第110話 ある種の感動すら覚える
そして俺はストレージから取り出した、課金ガチャで七万溶かして手に入れたURの武器【デメトリア】(カンスト済み)を取り出し、自慢する。
やはり、苦労して(金を溶かして)手にし、クエストを周回してアイテムを集めて育てた武器となると自慢してしまうのは仕方ない事だろう。
「う、嘘ですっ!! 私のこの【氷の竜牙】よりも上位の武器なんかがある筈がないっ!! しかも同じ氷属性で上位の武器なんかあって良いはずがないじゃないっ!! そんなものは偽物に決まっていますっ!!」
「あっそう。まぁ、そう思うのはお前の勝手だから、そう思うのなら良いんじゃないのか?」
それにしても、苦労して手にして育てた武器を実際にこうして眺めるのは、ある種の感動すら覚える。
その感動と比べたらアイシャに向けていた怒りの感情など取るに足らないくらいにはどうでも良いとさえ思ってしまう。
しかしながらそれとは別に、せっかく人が自分の剣を気分よく眺めている横で『そんな剣があるはずない』だとか『その剣は偽物に決まっている』だとか言われれば、それはそれで俺の努力(課金)が無駄な行為だと言われているようで腹が立つ。
なのでとりあえず、コイツには俺には太刀打ち出来ないと思える程プライドを粉々にした上でこの模擬戦を終わらそうと思う。
勿論プライドを粉々にするのだから急所を狙い、審判を兼ねているギルドマスターによって勝敗を宣言されては意味がないので、嬲るように遊んでやるとするか。
そもそも、ゲームのヒロインという事もあり、変に優しくしてフラグを立てられるのも嫌だしな。
「…………ふーーーーっ」
そんな事を思っているとアイシャは深く一度深呼吸をすると、次の瞬間には姿が消えていた。
恐らくスキル【縮地】またはそれに似た効果を持つ移動方法で一気に俺の後ろへと回ったのだろう。
「子供だましだな」
「うぎゃ……っ」
しかしながら見えていないけど動きのパターンが分かっているのならば、タイミングを合わせて蹴り技をカウンターで入れる事など造作もない。
そしてアイシャは俺の蹴り技を諸にくらい修練場の壁へと土煙を上げながら激突する。
「まさかこれで終わりとか言わないよな?」
「あ、当たり前です……っ!! 武器スキル【氷龍の顎】っ!!」
すると、アイシャは武器スキルを使ったのか土煙の中から氷の龍が俺目掛けて飛び出してくると、その顎を開き噛みついてくるので、その氷でできた龍をデメトリアで、まるで羽虫を叩き落とすかの如く横薙ぎによる斬撃で切り潰す。
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