第115話 サボる口実(餌)


 この俺が魔剣に乗っ取られているなどという侮辱的な発言、殺されても仕方がないだろう。


 そもそも俺がこの魔剣を使ってやっている側なのだ。それなのに何故俺が魔剣に使われている側として言われなければならないのか疑問である。


 まぁ、こんな単純な事にすら分からないような奴なら死んだ方がこの世界の為になるだろう。


 そして俺はエルフの国を後にするのであった。



◆主人公side



「ふむ、獣人、ドワーフ、エルフの国で虐殺行為……か」

「はい。ギルドに今流れて来ている情報を確認すると、今現在は詳細不明との事ですが。因みにダニエルに切られたウッドグリーン王国の長でございますが、万が一の為に分身の魔術を使っており、切られたのは本人ではなく分身の方であるという事で何とか人間国との戦争には至っていないのですが、かなり怒っているのが現状ですね……」

「なるほど……なら一旦ウッドグリーン王国の首都まで行ってみるか」

「かしこまりました。一応こちらからもウッドグリーン王国の長へとその旨連絡させていただきますので、詳しい話は彼からお聞きするようにお手数をおかけしますが何卒宜しくお願い致します」


 とりあえずアイシャとの模擬戦を終えた俺たちは、一日休息と取った後に再度帝都のギルドへと訪れていた。


 因みにあの後一日休息をとった理由としてはアイシャの精神状態も勿論あるのだが、身体を綺麗にしたり洗濯したり着替えたりと、アイシャを待っていると何かと時間がかかりそうだと思った為である。


 それに、直ぐに受け入れられないだろうしな……。それは一日たった今も同じであろうが、それでも昨日よりかは落ち着いているように見える。


「分かった。ありがとう」


 そして俺は情報をくれたギルドの受付嬢へと感謝の言葉を継げると、次にアイシャとマリアンヌをつれてパーティー編成の登録をしに行く。


 奇しくもドゥーナを抜いたこのメンバーは本来であればこの世界でダニエルが編成するはずであったパーティーメンバーである為何だか複雑な気分である。


「これでパーティーの登録は完了でございます。お気をつけて……」


 ちなみに、一応ギルドマスターにも声をかけたのだがダニエルの件で仕事が溜まっているようで大変そうであった為挨拶が終わったらそのまま返してあげる事にした。


 その時のギルドマスターの表情は『サボりたいからその理由付けでルーカス君の相手をするという大義名分が欲しい』と顔に書いてあったのだが、隣にいた秘書の目が『サボる口実(餌)を与えないでください』と訴えいていたので、今日は一つ良い事をしたなと少しばかりいい気分である。

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