第106話 生き生きと働き始めるセバス
ドゥーナが帝都へ連れてきた理由は必要だと感じたのでここで説明しましたが、次の話から決闘へ話を戻します('ω')ノ
────────────────────────────────────────
それに、恐らく俺に恨みを持っているであろうダニエルである為、最悪俺が親から引き継いで運営しているタリム領へと攻めて来る可能性が高く、それであれば帝都で身を潜めていた方がまだ安全であるというのもあり、セバスとメイドと一緒に連れてきたのだが、もしかしたら俺がダニエル討伐に向かっている間にセバスから要らぬ事を吹き込まれる可能性を忘れてしまっていた。
セバスは俺の祖父の代からランゲージ家の執事をしており、俺が子供の頃、まだ祖父が生きていた頃のセバスはかなり誇りをもって仕事をしていたのが見て分かったのだが、祖父が死んで父親が爵位を引き継いでからのセバスは感情を感じられず、まるでロボットのような仕事ぶりへと変わっていた。
それはあくまでもセバスが忠誠を誓っているのは俺の祖父だけであり、俺の父には忠誠を誓っていないからであると思っていたので、俺の代になっても変わらずロボットのような仕事ぶりなのは変わらないと思っていたし、俺の記憶の中の、俺に対するセバスの態度から見てもそうなるだろうと思っていた。
しかしながら蓋を開けてみるとまるで祖父の代のように生き生きと働き始めるセバスの姿がそこにあった。
当初こそは『どうあれやる気がでる事は良い事だ』などと思っていたのだが、ドゥーナと結婚する前は「当主の務めは妻を娶り跡継ぎとなる子を作る事です。領地改革も素晴らしい事ではございますが、婚約者を探す事にも力を入れてもらいたいですな」と口酸っぱく言ってきたかと思うと、ドゥーナと結婚すれば「良いですか? 旦那様。子作りこそ当主のするべき一番の仕事です。聞く所によるとまだ奥方様に手をつけていないようではないですか。それではダメですぞ」などと言ってきたり、やる気が無かったロボット時代のセバスの方が幾分かマシだと思えるくらいには鬱陶しかった。
しかしそれも俺とドゥーナとの間に子供ができてからはすっかり聞かなくなったので俺はセバスの事をあまり気に留めなくなってしまっていた。
そして、思う。
セバスならば絶対に『マリアンヌを第二夫人にするように裏で動いていてもおかしくない』と……。
恐らく俺に言った所で『ドゥーナがいるから第二夫人は必要ない』とバッサリ却下されると判断したのだろうし、実際そう聞かれたらそう返すのだが、だからこそセバスは将を射んとする者はまず馬を射よと言われるようにドゥーナから攻めていたのだろう。
仕事が出来すぎる執事というのも考え物だな……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます