第114話 ゴミのように払い捨てる


 とりあえず、流石にアイシャをそのままという訳にもいかずストレージから上着を取り出すとさりげなくアイシャの肩へとかけてやる。


「ギルドマスター、これ俺の勝ちで良いよな?」

「そ、そうだな……」


 そして、兎にも角にも俺はこれでアイシャを入れたパーティーを作りSSSランク冒険者としての待遇を受ける事ができる訳だ。



◆ダニエルside


「うーーん、ドワーフや獣人がそこまで美味しくなかったから、もしかしたらエルフもそうなんじゃないかと思っていたんだが……俺の想像通りエルフもあんまり美味しくねぇな」


 俺がそう吐き捨てるとエルフの国であるウッドグリーン王国の長であるハイエルフが住む首都、エルフェイムまでわざわざやって来たというのに……とんだ肩透かしである。


 そして俺は、魔剣を突き刺した護衛の男性であるハイエルフを、まるでゴミのように払い捨てる。


 というかゴミだしな……。


「ハイエルフは高貴な種族だの、エルフ以外の下等種族とは血の高潔さが違うだのなんだのとデカい口を言っていた癖に、何だ? これならまだドワーフや獣人の方が独特な風味があってまだマシじゃねぇかよ。てかあれほど見下していた人間の方が圧倒的に美味いってなんだよ?」


 例えるのならば人間が果実酒とするならばドワーフや獣人、魔族はその果実酒を薄めた物であり、ハイエルフは水である。


 生きる為には必要である為喉の渇きを解消する為には良いが、嗜好品としてはハッキリ言って味がしない時点で論外である。


「き、貴様……魔族や人間、獣人やドワーフ等様々な種族を殺しまくっている殺戮のダニエルか……っ。我らエルフ、そしてハイエルフに対して下等な生物の人間である貴様がこんな事をしてただで済むと思っておるのか? ここで逃げ切れたとしても、いつか我の同胞たちが貴様の首を切り落としにくるじゃろう……」

「あ? うるせぇよジジイ。何千年生きて来たか分からねぇが、その見下した種族に良いようにされている現状すら認識する事ができないんじゃぁ、ボケが始まって来ているんじゃぁないのか?」


 流石に人間一人にここまでされても上から目線の現状を変える事が出来ないあたり、このジジイはもうどうしようもないだろう。


「貴様……っ!! 魔剣に乗っ取られている事も知らぬ哀れな人の子が、この我に向かって何という口の聞き方を──」

「あ? 知らねぇよ糞ジジイ。死んどけや」


 そして尚も唾を飛ばして噛みついて来るので流石に煩わしくなってきた俺はジジイの首を切り落して黙らす。


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