第112話 カッコいいだろう?
しかしながらアイシャは腐ってもSSS級冒険者、先程もろ喰らった攻撃であろうとも二度目は通用することは無く、むしろ俺の蹴り技に合わせて使い捨ての氷でできた盾で防ぎ、その間にアイシャは剣先を俺の胸元へと突き刺そうとしてくるではないか。
少しだけアイシャを見くびり過ぎていたようである。
しかし、だからと言って極端にアイシャの強さを測り違えていた訳ではないので所詮は誤差範囲でしかない。
そのアイシャの刺突は、俺のデメトリアの武器スキルの一つである【雪月花】を発動していたので、それによって出現した十一本もの氷でできた剣型のビットで受け止める。
ちなみに、デメトリアは武器スキルは三個ついており、そのうちの一つである【雪月花】なのだが、発動すると俺の背中にまるで剣の華、または月のように十一本もの氷でできた剣が円形に出現する武器スキルである。
これによって出現した氷の剣は炎でも解けず、どんな打撃でも砕けることは無い為攻撃は勿論防御としても有用である。
しかしながら攻撃を喰らうと消えてしまうのが惜しいところではあるのだが、これくらいのデメリットが無いと流石にゲームバランス的にぶっ壊れるので致し方なしと言った所か……。
それでも一年後には、属性こそ炎属性とちがうものの上位互換の武器が出ているので課金ゲームの恐ろしい所なのだが、運営も対策していない訳ではないので登場時より一年が経過すれば限界突破が、さらに一年たつと空きスロットが三つ追加、以後一年ごとに空きスロットが三つずつ追加される救済処置はされている。
ちなみにこのデメトリアはガチャに実装されてから二年目なので当然空きスロットは三つあり、そこへは移動スピード二割増加、斬撃二割増加、氷属性ダメージ二割増加を付与してある。
「何ですか、それはっ!?」
「この剣の武器スキルだ。カッコいいだろう?」
そしてアイシャは、攻撃が防がれたと分かると即座に俺から離れて距離を取った後に、俺の行使した武器スキルについて聞いてくるので、素直に武器スキルであると答えてやる。
しかしながらだからと言って攻撃の手を休めるつもりは無いので十一本の剣を操作して、俺は一歩も動かずに遠くにいるアイシャへと切りかかる。
やはりファンネル型のスキルがある近距離型の武器は、それだけで中距離へとリーチが伸びるのでかなり使い勝手が良いな。
「卑怯だとは思わないのですかっ!?」
「は? 氷の龍を飛ばして来たお前がこれを卑怯だと言うのか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます