第89話 悪逆非道な行い
しかも、これの美味しいところは、そういった所には決まって悪い連中たちも集まってくるという事である。
確かに、今気付けたのは遅すぎるとは思うのだが、この事に気付けることができる俺はやっぱり天才であるという事なのだろう。
「さて、手始めに帝国のゴミ掃除をしようか」
そして俺はそう言うと帝国最大のスラム街へと向かうのであった。
◆主人公side
「…………何をやってんだよダニエル。この世界ではダニエルが魔王みたいになってんじゃねぇかよ……っ」
一体どうして世界を平和にするべき者であったダニエルが、世界を恐怖のどん底に突き落としているんだよ……。
「……まさかこんな最低な人間であったとは、正直言ってビックリだし、あんな奴と一緒に学生生活を過ごしていたんだと思うと背筋が凍りそうだ……っ」
ダニエルが今起こしている悪行はここタリム領まで内容が届いており、そして帝国から注意するようにとの通達が来ていた。
勿論血の気盛んな冒険者の人口が増えて来ているタリム領では今この話題で大盛り上がりではあるものの、倒して名声を上げてやろうと盛り上がっている者たちと、どちらかと言えばどうやって逃げるかという内容で盛り上がっている者たちとに二極化をしているのは見ていて面白いなと思ってしまう。
恐らく前者は今まで失敗を経験した事が無い者たちと、後者は大きな失敗をした者たちの違いであろう。
そして前者が大きな失敗をして後者になる。
それが冒険者の基本的な価値観の変化でもある。
それでも、まだこういう会話が酒場で議論されているだけここタリム領はまだましな方だろう。
帝都などは恐怖からか人が殆ど外に出ず、閑散としているという話である。
「確かにな……。犯罪者集団を討伐するのはまだ理解できるのだが、罪のない一般市民までにも手をかけるような奴じゃないと思っていたんだがな……」
「今では国際的に指名手配にされている程の殺人鬼となってしまうとは……。でもそのお陰で魔族側からは『人族が裏で手を引いた攻撃ではない』と一応は一旦矛を収めてくれた事だけは良かったのだが、そもそもそれもダニエルが魔族側で暴れなければこんな事にはならかったし、魔族側の矛を収める事ができたから、今回ダニエルがやらかした事が正しいという訳でもないからな……っ」
そしてドゥーナは学友であったダニエルが今犯している悪逆非道な行いの数々に色々と思うところがあるのだろう。
複雑な表情でダニエルの事を批判する言葉を口にする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます