をばら撒くかもしれない。
であるのならばここでぶっ壊すのが得策であろう。
「おいっ! 何をしようとしているっ!? やめろっ!!」
そしてダニエルは俺が今からこの魔剣を【童子切安綱】でぶった切ろうとしている事に気付いたのか、四肢が無い状態で必死に止めようとしてくる。
ダニエルもこの魔剣の被害者であるというのに、その事すらも気付かずに必死になって魔剣の破壊を止めようとしてくるあたり、この魔剣を一度受け入れてしまった場合の洗脳はかなり強力であるのだろう。
しかしながらダニエルに止めろと言われて止めるわけが無いので俺はこのまま【童子切安綱】を一振りして魔剣を切る。
『ぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああっ!!!!』
すると、魔剣が叫ぶような声が脳内に響き渡り、老婆が【童子切安綱】の炎に包み込まれのたうち回る光景が浮かび上がる。
『よくもっ!! よくもこの私をっ!! 許さない……絶対に許さなっ!! 他の仲間が必ずお前を殺しにくるだろうっ!! せいぜいその時を──』
「うるせぇよ。黙って死ぬ事もできないのか?」
すると魔剣は俺の脳内に許さないだの、他の仲間がどうのとかうるさいので【童子切安綱】を二度、三度と振るって黙らす。
そして魔剣はそのまま【童子切安綱】の炎に焼き尽くされてしまったのか、炎が消えた後には形すら残っていなかった。
しかしながらこの魔剣が言っていた『仲間』なのだが、新たにアップデート後に実装される新ストーリーの伏線という噂があり、その噂では一年後にアップデートが実装されるという内容であったのだが、その噂が本当かどうか分かる前にこの世界に来てしまった訳で。
原作ファンの一人としては、その続編を体験してみたいという欲求が無いわけではないのだが、そんな事でドゥーナたちを危険にさらすくらいならば来ない方が良いと俺は思う。
まぁ、万が一来たとしてもこの魔剣同様にぶち壊すだけなのだが……。
「…………お、俺は今までなんという事をして来たのだ……」
そんな事を思っていたその時、魔剣を破壊したことによりダニエルが正気に戻ったようで、今まで自分が行ってきた数々の悪行がどれだけ罪深い行為であったのか理解してしまったようである。
ダニエルはその罪の重さに押しつぶされそうになっているのが、彼の声音や表情からも理解できる。
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