第95話 大まかなプロローグ
そして、マリアンヌが俺に教えてくれたこれらの情報でダニエルが何故このような事になってしまっているのか分かってしまった。
何故その事にまで理解が及ばなかったのか……。
そもそも前世俺がハマっていたRPGゲーム『暁の夜明け』のラスボスである魔王であるのだが、魔族側で魔剣を老婆から譲り受けた一人の魔族の男性であった。
この魔族は、幼い頃から学校では同年代からいじめを受け、家に帰れば両親から暴力を振るわれ十歳になった頃に捨てられスラム街で生きていた。
そしていつしか自分の生い立ちの怒りを両親やいじめた奴らではなくこの世界そのものを恨むようになった。
そんな時に彼は謎の老婆から魔剣を受け取ったのである。
初めこそ彼はその魔剣で他人を殺そう等とは思っておらず、けれど男性にとっては初めて手にした『力』でもあった。
ただそれだけで男性の精神は安定し始めたのだが、そんな男性の持つ魔剣を奪おうとした不届き者に対して自身の身を守る為にも男性は魔剣を抜き不届き者を魔剣で切り殺してしまった。
この瞬間から男性の精神は魔剣に蝕まれはじめ、魔族の王を殺せるまで力を付け、魔族側の国を崩壊させて混沌へと落とし込み、それが人間側へと浸食しはじめていた。
これが『暁の夜明け』の大まかなプロローグである。
そして、その後は主人公がその男性を倒すために旅をし、その道中で様々な経験をする事で幼かった精神が成熟していき、最終的に魔王となった男性を倒して世界に平和が訪れヒロイン一人を娶りハッピーエンドか、二人とも娶りハーレムエンドか、ヒロインとくっ付かずにバッドエンドか、いずれかの結末を迎えるという内容であった。
その魔剣が何故かダニエルに渡っており、今現在魔族や人族関係なく殺し始めている所を見るにもう救えない所まで来てしまっていると見て良いだろう……。
これは恐らく俺がストーリー的に修復できない程のフラグを何本か折ってしまった結果なのだろう。
本来であれば俺は悪役として主人公に立ちはだかる壁となり、主人公の精神を成熟する一つの試練であったはずであるし、ヒロインの一人であったはずのドゥーナは俺の嫁になっている。
それだけではなく俺の手によって学園長を処罰し、ギルドを脅し、タリム領を冒険者メインで繁栄させる事によってドゥーナの実家も俺のせいでゲームとは違う動きをし始めており、本来であれば主人公が超えるべき壁が、そのせいで何個か消えてしまったのだろう。
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