第127話 状態となり絶望的な状況
勿論未知の現象などに遭遇した場合は今までの経験や知識からそれが何であるのかある程度予想する事は正しいと俺も思う。
しかしながら自分の知識や経験に無い以上は、仮説を立てた予想とはまったく違う可能性もある事も念頭に置かなければならない。
似たようで全く違うものなどこの世にはごまんとあるのだから疑ってかかるのが常識であろう。
そして俺は再度【童子切安綱】の武器スキルを発動する。
「土魔術段位一【土の壁】」
違うのは武器スキル行使する前に、土魔術の基礎である土の壁をダニエルの背後へ出現させて逃げ道を事前に防いでいる事である。
たかが後ろ一枚の土の壁、しかしながら追い詰められた時、この土の壁一枚あるだけで疑似的な画面端の状態となり絶望的な状況となる。
「ぐっ……こんな土の壁ぐらいで……っ!!」
「バカとハサミは使いよう、というように低段位の魔術も使いようだという事だ。使われて初めてその有効な使用方法が分かる場合も多いのだが、この世界ではその有効な使用方法を相手に使われた場合基本的には死ぬという事が嘆かわしい。その結果がこの世界の冒険者や魔術師たちが俺の想像よりも弱いという事に繋がっているのだろう」
「だ、だが一度見た技を来ると分かっていて捌けない程俺は弱くはないっ!! 俺の強さを見誤ったなルーカスッ!!」
「ほう、流石というべきか……」
しかし、この圧倒的な不利な状況でダニエルは魔剣を使い俺の飛ばした斬撃六連撃を全て捌いていくではないか。
確かに俺はダニエルの事を少しばかり見誤っていたようで、その点に関しては俺の驕りであったと反省する。
駄目な個所から目を逸らし、言い訳を並べてちっぽけなプライドを守るよりも、素直に認めて受け入れた方が自分の成長にも繋がるしな。
「その小さなミスでこの俺を仕留め切れなかった事を死んで後悔するんだなぁっ!!」
そして六連撃全ての斬撃を捌いたダニエルはここぞとばかりに反撃をしようとしてくる。
「そうだな、だが残念ながらお前も俺の強さを見誤っているようだ」
そして俺はそういうと再度武器スキルを発動させて斬撃を六連飛ばす。
「……は? あぎゃぁぁぁああああっ!!!!」
「連続で行使した時点で、技の撃ち終わり直ぐに同じ技をであ繰り出す事ができるという発想に何故思い至らなかったのか……俺を見下していたんじゃないのか? 例えば『今のダニエルで勝てそうな強さで俺の強さを予測していた』とか。 その無駄に高いプライドが、俺の方が強いという事を『ただの予想であっても認めたくなかった』と無意識の内に思ってしまったのだろう」
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