第97話 食べ比べ
そして俺はドゥーナとマリアンヌの返事を聞き覚悟を決めるのであった。
◆ダニエルside
何故俺はわざわざこそこそ隠れながらスラム街のクズや、こそこそと裏社会で隠れながら悪さをしているようなゴミを殺さないといけないのだろう?
これではまるで、俺の為に殺しているのではなく、帝国の為にゴミ掃除をしているみたいではないか……。
そう考えると、なんだかイライラしてくる。
これではただのタダ働きではないか。
確かに人の命を魔剣に吸わせる事ができるというメリットはあるのだが、それだけであり帝国側は俺に対して何も支払っていないのだ。
帝国の治安を守る事にかなり貢献しているというのに……。
普通であれば帝国側は俺の事を探し出して帝城へと呼び出しこの俺を讃えるなり報酬を与えるなりするべき所だ。
「帝国がそのつもりならばいいだろう……」
ならば帝国を綺麗にしている報酬を勝手に頂いても文句は言えないだろう。
もし文句を言って来たのであれば、そんな奴は片っ端から殺していけば良いだろう。
とりあえず、報酬として山奥の村一つでも潰しに行くか……。
そうだ。 報酬として村を一つ潰した後は帝国と王国、エルフや獣人など、国や人種によって魂の味が違うのかも食べ比べをしなきゃな……。
あぁ、今から想像しただけで脳汁が出て来てしまうではないか。
他にするべき事、倒さねばならないような奴がいたような気がするのだが、今はそんなどうでも良い事では無くて人族の食べ比べが優先である。
人間だけではなくエルフに獣人と、人族の食べ比べなど、想像してしまったら我慢などできる訳も無いので、俺はさっさと村を潰しに行くのであった。
◆主人公side
予めこうなるだろうという事は分かっていた事なのだが、それでも少しばかりダニエルの精神が魔剣に乗っ取られて行くスピードは早いようである。
もしかしたら乗っ取られた人物の精神的な強さに比例しているのかもしれない。
そんな、最早人殺しのバケモノと化してしまったダニエルは、初めこそスラム街や裏社会で生きるような人を殺していたのだが、それが徐々に一般人も殺すようになり、今では見境なく訪れた町や村に住む住人を殺しているようである。
唯一の救いは一度殺し尽くすと、満足したのか一週間は姿をくらます事である。
姿をくらますこと自体は探さなければならなくなるので面倒と言えば面倒なのだが、それでもあんな化け物に毎日どこかしら人を殺すために彷徨われるよりも全然マシである。
とりあえず、一度見つけ出してマーキングさえすればどこに行こうがマップ機能で居場所を特定できるので、何とか見つけ出したいところである。
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