第126話 可哀そうな奴だな
この【童子切安綱】なのだが、攻撃を与えた相手に一定時間固定ダメージを与えるという追加効果があり、ゲームではその追加効果を対処する事はできないが、リアルだと切り口を切り落とすという対処方法があるという事に、少しばかり驚いてしまう。
「まさか、そんな対処方法があったとはな……」
「対処しなければ間違いなくあの炎に焼かれて死んでいただろう……。しかし惜しかったな。先程の攻撃で俺を倒しきれなかったのは致命的だろう」
そして俺の呟いた言葉にダニエルが答えるのだが、ダニエルの言っている事が本当であれば【童子切安綱】の追加効果のダメージ量で死亡する程度の体力しか無いという事は理解できた。
という事は、追加効果によるダメージは所詮おまけ程度しか無いので【童子切安綱】の一撃の方が威力は高くなる。
その為、本体に当たりさえ死すれば即死、掠っただけでも追加効果によるダメージで死ぬという訳である。
しかし、この状況はダニエルからすればかなり追い詰められている状況であると思うのだが、何故かあの一撃で仕留められなかった事に対して致命的であり、既に勝利しているかのようなテンションで俺へ話しかけてくるではないか。
「致命的……? 技を外しただけで? むしろこの状況はダニエルの方がヤバいんじゃないのか?」
「そうだな、客観的に見ればな……。しかし、俺もバカではない。そもそも俺はこの剣のお陰でここまでの高みに上る事ができたから分かる事なのだが、先程の攻撃ともなると、一撃ですら日に何度も打てるような攻撃ではないだろう。それをあの一瞬だけで六連撃も飛ばしてくるところをみるに、あの一撃に全てを賭けていたと見ていいだろう。それこそ、寿命を削って放った六連撃だったんじゃないのか?」
そう、ダニエル自ら立てた仮説を嬉しそうに話すのだが、的がずれているというかなんというか……。
「可哀そうな奴だな……」
「……あ?」
「しかし面白い考察ではあった。しかしながら未知の攻撃や存在に出会った時は『自分の中にある知識や常識』を軸に物事を考えてしまうのは仕方のない事ではある。そもそも、自分の想像外の事が起きたにも関わらず自分の知識や常識と照らし合わせる時点でお前やっぱり俺よりも才能無いな」
「……ま、まさかっ!?」
こうして話している間にもダニエルは欠損した部位の再生をし始めているのだが、もう一度切り落とさせてもらうか。
「そのまさかだ。この程度の攻撃ならばいくらでも行使する事は可能なんだがな……。それこそ、連続での行使も可能だったりな」
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